皆様、こんにちは! U5swです。
今回は、小田急多摩線の相模原、上溝延伸に関して説明します!
小田急多摩線は、神奈川県川崎市麻生区の新百合ヶ丘駅から東京都多摩線の唐木田駅までを結ぶ、全長10.6kmの路線です。多摩ニュータウンの開発に合わせて1974年に開業した比較的新しめの路線であり、最初は小田急永山駅までの開業でしたが、1975年に小田急多摩センター駅まで、1990年に、唐木田駅までへと伸ばし、その後2004年にはるひ野駅が新規開業して現在に至ります。
多摩ニュータウンの発展と共に利用者も増加し、2000年代には新宿方面や東京メトロ千代田線への直通列車が設定され、都心とベッドタウンを結ぶ重要な路線となりました。
特に新宿〜永山、多摩センター間は、競合路線として京王線、京王相模原線が走っており、競争に負けないよう運賃面や設備面(代々木上原〜登戸、向ケ丘遊園間の複々線化)、列車面(直通の急行や快速急行など)に力を入れています。
そんな小田急多摩線には、新たな延伸計画があります。
それは、多摩線の「相模原、上溝への進出」です。
この延伸計画は、20年前から延伸を検討されるべきものとして位置付けられていました。2006年に相模原市内にある米軍施設の一部が返還されることが決定され、それに併せて、相模原市と町田市が延伸実現に向けて「延伸検討会」を設置し、2027年のリニア中央新幹線開業(予定)までに延伸を実現を目指すとのことです。
ルートとしては、唐木田駅から線路を伸ばし、町田市の小山田地区に1つ新駅を設置、そのままJR横浜線の相模原駅に直結する形で延伸します。さらに、JR相模線の上溝駅に直結する形で延伸し、都心、多摩地区〜相模原市中央区のアクセスを強化します。
小山田新駅は高架駅、相模原新駅は地下駅での建設が予定されており、上溝駅はJR相模線の線路に並行する形の高架駅とするとのことです。延伸区間はアップダウンが大きく、ほとんどがトンネル区間であり、相模原中心部は高架を建設できる用地がほぼないため、地下区間となるでしょう。
なお、建設費と収益性の関係から、まずは唐木田〜相模原間を延伸開業させ、収益をある程度確保できる状況になれば、相模原〜上溝間を延伸開業させるという、段階的な目標によって進めていく予定です。
さらに、上溝から先の田名地区、および鉄道空白地帯の愛川町を通り、最終的には小田急小田原線の本厚木駅まで伸ばす計画もあり、各地区においては延伸実現を希望する横断幕等が掲げられていますが、この計画は今のところあまり現実的ではありません。
多摩線の延伸によって、どういう効果がもたらされるのでしょうか?
まず1つ目は「都心と相模原市中央区が1本で繋がること」です。
これまで都心と相模原市を結ぶ路線として、
の2路線がありますが、これらはそれぞれ、相模原市の緑区と南区に直結しており、中央区へは橋本駅or海老名駅or町田駅でJR横浜線orJR相模線に乗り換える必要があります。
また、中央区は相模原市役所といった行政の中心地でもあり、都心方面からの直結路線が必要であるという見解から、ダイレクトに結ぶ路線が誕生することにより、都心のベッドタウンとしての役割も担う中央区と都心へのアクセスが格段に良くなると考えています。
また、延伸区間付近に広がる道路の大半は二車線道路であり、混雑や渋滞もよく起こり、バスの遅延等も良く発生することから、延伸による路線バスの再編により、沿線付近の混雑緩和も見込めるのではないかと思います。
南北に細長い町田市において、多摩境と町田中心部のほぼ中間に位置する小山田地区、この地区は険しい坂が多く、狭い道も多いので、バスによる交通アクセスは発達しているものの、十分便利かと言われるとそうとは言えません。
JR横浜線の淵野辺駅や町田バスセンターにアクセスする大型バスの運行はあるものの、多摩方面へは道が険しいため、唐木田駅へは小型バスの運行にとどまっており、輸送力に課題を抱えています。
その小山田地区に鉄道が通ることにより、交通アクセスが更に強化され、利便性の向上、およびバスが担ってきた役割を鉄道に置き換えることによる、周辺地域の混雑緩和にも繋がっていきます。
相模原市は、神奈川県で3番目に規模の大きい都市であり、政令指定都市にもなっています。
その相模原市の知名度の向上に向けて、東京〜名古屋間を更に速く結ぶリニア中央新幹線の建設および、橋本駅付近へのリニア駅建設と、小田急多摩線の相模原、上溝延伸が進められています。
この2路線の開業によって、相模原への知名度は更に上がることが期待できるでしょう。日本の新たな交通の要所として栄えるという期待がありますね。
ここまで多摩線の延伸概要と、延伸における効果について説明していきましたが、延伸した場合は、ダイヤはどのように変わっていくのでしょうか?2021年現在の現行ダイヤを元に予想を立てていきます。
まず、現在の多摩線の日中ダイヤは以下の通りです。
※土休日ダイヤの一部時間帯は、多摩線内各駅停車として運行される急行、多摩線内完結の各駅停車がそれぞれ1時間に3本ずつ運行される。
これが相模原へ延伸となった場合、急行や各駅停車はそのまま相模原方面に乗り入れるものと思われます。
また、その他の時間帯では急行に加えて快速急行も相模原方面に乗り入れることは濃厚でしょうし、平日朝ラッシュ時では一部の通勤急行が相模原始発で新宿方面に運行されることでしょう。
さらに、2016年の改正によって多摩線の乗り入れが取りやめられた「特急ロマンスカー」も、朝夕時間帯を中心に復活するのかなという予測もしています。相模原方面への着席需要や収益性向上、競合路線である京王相模原線の座席指定列車、「京王ライナー」に対抗するためという意味でも、復活する可能性はあるのではないかと思います。
次に、快速急行や急行といった優等列車の停車駅は、延伸によって停車駅がどうなるかを予測して行きます。現行の多摩線の停車駅は以下の通り。
これが延伸によってこのように変わると考えます。
延伸後の停車駅より、快速急行、通勤急行、急行の停車駅から唐木田駅を抜き、小山田駅(仮称)も通過させるようにしました。これは、相模原市中心部への速達性を考慮したのと、利用者数が多摩地区の中心駅(小田急永山、小田急多摩センター)や相模原地区の中心駅よりも少ないだろうという予測です。
2020年度の小田急多摩線各駅の乗降人数(参考文献:Wikipedia)を以下に示すと、
これを見ると、唐木田駅は急行以上の停車駅の中で最も乗降人員が少ないことがわかります。
また、小田急多摩センター駅は現在2面2線の駅ですが、唐木田駅開業前から2006年までは、車両の留置を目的として、待避線が2線あった2面4線となっていました。現在は待避線の線路が剥がされているものの、相模原延伸時に緩急接続できるよう、待避線を復活させる計画もあるため、小田急多摩センター駅で急行と各駅停車の緩急接続を実施するという意味で、唐木田駅を通過扱いにすることも考えられます。
小田急多摩線に限らず、全国の交通機関に言えますが、コロナ禍による減収の影響は、今後の建設において大きく関わってくるものと思われます。
外出自粛やテレワークの増加等で、2020年度は大きく乗降人員を減らし、加えて少子化が進行している中で、延伸における採算がしっかり取れるのかは懸念点の1つとなり得るでしょう。
今後の情勢によっては、相模原への延伸は実現できても、上溝まで延伸できるかは怪しくなってくる可能性もあり得ます。
小田急多摩線のルートを見ると、多少離れつつも京王相模原線とほぼ並行していることがわかります。実際、JR横浜線の相模原駅の1つ隣の駅は、京王相模原線の乗換駅である橋本駅ですし、JR相模線の上溝駅においても、2つ隣の駅は橋本駅です。
このことから、小田急多摩線が相模原にやってきても、橋本駅を中心とした緑区民は引き続き京王相模原線を使うでしょうし、一方南区民においては町田駅や相模大野駅から小田急小田原線を使うでしょう。
よって、小田急多摩線の利用者はほぼ中央区民に限られますし、その限られた需要の中で存在感を発揮できるかがカギとなるでしょう。
小田急多摩線が相模原駅に延伸することによって、駅名に関する問題も出てきます。
既に小田急小田原線には、「小田急相模原駅」という駅があり、JR横浜線の「相模原駅」とは全く離れた場所に位置しています。この状況から、多摩線の延伸に伴って、そのまま「相模原駅」としてしまうと、小田急相模原駅と区別がはっきりつかなくなってしまい、降りる駅を間違えてしまう客が多くなってしまうという問題が発生してしまいます。
そのため、駅名に関する工夫や、改名といった対策が必要となってきます。
個人的には、JR横浜線の相模原駅に乗り入れる小田急多摩線の駅を「相模原中央駅」として、相模原市の「中央区」にあることをよりはっきりとさせるか、
小田急小田原線の「小田急相模原駅」を例えば「相模台駅」や「相模が丘駅」、または「南相模原駅」というように改名するといったことが挙げられると考えます。
いかがでしたでしょうか?
今回は小田急多摩線の相模原延伸に関して説明しました!
相模原市の知名度向上や地域活性化、および小田急のさらなる発展に期待していきたいと思います!
今回はここまでとなります!最後までご覧いただきましてありがとうございました!