皆様、こんにちは。U5swです。
今回は、2021年からローカル線を中心に導入が進んでいる新型車両、E131系に関するここまでの評判に関して説明していきます。
まず、E131系とは、2021年からJR東日本のローカル線区間を中心に導入されている形式です。現在では、主に3つの地区でそれぞれ主力として活躍しています。
なお、E131系の詳細に関しては、こちらの記事で紹介しているので、併せてご覧ください。
現在、3つの地区で導入されているE131系の導入目的は何なのか?簡単にまとめておきます。
まず、車内サービスの拡充ですが、具体的には、
が挙げられます。現在の新型車両導入における最新機器を搭載し、快適に利用できる環境を整えています。
次に、従来車両の世代交代ですが、E131系はそれぞれ、
を置き換えています。置き換えられた車両はそれぞれデビューから30年前後が経ったベテランの車両であり、老朽化も進んでいたのと、先述の車内サービスと後述のワンマン運転の実現もあり、世代交代の対象となりました。
最後に、E131系導入の主目的と言ってもよいのが、
ワンマン運転の実施です。
近年では全国のローカル線を中心に、「少子高齢化に伴う人員不足」や「それに伴う人件費削減」、「ワンマン運転設備の発展」等によりワンマン運転が進んでいます。
E131系が導入された線区では、4両編成といった短編成の列車で運行されていましたが、ワンマン運転は行われておらず、運転手と車掌が乗務する「ツーマン運転」が行われていました。
E131系が導入された線区においては、
それぞれワンマン運転を開始しています。
このように、ローカル線でE131系の導入が進んでいますが、現在は各地区において、E131系の導入に賛否両論分かれています。一体どういう理由で評価が分かれているのかを詳しく見ていきます。
E131系の第1陣である0番台と80番台ですが、現時点での評価は全体的に見て厳しいものとなっています。
評価が厳しい理由としては、
この2つが考えられます。
まず、編成両数ですが、E131系は、房総地区の中でも特に利用者が少ない木更津〜館山〜上総一ノ宮間を走行するため、従来の209系よりも短い2両編成を組成しています。しかし、元々が4両編成や6両編成である区間から、一気に2両編成に減車したことで、混雑が激化してしまっています。
特に、内房線の木更津、君津や外房線の上総一ノ宮に関しては、千葉、蘇我方面からの列車は、209系(4両or6両or8両)以外にも京葉線のE233系10両編成や総武快速線のE217系orE235系の11両or15両編成も乗り入れるため、乗り継ぎの際は編成両数の差があまりにも大きくなり、利用客が一気に集中してしまうことから、混雑が発生してしまっています。
一部E131系同士を連結した4両編成の運用がありますが、基本的には2両編成であり、夕方の混雑時間帯も2両編成で運用に入る列車もあるため、沿線住民のことを考えると評判が悪くなってしまうのは当然と言えるでしょう。
実際、2022年のダイヤ改正では、利用状況を踏まえて、朝ラッシュ時間帯に209系の館山乗り入れが復活するなど、利用客に合わせた輸送体系の見直しが行われたりと改善に努めていますが、先述したE131系の導入目的である、
の2点に関しては、100%達成できる状況ではないということからも、E131系の導入は成功と言い難いのが現状です。
https://www.jreast.co.jp/press/2021/chiba/20211217_c01.pdf
↑209系の館山乗り入れ復活に関しては、JR東日本のプレスリリースでも掲載されている。
今後の209系の処遇をどうするのかが不明なので何とも言えないところが多いですが、もし現行区間をE131系に統一するのであれば、現行の2両編成12本では明らかに輸送力不足に陥るため、増備をしなければならないと考えています。
次に、ワンマン運転開始によって、乗降に伴う事故が発生した件に関しては、運転手がドア閉めの際に、降車しようとした方が接触し骨折するという事故が発生したり、同じく降車の際にドアが閉まって挟まりかける事態が発生しました。詳細は以下のニュース記事に掲載されています。
ワンマン運転のデメリットとしては、ドアの開閉やホームの監視といった、本来は車掌が行っていた任務を運転手が一任しないといけないことや、運転操作を行わなければならないため、車両の後方から安全確認を行えず、モニタで監視する必要があります。
人口減少への対応や人件費削減の観点からワンマン運転が拡大していますが、こうした事故から安全性に対する疑問が問われたり、ワンマン運転を中止する署名が沿線住民を中心に集まったりという事態に発展しています。
これを受けてE131系では、扉の開閉時に稼働する「ドアチャイム」や「開閉予告灯」を、”ドア開閉と同時に稼働するシステム”から、”ドアが開閉する前に稼働するシステム”に変更したりと対策を講じています。
しかし、このような命に関わる事件が起こっている現状を踏まえると、安全性の面でも導入は成功と言い難いですね。
佐原〜鹿島神宮間で運行中の鹿島線では、普段は房総地区と比較してそこまで問題の声は挙がっていませんでした(ラッシュ時は混雑が激しくなっているようですが…)。
しかし、最近とあるイベントの開催にE131系を使用したことによる問題が発生したようです。
それは「Jリーグの開催日」です。
鹿島と聞いて真っ先に思い浮かべるのが、サッカーJリーグの「鹿島アントラーズ」を思い浮かべる方が多いでしょう。
その鹿島アントラーズのホームスタジアムが「茨城県立鹿島サッカースタジアム」であり、その最寄り駅がJR鹿島線、および鹿島臨海鉄道の「鹿島サッカースタジアム(臨時駅)」となります。
つまり、サッカーの試合が開催される際は、鹿島線はサッカー観戦客の輸送を担うこととなります。
しかし、E131系2両編成での運行が主体となったことで、従来の209系4両編成から輸送力がほぼ半減したことから、積み残しが発生してしまったようです。
新型感染症によるサッカー観戦者数の規制が徐々に緩和されていること、当該試合はゴールデンウィークの真っ只中ということもあり、観戦者は当然多い中かつ、帰省ラッシュによる高速道路の渋滞から鉄道での利用者が多くなることが十分想定できる中で、E131系の2両編成での運行はあまりにも悪手すぎると思います… 鹿島線は本数も少ない路線ですし…
せめて4両編成に増結するか、ツイ主のおっしゃる通り209系で代走すべきだと思います。
この日のサッカー観客輸送に関する出来事は、ニュースにもなっています↓
なお、JR東日本はさすがに不味いと感じたのか、5月14日の試合開催日は209系4両編成を使用しての運行が行われたようです。
おそらく、今後試合開催日は209系を使用しての代走が行われると思うので、そこまで問題にはならないと思います(願っています)。
E131系の第2陣である500番台と580番台ですが、今のところ特に問題はないようです。
相模線に導入されたE131系は、205系500番台と同様の4両編成、車内トイレなし仕様で製造されています。そのため、先述の房総地区や後述の宇都宮地区とは異なり輸送力が縮小されておらず、車内サービスも拡大されているため、E131系導入は現時点で成功と言えるでしょう。
ワンマン化や編成数減によって横浜線の八王子直通がなくなるというデメリット等はありますが、ここまで沿線住民からのクレーム等も発生していません。
E131系の第3陣である600番台と680番台ですが、こちらは宇都宮線、日光線共にラッシュ時間帯に問題が発生しています。
具体的には、「混雑率悪化による積み残し」が大きな問題となっています。
問題が起こっている原因は以下の通り。
まず、房総地区同様、1編成あたりの両数が減ってしまい、1列車あたりの乗客数が減少してしまっています。
その結果、宇都宮線では宇都宮〜氏家間で、日光線では宇都宮〜鹿沼間において、ラッシュ時間帯を中心に混雑が激しくなっており、乗車できないまま次の列車を待つ「積み残し」が発生してしまっています。
E131系は現在、宇都宮線では3両編成の運用と、2本繋げた6両編成の運用を行っており(宇都宮〜宝積寺間は烏山線直通列車もある)、日光線では3両編成の運用のみとなっています。
E131系導入前は、宇都宮線が205系の4両編成の運用、2本繋げた8両編成の運用があった他、E231系orE233系の5両編成、10両編成(グリーン車つき)の運用がありました。また、日光線が205系の4両編成での運用だったため、両路線とも全体的に両数が減る形となっています。
また、新型感染症の影響もあってか、日光線の朝ラッシュ時間帯は減便が行われており、混雑に更なる拍車をかけてしまっています。減車に加えて減便もするとは、利用者からすると「改悪」と言わざるを得ないですよね…
宇都宮線も日光線も、全体的に見て運行本数が毎時2〜3本と多くなく、積み残しで乗れないとなると次の列車までに長時間待たされるので、デメリットしかありません。
TwitterやYoutubeでは車内の混雑や積み残しの現況を伝える情報が絶えないですし、日光線のラッシュ時には係員を配置するほどにもなっています。
そして、乗客のクレームが以下のニュースにもなっています。
現在の状況を見ると、まずは係員の誘導や利用者の意識で分散乗車を促して積み残しを防ぐことが求められますが、それだけでは解決に至らない状況であるため、早急な改善策を施す必要があります。
まず、宇都宮線に関しては、以下の改善策が考えられます。
本来であればE131系を増備するのが最善と言えますが、そう簡単に増備はできないと思いますし、他の車両に応援に入ってもらうこととなります。1番有力なのは、車両運用に余裕があるE231系orE233系を入れることだと思います(烏山線のEV-E301系や、東北本線<黒磯〜新白河間>用のE531系は編成数に余裕がない)。
宇都宮〜黒磯間はワンマン運転に統一したいというJR東日本側の意向もありますが、こうも言ってられない状況なので、
次に、日光線に関しては、以下の改善策が考えられます。
日光線は現在全て3両編成での運行かつ列車の本数が減っているので、増発および増車の対応が必要となってきます。そのためにも、先述したE131系以外の車両を宇都宮線の応援に入らせて、余ったE131系を日光線の増結分に回せれば混雑緩和を実現することができると考えています。
いかがでしたでしょうか?
今回はE131系導入後の各地区での評価に関してまとめてみました。
結論を端的に言えば、
「E131系を導入することはいいけれど、減車するのはダメ!」
ということに落ち着きますね。
相模線用の500,580番台は両数に変化がなかったのでいいとして、他の2グループに関しては、4~10両で走っていた線区が2,3両に減車されているのが、評価を下げている大元の原因となってしまっています。
JR東日本の減車の意図としては、
これらのことが考えられます。しかし、房総地区や宇都宮地区の利用状況を見る限り、
この4点を見越した上で新型車両を導入すべきだと思われます。
確かに、新型感染症の流行が続く中で、JR東日本を始め多くの鉄道会社が厳しい経営を強いられている中で、製造コストの削減やワンマン運転拡大による人件費の削減が求められているので、置き換え前の水準を維持するのが厳しいのは承知なことですが、行き過ぎた削減がかえって乗客へのサービス低下に繋がってしまいます。
可能な限りコスト削減に努めつつ、乗客へのサービス提供を疎かにしない。このバランスを保つのは簡単なことではないと思いますが、今回のE131系導入後の状況を踏まえ、今後の教訓として活かしていただきたいものです。
JR東日本が今後どのような改善を施すのか、そして、改善の効果はどう現れるのか、引き続き注目していきたいものです。
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきましてありがとうございました!