【疑問】都営新宿線の新ダイヤに関して思うこと(2022.5.26更新)

鉄道
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皆様、こんにちは。 U5swです。

今回は、2022年3月改正における、都営新宿線の新ダイヤに関して思ったことを述べていこうと思います。

都営新宿線の改正内容とは?

前回の京王ダイヤ改正の答え合わせの記事でも取り上げましたが、今回の都営新宿線の改正内容のメインは、

日中時間帯の急行を各駅停車に置き換え、急行通過駅の停車本数を増やすこと

となっています。

都営10-300形の急行大島行き。

現行ダイヤでは、日中時間帯、1時間あたり急行3本、各駅停車9本による20分サイクルを形成しており、各駅停車の内3本が岩本町駅で、内3本が瑞江駅でそれぞれ急行の通過待ちを行うスタイルとなっています。

このダイヤから、一部の急行を各駅停車に置き換えて、急行通過駅の停車本数を増やして利便性を向上させます。同時に、岩本町駅および瑞江駅での急行待避の回数がなくなるため、各駅停車全体の所要時間が短縮されます。

今回の改正内容に関しては、都営のホームページでも公式に発表されています。

東京都交通局,ピックアップ情報,都営地下鉄三田線及び新宿線のダイヤ改正について
東京都交通局のウェブページです。

個人的な新規ダイヤの予想

今回の改正で急行が各駅停車に置き換わるということで、以下のような新規ダイヤになると予想していました。それがこちら。

従来の20分サイクルのダイヤから、40分サイクルのダイヤに変更し、置き換えた急行を各駅停車とすることで、急行通過駅の停車本数が毎時9本から10~11本に増えるものと予想していました。

相互直通運転を行なっている京王線が、ダイヤ改正後も20分サイクルのダイヤで運行させることから、それに合わせる形で40分サイクルにし、京王のダイヤに極力影響が出ないようにするものと思われました。

しかし、現実は予想の斜め上…

ところが、先日新ダイヤが発表された際、私は思わず目を疑ってしまいました…

前回の京王新ダイヤ答え合わせの記事でも紹介しましたが、改めてここでも紹介しておきます。

前回投稿した記事はこちらから↑

こちらは、来たる2022年3月12日から施行される都営新宿線の新ダイヤの中から、平日の新宿駅下り(本八幡方面)の時刻表です(引用元はYahoo!路線情報<https://transit.yahoo.co.jp>)。

この時刻表を注目して見てみると、急行の間隔が、

48分に1本

という、非常にイレギュラーな間隔になっていることがわかります。それに合わせて各駅停車が運行されるというダイヤになっており、1時間ごとに不均一な発着時間となっています。

これを見ると、確かに急行の本数が減っており、各駅停車の本数が増えているのは明らかですが、利用者目線からすると、時間が不均一という面で従来ダイヤよりも若干利用しづらくなっているのが気になりますし、20分サイクルを継続している京王とサイクルが釣り合わなくなってしまいます。

直通運転を行う路線とは、最低限サイクルを合わせるのが基本ではあるが…

基本的に、他社と相互直通運転を行う際は、双方のダイヤに影響が出ないようサイクルを揃えています。

例えば、従来の京王線と都営新宿線のサイクルは「20分」であり、どの種別、どの系統も基本的に0分-20分-40分と毎時3本が確保されることとなります。両者が20分サイクルのため、互いのサイクルを干渉することなく、綺麗なダイヤを組めることができます。

しかし、ダイヤ改正で都営新宿線のサイクルが「48分」となります。48分サイクルだと、0分-48分-36分-24分-12分と「4時間に5本」という特殊なサイクルとなっています。これだと上記の20分サイクルと全く噛み合わず、京王と上手くダイヤを噛み合わせることができません。

仮に、京王が12分サイクルや24分サイクルといった「12の倍数」のサイクルダイヤならば上手く噛み合いますが…

相互直通運転を行なっている京王のパターンダイヤにも影響が…

さらに、このダイヤサイクルの不均一は、直通先の京王にも影響を与えてしまっています。その一例を紹介します。

こちらは、ダイヤ改正後の京王線、調布駅(新宿方面行き)の時刻表ですが、12:36発の区間急行本八幡行きはダイヤサイクルで考えると「快速」として運行するのが理想ですが、都営線内を「急行」とする関係上、ダイヤを合わせる都合で区間急行として運行することとなっています。

これにより、快速が停車し区間急行の通過する八幡山駅と下高井戸駅においては、その時間帯だけ快速が来ず停車本数が減る他、待避駅の変更等で他列車の時刻にもパターンを崩さざるを得ない状態となっています。

下高井戸駅に停車する快速。改正後、一部列車が区間急行に置き換わり通過するため注意。

このダイヤを見た時は、正直「う〜ん…」と思ってしまいました。全体的に見れば些細かもしれませんが、改正前に比べると利用しにくくなったように思えます。

笹塚駅での接続にも影響が…

橋本発の準特急新宿行きの笹塚駅停車直前の様子。真ん中の都営車が笹塚始発の急行本八幡行き。

また、都営新宿線の急行に関しては、笹塚駅で橋本発着の準特急(改正後は特急)と接続を行っており、都営線⇄京王線の速達輸送の確保がなされていました。

しかし、ダイヤ改正でパターンダイヤが崩れることによって、笹塚駅での接続列車が時間によってバラバラになってしまっており、利用しづらくなるなと感じます。

ダイヤ改正前の笹塚駅の様子。橋本発着の準特急と都営線急行が当駅で必ず接続するダイヤだった。

ところで、同じ都営地下鉄の浅草線を見てみると…

ちなみに、同じ都営地下鉄で通過列車と各駅停車を並行して運行している浅草線の泉岳寺〜押上間の日中ダイヤに関しては、今年のダイヤ改正で、

  • 改正前
    • エアポート快特:毎時3本(20分に1本)
    • 普通(三崎口快特):毎時3本(20分に1本)
    • 普通(羽田快特,北総直通):毎時3本(20分に1本)
    • 普通(京成快速):毎時3本(20分に1本)
  • 改正後
    • エアポート快特:毎時1~2本(40分に1本)
    • 普通(三崎口快特,京成快特):毎時1~2本(40分に1本)
    • 普通(三崎口快特,京成普通):毎時1~2本(40分に1本)
    • 普通(羽田快特,京成普通):毎時1~2本(40分に1本)
    • 普通(羽田快特,北総直通):毎時3本(20分に1本)
    • 普通(京成快速):毎時3本(20分に1本)

というダイヤに変わります。

ダイヤ改正で減便となる浅草線のエアポート快特。改正後は20分ヘッドから40分ヘッドで運行される。

浅草線内だけで見ると、羽田空港〜青砥間で運行されているエアポート快特(京急、京成線内は快特)が普通(京急線内快特、京成線内普通)に変更となることで、エアポート快特通過駅の停車本数が毎時9本→毎時10~11本に増加することとなります。

サイクルも40分サイクルのまま維持していますし、京急、京成側も40分サイクルで運行されていることを踏まえると、直通先でサイクルが噛み合いつつ、発車時刻も最低限統一されているので、これが本来あるべき改正内容なのかなと思います。

しかし、今回の都営新宿線では、浅草線のような改正が行われなかったため、調べる度に疑問度は上がっています(何らかの意図は探していますが、未だに見当たらない…)。

しかも急行が運行されない時間帯が大半に。いっそのこと取りやめでいいのではないか?という声も。

ここまで、「パターンダイヤのサイクル」に焦点を当てて考えを述べてきましたが、今回の改正でさらに疑問に感じたのが、

全体的に急行の本数が激減している

ことです。今回の改正で、都営新宿線内の急行列車の本数の変化を以下に示すと、

  • 平日下り(本八幡方面):20本→4本
  • 土休日下り(本八幡方面):30本(内4本大島止まり)→8本(内1本大島止まり)
  • 平日上り(新宿方面):19本→4本
  • 土休日上り(新宿方面):32本(内3本大島始発)→7本(内1本大島始発)

と、大幅に減便されていることがわかります。下りは13時台から、上りは13時台までの運行に留まっており、全体的に各駅停車だけの時間が増えます。

急行列車の具体的な時刻表は以下の通り(下りは新宿駅、上りは大島駅)。

平日下り

  • 13:04(橋本始発、京王線内区急)
  • 13:52(京王多摩センター始発、京王線内区急)
  • 14:40(笹塚始発)
  • 15:28(橋本始発、京王線内区急)

土休日下り

  • 13:04(橋本始発、京王線内区急)
  • 13:52(京王多摩センター始発、京王線内区急)
  • 14:40(笹塚始発)
  • 15:28(橋本始発、京王線内区急)
  • 16:16(京王多摩センター始発、京王線内区急)
  • 17:04(橋本始発、京王線内急行)
  • 17:52(橋本始発、京王線内区急、大島止まり)
  • 18:40(笹塚始発)

平日上り

  • 10:12(京王多摩センター行き、京王線内区急)
  • 11:00(橋本行き、京王線内区急)
  • 11:48(京王多摩センター行き、京王線内区急)
  • 12:36(笹塚行き)

土休日上り

  • 7:12(京王多摩センター行き、京王線内急行)
  • 8:33(笹塚行き、大島始発)
  • 9:24(京王多摩センター行き、京王線内区急)
  • 10:12(京王多摩センター行き、京王線内区急)
  • 11:00(橋本行き、京王線内区急)
  • 11:48(京王多摩センター行き、京王線内区急)
  • 12:36(笹塚行き)

これを見て私が思ったことを一言。

「中途半端に急行を残すくらいなら、いっそのこと急行を全部取りやめにした方がいいのでは???」

先ほど言及した「48分サイクル」という特殊ダイヤに加え、申し訳程度に急行を残している感が否めないので、ますます疑問が残るばかりです。

確かに、急行利用者にとって、急行全廃は速達性の面で非常に痛手となります。しかし、これだけ急行が間引きされ、かつ時間帯も大きく限られるようになってしまったのを見ると、かえって利用しづらいですし、いっそのことなくせばいいのでは?という声が出てきてもおかしくありません。

また、急行が運行されなくなる昼間時間帯においても、毎時11~12本と時間帯に応じて本数が統一されておらず、時刻もバラバラなので、こちらに関しても疑問が残ります(5〜6分おきに1本来る各駅停車はそこまで長く待つことはないので、こちらに関しては深刻な問題とまでは思いませんが…)。

そもそも急行の停車駅に問題あり? 停車駅を見直すならばどうする?

都営新宿線の急行で度々問題として挙がるのが、

「急行の停車駅がニーズにあっておらず、利用しにくい」

ということです。

都営新宿線急行の現行の停車駅は、

新宿、市ヶ谷、神保町、馬喰横山、森下、大島、船堀、本八幡

の8駅となっており、都営新宿線全体の駅数が21駅ということから、13駅を通過していることとなっています。

特に、副都心線との乗り換え駅の新宿三丁目駅、東西線および半蔵門線との乗り換え駅の九段下駅、日比谷線、JR線、つくばエクスプレス線との乗り換え駅の岩本町駅(秋葉原駅)も通過しています。この3駅の通過が、かえって急行の利用しにくさを生んでいることとなっています。

ここで、2020年度の都営新宿線の各駅の1日平均乗降人員をまとめると、

駅名乗車人員降車人員
新宿103,385102,523
新宿三丁目23,79324,796
曙橋14,59214,236
市ヶ谷32,93833,951
九段下37,85337,322
神保町44,10444,620
小川町27,21527,352
岩本町20,00119,911
馬喰横山41,20041,427
浜町8,1808,228
森下27,75428,289
菊川10,08210,014
住吉16,55216,431
西大島11,08511,064
大島13,22312,870
東大島12,27812,213
船堀24,23624,065
一之江17,60517,355
瑞江22,42622,377
篠崎16,45316,277
本八幡30,48530,118
各駅の1日平均乗降人員。
赤文字は急行停車駅、水色背景は他路線乗り換え駅。

これを見ると、住吉駅を除く乗り換え駅は全て20,000人越えであり、特に九段下駅はお隣の市ヶ谷駅よりも利用者数が多いことがわかります。

1997年の急行運転開始以来、2000年に大江戸線が延伸したことによる森下駅追加停車以来停車駅の変更はなく、停車駅も新宿〜本八幡間でJR中央・総武線と競合していることから、速達性を重視するために、停車駅は都営線の他路線との接続駅(新宿駅・森下駅→大江戸線、神保町駅→三田線、馬喰横山駅→浅草線<東日本橋駅>)に限定し、東京メトロとの接続駅は市ヶ谷駅以外通過となっています。

しかし、2003年の半蔵門線延伸で住吉駅が、2008年の副都心線開業で新宿三丁目駅がそれぞれ乗り換え路線として加わり、2013年に九段下駅の半蔵門線、都営新宿線の壁が取っ払われたことによるノーラッチ乗り換えができるようになり(2020年は東西線の乗り換え改札も撤去)、2013年に岩本町駅と秋葉原駅が連絡運輸による正式な相互乗り換え駅へ昇格するなど、東京メトロとの乗り換えがより強化されたことで、これらの駅の需要は大きくなり、その分通過する急行の使いにくさが増すこととなってしまいました。

もし急行の停車駅を見直すとなれば、

新宿〜馬喰横山間各駅停車、森下、大島、船堀、本八幡

として、都心部の駅は全て停車とした方が利用しやすく、かつ都内東部は通過運転で最低限の速達性を保てるので良いと思われます(曙橋駅は通過でも良いが、変に通過させるよりは停車化した方がよく、逆に住吉駅はそこまで利用者がいないので変に停車させる必要はないと考えている)。

実際、同じ速達運転を行なっている地下鉄路線として、「東京メトロ東西線」がありますが、こちらは中野〜東陽町間は快速でも各駅に停車しており、東陽町〜西船橋間で速達運転を行なっていることで需要と速達性のバランスを保っているので、それに倣う形で見直してみてはと思います。

ただ、ここまで大幅に減便して中途半端に残すのなら、潔く急行を廃止して全て各駅停車でも構わないと思いますが… 今後の動向はどうなることやら?

その他気になったこと

その他気になった点としては、土休日朝に1本運行されている、「本八幡始発高尾山口行きの急行」が改正で廃止となるようです。

この列車は現行ダイヤで唯一都営車が京王線の調布以西、高尾線に乗り入れる運用でしたが、改正で京王多摩センター行きに行き先が変更となりました。

ちなみに、近年では「本八幡始発多摩動物公園行きの急行」が都営車で運行されていましたが、高尾山口行きよりも前に廃止されました。数年遅れて高尾山口行きも廃止となり、都営車が京王線の調布以西に乗り入れることはほぼなくなることとなりました。

まとめ: 個人的には、40分ヘッドで急行を運行するか、しばらく各駅停車のみで運行するかの2択にした方が良いと思う。

ここまで今回の都営新宿線の改正に関して、疑問に思ったことを述べていきました。

都営地下鉄側からすると100%ケチをつけるような内容となってしまい、申し訳ないですが、少なからず今回の新規ダイヤに関しては、「京王とのダイヤサイクルが合っていないこと」と「中途半端に残った急行」の2点から疑問が残ったままです。

個人的な提案として、

  • 最初に述べた40分サイクルでダイヤを回す
  • 急行を運行せずに各駅停車のみにする

以上の2択の内どちらかにすればいいのでは?と思います。いずれの提案においても、京王に合わせる形でパターンダイヤを組むことにより、時分が統一されて利用しやすいですし、京王側ではパターンダイヤを崩さずに済みます。

今回の改正でどのような結果に至るのか、今後も注目していこうと思います。

今回はここまでとなります! 最後までご覧くださいましてありがとうございました!

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