皆様、こんにちは。U5swです。
今回は、最近気になる情報が入ってきた、東急大井町線の車両事情に関して説明します!
東急大井町線は、東京都品川区の大井町駅から、神奈川県川崎市高津区の溝の口駅までを結ぶ全長12.4kmの路線です。
大井町線は、JR南武線やJR横浜線といった、都心から放射状に伸びる路線を繋いでいく「バイパス路線」としての役割が強く、旗の台駅で池上線、大岡山駅で目黒線、自由が丘駅で東横線、二子玉川駅で田園都市線とそれぞれ接続しています。また、早朝深夜の各駅停車や、日中から夕方にかけての急行は、田園都市線に乗り入れを行っており、各駅停車は鷺沼駅まで、急行は長津田駅、中央林間駅までそれぞれ乗り入れています。
2022年現在、大井町線では4種類の車両が走っており、各形式において用途が決まっています。車両形式は以下の通り。
大井町線では、ホーム有効長の関係上、急行が7両編成(ただし、代走で5両編成が使用される場合がある)、各駅停車が5両編成の車両で用途が分けられています。
また、急行車両は新製時から大井町線で活躍しているのに対し、各停車両は新製時は他線区で活躍し、その後転用の上大井町線で活躍しているのがほとんどです。
実際、9000系は1編成を除いて元々は東横線で、9020系は元々2000系という形式で田園都市線でそれぞれ活躍したのち、大井町線に転属して運用に就いています。
ここまで、大井町線の概況と車両事情に関して説明しましたが、最近東急が発表した資料の中に、気になる情報があったので紹介します。まず、資料を以下に示します。
鉄軌道旅客運賃の改定申請について (補足説明資料)-2022年1月7日 東急電鉄株式会社
https://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20220107-1-3.pdf
この資料は、東急の運賃の引き上げがメインで発表されていますが、その次の「設備投資計画・お客さまサービス」の中に、
・新型車両への更新 ~田園都市線に続き、大井町線で新型車両への置き換えを実施~
という記載があります。
現在、田園都市線では、爆音ベテラン車両である8500系を置き換えるために、2020系の導入を進めていますが、これが完了次第、大井町線にも新型車両を導入することが記されています。よって、有力視されているのが、
“6020系の5両編成ver.を導入し、既存の9000系と9020系を置き換えるのではないか”
ということです。
9000系というと、角型のライトにVVVFインバータ制御と、一見そこまで古そうな車両に見えない(個人的な印象)デザインや機器を搭載しているものの、製造年は1985~1990年と、全編成が登場から30年以上経過しており、2022年現在の東急においては、8500系の次に古いベテラン車両です。
ベテラン車両の不安要素として付き物なのが、車体や車両の老朽化です。車体は比較的長持ちしやすいステンレス車体を採用しているものの、経年劣化は避けることができず、また、制御装置の部品調達もほぼなくなっていることから、新型車両への置き換えにちょうど良いタイミングと判断されたのでしょう。後は東急のブランドイメージ向上等が挙げられます。
9000系は美しいGTO-VVVFインバータ音を奏でる車両として、ファンから絶大な人気を誇る車両として有名なだけに、今回の新型車両導入報道に衝撃を受けた方も多いと思われます。
以上から、9000系の東急撤退がほぼ確実となってきましたが、
問題は、そのまま廃車にするのか?それとも他社に譲渡するのか?です。
特に東急は、そのまま廃車にせず、地方の中小私鉄に譲渡した上で、第2の鉄道人生を送る車両がほとんどです。これは、東急の車両がステンレス車体であり、他の車両よりも比較的長持ちしやすいからだと考えられます。
その中で、他社譲渡先として有力視されているのが、「伊豆急行線」です。
伊豆急行は静岡県の伊豆半島を走る路線であり、東急グループの企業でもあるため、非常に関わりの強い地方私鉄です。
その伊豆急行では、元々東横線や大井町線で活躍をしていた8000系が2005年から使用されています。
しかし、東急時代から数えて登場から50年ほど活躍していることもあり、そろそろ置き換えないとマズイ車両でもあるので、その置き換え対象として9000系が有力視されています。9000系は8000系同様、20m4ドア車のため、置き換えに相応しい車両と言えます。
しかし、伊豆急行と言えば、最近8000系を置き換えるために最近譲渡された車両が話題となっています。
それが、元JR東日本の209系こと、3000系です。
3000系(元209系)は、元々京浜東北・根岸線用として活躍した後、E233系1000番台に置き換えられ、内房線や外房線を中心とした房総地区で第2の活躍を続けていました。しかし、房総地区にE131系が導入されたことで置き換え対象となり、異例の2度目の転属(しかも他社譲渡)でやってきました。3000系は2022年春のデビューが予定されており、既存の8000系の一部を置き換える予定です。
よって、3000系を8000系置き換え用として導入するのだから、9000系を譲渡する必要はないのでは?と思う方が多いと思います。実際、3000系(209系)と9000系は3000系の方が製造年が若く(先行試作車の901系でも1992年製造)、9000系の譲渡はメリットがないのでは?と考える方もおられるでしょう。
しかし、3000系もといJR209系は、「寿命半分、価格半分、重量半分」をコンセプトに開発された、メンテナンスコストを大幅に削減することを目指して製造された車両であるため、他の車両よりも1年でも長く使用することに重きを置いた車両ではありません。
このことから、3000系が活躍するのは短期間に留まるのではないかと言われており、中には、「3000系は9000系を完全に譲渡するまでの一時的な繋ぎとして、伊豆急行線で短期間活躍するのではないか」とも言われています。
※ちなみに、209系の導入コンセプトに関しては、以下の記事で詳細が記されています。こちらもご覧ください。
なお、現在8000系は3両編成15本が在籍しており、9000系も5両編成15本が在籍しているため、9000系全編成を譲渡すれば、8000系をちょうど全て置き換えることは可能です。
※とはいえ、現時点で9000系の処遇がどうなるのかは全くハッキリとしておらず、今後の各鉄道会社の事情によっては大きく変わることもありますので、あくまでも推測と捉えてください。
9000系の処遇と共に気になるのが、9020系です。
前半にも説明していましたが、9020系は元々2000系として、田園都市線と東京メトロ半蔵門線で活躍していた車両でした。しかし、2020系の導入と、東武線に乗り入れできない車両(通称「サークルK」車両)だったため、本来の10両編成から5両編成に短縮し、VVVFインバータ制御装置の換装(GTO素子→SiC-MOSFET素子)と各種内装をリニューアルした後、9020系と改められ大井町線で活躍しています。
問題は、この9020系も置き換えの対象となるのか?というところです。
9020系もとい2000系も1992-93年に製造され、登場から30年近く経とうしているベテラン車両(東急基準)ですが、リニューアル工事が施行されていることもあり、置き換えるにはまだ早いという見方もあります。
しかし、制御機器類の統一やメンテナンスの手間等を考えると、9020系も9000系同様置き換える可能性は十分考えられると思います。
置き換え用の新型車両をどれだけ導入するのか、詳細な公式発表を待つべきですが、こちらも置き換えられる車両と考えていいものと思われます。
いかがでしたでしょうか?
今回は東急大井町線の今後の車両事情を中心に説明しました!
関東の鉄道車両は比較的早い段階で置き換えられる傾向にありますので、9000系、9020系両形式とも、記録は今のうちに行っておくことをおすすめします。
今後大井町線の車両がどのように変わっていくのか、注目し続けて行きたいものです。
今回はここまでとなります!最後までご覧いただきましてありがとうございました!