【直通線開業から1ヶ月】相鉄線、東横線、目黒線の車両事情と今後の展開

鉄道
この記事は約12分で読めます。

皆様、こんにちは。U5swです。

今回は、相鉄・東急直通線開業から1ヶ月が経った時点での、相鉄線、東急東横線、東急目黒線の各系統ごとの車両事情と今後の展開について述べていきます。

相鉄の車両事情

東急直通線の開業により、東急東横線および東急目黒線との相互直通運転を開始した相鉄線。新横浜駅での東海道新幹線とのアクセス、および都心方面へのダイレクトアクセスが強化されました。

相鉄は直通線開業までに、東急東横線、東京メトロ副都心線乗り入れ用として、20000系を10両編成7本(20101F~20107F)、東急目黒線、都営三田線、東京メトロ南北線、埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線乗り入れ用として、21000系を8両編成7本(21101F~21107F)用意していました。

開業後、20000系に関しては既に全編成の導入が完了しており、これ以上の進展はありませんが、21000系は導入予定編成数が9本なため、2本足りない状況で開業を迎えています。

その残り2本分ですが、既に新製されており、2023年3月20日に21108Fが日立製作所を出場して甲種輸送が行われ、4月14日に営業運転を開始しました。また、4月17日に最終編成の21109Fが日立製作所を出場して甲種輸送が行われました(21109Fは5月17日に営業運転を開始)。

ここで、2023年3月改正における、21000系専属運用に必要な編成数は7編成であり、直通線が開業した時点では予備車が1編成もない状況でした。そのため、2編成を増備して9編成体制にすることで、予備車の確保を行っています。また、直通運用に入らない相鉄線内の8両車運用(10群運用)に関しても5運用あり、相鉄10000系の8両編成が10703F~10707Fの5編成しかないことから、こちらも予備車のない状況だったため、そちらの運用に対する予備車確保の役割も担っています。

この21108Fと21109Fの導入により、相鉄の新車導入は一区切りとなる模様です。

東急の車両事情

東急に関しては、東横線系統と目黒線系統に分けて事情を説明します。

東横線系統

直通線開業段階の様子

相鉄線への乗り入れ開始に伴い、東横線系統では東急5050系4000番台が相鉄線への乗り入れを行っています。

東横線系統では、直通線開業までに5050系4000番台を10両編成13本(4101F~4112F,4115F)を用意していました。

但し、4113F、4114Fの2編成が空き番号となっていたように、5050系4000番台の予定編成数は15編成となっており、2編成足りない13編成で開業を迎えています。

開業当日は4113Fの種車となる5167F、4114Fの種車となる5168Fは2編成とも8両編成で運用に就いていましたが、翌日に5167Fが長津田検車区に回送され、Qシート車両を組み込んで10両編成化がなされ、車番も4113Fに改番されました(相鉄線防護無線も取り付け済み)。そして、4月18日に営業運転に復帰しています。

5168Fも4月8日に長津田検車区に回送され、Qシート車両を組み込んで10両編成化が完了しています(4114Fへ改番、相鉄線防護無線取り付けへ)。その後5月9日に4114Fは営業運転を開始しています。

東急5050系4000番台の運用は、改正前は平日10運用(必要編成数は9編成)、土休日7運用(必要編成数は7編成)でしたが、相鉄線への乗り入れが開始されるため、改正後は平日15運用(必要編成数は13編成)、土休日14運用(必要編成数は13編成)と増加しており、開業当日の5050系4000番台の予備車がない状態でした。よって、15編成体制にして予備車を2編成確保するものと思われます。

ちなみに、2023年に東横線で導入予定の座席指定車両”Qシート”に関してですが、Qシート車専属運用が3運用あり(平日夕方の渋谷〜元町・中華街急行ピストン運用がQシート車運用)、Qシート連結編成の4112F~4115Fの4編成の内3編成を運用へ、1編成を予備車扱い(もしくは一般運用)とする狙いがあると考えられます。同様に4101F~4111Fの11編成の内1編成を予備車に回すものと思われます。

ちなみに、5166F~5169Fの4編成が10両編成化されたことで、8両編成の東急車が減少しましたが、今回の改正で朝夕時間帯の菊名ローカルが大幅に削減されたことから、8両K運用(東急5000系,5050系,横浜高速Y500系)は平日が33運用(必要編成数は28編成)、土休日が24運用(必要編成数は23編成)と減少しており、予備車確保が十二分にできている状態です。

直通線開業から暫く経った現状は?(2023.10.20時点)

5167F、5168Fが4113F、4114Fとして5月までに営業運転に復帰し、5050系4000番台は無事15編成体制で東急・横浜高速・東京メトロ・東武・西武・相鉄の6社で営業運転を行なっています。また、8月10日にはQシートサービスの営業運行も始まっています。

目黒線系統

直通線開業段階の様子

相鉄線への乗り入れ開始に伴い、東横線系統では東急3000系と東急5080系が相鉄線への乗り入れを行っています。

東急車は直通線開業前までに全編成が6両編成から8両編成に増結されており、3000系と5080系は全編成が相鉄線の防護無線が取り付けられており、開業後は両形式の全編成が相鉄線への乗り入れを果たしています。

しかし、目黒線の東急車にはもう1つ形式があり、それが“東急3020系”です。

元々は3000系や5080系の相鉄直通改造における予備車確保を目的として導入した3020系ですが、導入当初から相鉄線への乗り入れを想定しており、8両編成で製造されました。2022年までは暫定的で6両編成で運用していましたが、2022年改正後は全3編成で8両編成化が完了しており、相鉄線への乗り入れは準備万端といったところでした。

しかし、防護無線の設置を3000系と5080系に優先して行っていたことと、設置時期が開業前ギリギリだったこともあり、開業までに3020系全3編成に防護無線を設置することができず、2023年4月時点でも3020系は相鉄線に乗り入れることができません。

そのため、現在の3020系は、”相鉄線に乗り入れない東急車運用に限定”されており、平日は午前中の41K運用と46K運用(午後運用は入らない)を中心にほぼ固定で就き(稀に都営車orメトロ車or埼玉高速車の代走運用に就くこともある)、土休日は車両の検査等から、臨時列車を除いて全く運用に入らないことが多いです(一応、37K,40K,42K,44Kの4運用に就くことができるが…)。

なお、平日41K運用と平日46K運用の午前時間帯の運行経路は以下の通り。

  • 平日41K運用
    • 目黒5:54発各停新横浜行き(新横浜6:23着)
    • 新横浜6:27発各停西高島平行き(西高島平8:01着)
    • 西高島平8:08発各停武蔵小杉行き(武蔵小杉9:23着、元住吉検車区入庫)
  • 平日46K運用(午前のみ)
    • 武蔵小杉7:30発急行鳩ヶ谷行き(鳩ヶ谷8:37着)
    • 鳩ヶ谷8:44発各停武蔵小杉行き(武蔵小杉9:56着、元住吉検車区入庫)

3月16日に3123Fが長津田検車区に回送され、相鉄線の防護無線を設置するかと思われていましたが、4月現在において手付かずのまま留置されており、進展はありません(おそらく、先述した4113F,4114Fの防護無線設置を優先しているものと思われる)。

東急車の運用の大半が相鉄線乗り入れが絡んでいることと、予備車の確保面からも3020系が一生相鉄線に乗り入れないことは考えられません(行き先表示器のROMは既に相鉄線に対応している模様)。但し、防護無線の設置だけでなく、相鉄線内での乗務員訓練や誘導障害対策を施す必要があるので、相鉄線での営業運転にはもう少し時間がかかりそうです。

一方で、目黒線の東急車運用に関しては、平日の必要編成数が23編成、土休日の必要編成数が21編成となっており、3000系と5080系計23編成をほぼフル稼働させる必要のある運用であるため、3020系の1日でも早い相鉄乗り入れの実現が望まれることなります。

(2023.7.11追記) 去る6月28日に、長らく長津田検車区で疎開留置されていた3123Fが、遂に相鉄対応の防護無線を設置し、田園都市線内で試運転を実施したようです。これにより、3020系の相鉄線乗り入れも間近に迫ってきたと思われます。

但し、この試運転以降大きな動きはなく、引き続き長津田検車区で留置されており、加えて、相鉄線での試運転の際に、相鉄乗務員による乗務員訓練、ならびに3020系の走行機器によって、相鉄線内で運行の障害を起こさないよう、誘導障害試験を行う必要があるため、相鉄線での営業運転開始はもう少し時間がかかりそうです。

直通線開業から暫く経った現状は?(2023.10.20時点)

3123Fに相鉄防護無線が取り付けられた後、2023年7月24日より、遂に相鉄線への試運転が開始され、3020系の相鉄線乗り入れが実現しました!

その後3123Fが営業運転に復帰しますが、これまでと変わらず平日朝の固定運用に就いており、中々相鉄線での営業運転が実現しないままでした。いつまで待つのか気になるばかり…

なお、その間に、3121Fが全般検査で入場後、元住吉検車区に戻って相鉄防護無線を取り付けたようですが…

暫くの間3020系の処遇がどうなるのかずーっと動向を見守っていましたが、2023年9月26日に、待ちに待った出来事が…!

遂に、3121Fが相鉄線内での営業運転を開始しました!

よって、平日朝限定の運用から解放され、3000系、5080系と共に終日の運用に就くことが可能となりました。翌27日には、相鉄線内試運転を行なっていた3123Fも相鉄線内での営業運転を開始しました!

なお、残る3122Fですが、元住吉検車区において相鉄防護無線を取り付けているとのことで、もうすぐ相鉄線での営業運転が実現できそうですが、未だ進展はありません。

よって、直通線開業から半年が経ち、ようやく3020系が仲間に加わり、直通ネットワークを支えることとなっています。

その他の会社の車両事情

東京メトロ南北線

東京メトロ南北線では、3月24日発表の「2023年度事業計画概要」にて、輸送サービスの改善において、”より快適に安心してご利用いただくため、当社車両の8両編成列車の運行を開始する。”という発表がなされました。

2023年度事業計画概要は以下の通り↓

https://www.tokyometro.jp/corporate/profile/scheme/pdf/plan_2023.pdf

南北線自体は、2022年4月より8両編成の列車の運行を開始していますが、8両編成の車両は東急車と相鉄車のみであり、南北線の車両は全て6両編成のままとなっています。それが、今回の発表により”8両編成の南北線車両”が登場することとなるようです。

現在、南北線で運行している東京メトロ9000系の内、9109Fが2022年10月4日より、新木場CRに入場を行っています。この9109Fは、2021年10月10日に川崎車輛から増結用の中間車2両が製造の上出場しており、従来車に組み込んで8両編成化される準備が行われていました。

しかし、8両編成化を行うにあたり、従来車の6両にリニューアル工事を施行する必要がありました。そのため、現在は従来車のリニューアル工事を行いつつ、新造中間車を組み込んで、8両編成での営業運転を行う準備をしているものと思われます。

ここで、南北線は2030年度までに8両編成化を完了させることが東京メトロの有価証券報告書により発表されています。

https://www.tokyometro.jp/corporate/ir/2022/pdf/202203_yuka.pdf

9000系に関しては、既にB修繕のリニューアル工事が施行された初期車の8編成(9101F~9108F)に関しては、8両編成化の対象外であり、このまま行けば2030年度までに新型車両に置き換えられる可能性が高いです。一方で中期車および後期車の15編成(9109F~9123F)に関しては、8両編成化の対象となっているため、リニューアル工事と中間車組み込みで実現するものと思われます。但し、新造中間車は2021年の9109F用の出場以降、製造の音沙汰がないため、9109F以外の8両編成化がどのタイミングで実現できるかは不透明です。

なお、8両編成化された後も相鉄線への乗り入れは行わない予定です。

(2023.7.11追記) 去る6月19日において、長らく新木場CRに入場していた9109Fが、”8両編成を組成して”CR内で構内試運転を行ないました。既存の6両に関しては、新造中間車に合わせて修繕工事が施工され、9101F~9108Fのようなデザインとなっています(機器更新も施工済み)。

その後、6月30日に9109Fが千代田線(北綾瀬〜根津間)で深夜試運転を行ったようです。

このことから、もう少しすれば9109Fが”8両編成”として営業運転に復帰するのではないかと思われます。

埼玉高速鉄道線

以前にも述べましたが、埼玉高速鉄道に関しては、”8両編成の新型車両を1編成導入”することが発表されています。近日、その新型車両の具体的な概要が明らかとなりました。

まず、新型車両の導入は、埼玉高速鉄道が直接購入する形ではなく、東京メトロと車両の調達契約を締結した上で、東京メトロが発注した新型車両を埼玉高速鉄道が購入する形で導入されます。このことから、今後東京メトロ9000系置き換え用の新型車両とも、もしかしたら共通設計で製造されるかもしれません。

また、東京メトロ有楽町線および副都心線の17000系をベースとした新型車両を導入するものと発表されていましたが、車両限界等の関係から白紙となったようです。

なお、埼玉高速2000系に関しては、新型車両によって置き換えられることはなく(予備車の増加が目的)、東京メトロ9000系のように8両編成化はなされません(6両編成のまま運行を継続)。

今のところは、新型車両は1編成のみの導入で、今後の増備は未定ですが、南北線の品川延伸や埼玉高速鉄道線の岩槻延伸の進展によっては、増備車が現れるかもしれません。また、南北線の車両同様、相鉄線への乗り入れは考えられていません。

埼玉高速鉄道の新型車両導入に関するニュースはこちらから。

埼玉高速鉄道「新型車両導入」へ 「南北線8両化」推進に協力体制 相鉄直通は? | 乗りものニュース
埼玉高速鉄道では、8両編成の車両が運行されていますが、全て他社車両となっています。埼玉高速鉄道が保有する車両の8両化はどうなるのでしょうか。

まとめ: 予備車確保がメインも、増結に向けて進行中

いかがでしたでしょうか?

今回は直通線開業から1ヶ月が経った今、相鉄線、東横線、目黒線の車両事情と今後の展開に関して説明しました。

上記で説明した内容を端的にまとめると、

  • 相鉄線→予備車確保で21000系を2編成増備、増備完了へ
  • 東急東横線→予備車確保で5050系を2編成10両編成化、増結完了へ
  • 東急目黒線→相鉄非対応の3020系全3編成を直通対応へ
  • 東京メトロ南北線→1編成が8両編成化の上、2023年度中に営業運転へ
  • 埼玉高速鉄道線→予備車確保の上、新型車両(8両編成)を導入へ

このようになります。

既に完了しているものもあれば、これから進むものもあり、直通線開業後も変化に富んでいるものと思います。

今後の各社における車両動向に注目していきましょう!

今回はここまでとなります!最後までご覧いただきありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました