皆様、こんにちは。 U5swです。
今回は東急の座席指定車両、「Qシート」に関する説明と今後について紹介していきます!
Qシートは、2019年に東急電鉄が導入した座席指定車両です。Qシート運用時は”クロスシート”、それ以外の列車の場合は一般車両と同様”ロングシート”に切り替える「デュアルシート」を採用した車両を1編成につき1両組み込んで営業しています。
現在は東急大井町線の急行車両、6000系(6101F、6102Fの2編成のみ)と6020系(6121F、6122Fの2編成)の4編成の各3号車に導入されており、平日夕方から夜にかけて運行される、大井町発長津田行きの急行列車でQシートを運用しており、それ以外の時間帯はロングシート状態で一般運用に就いています。
2022年改正時のQシート営業列車は以下の通り(全て急行長津田行き)。
大井町線のQシートに関しては、乗車券の他に座席指定券400円が追加で必要となります。また、乗車可能駅は大井町、旗の台、大岡山、自由が丘、二子玉川の5駅のみとなっています。一方、溝の口と鷺沼の2駅に関しては降車専用駅で乗車ができません。また、たまプラーザ、あざみ野、青葉台の3駅に関してはフリー乗降区間であり、座席指定券を持っていない乗客もたまプラーザから先は自由に利用することができます(他の一般車両に乗車している方は、たまプラーザ到着時にQシート車両に移動して利用することも可能)。
座席指定券の購入方法はQシートのチケットレスサービスか、上記の乗車可能駅の改札窓口の2通りとなっており、前売での販売は行っていません(全て乗車日当日の朝5時から当該列車の出発時刻1分前までの販売)。
座席指定車両「Qシート」を導入することによるメリットとデメリットは何でしょうか? 考えられることを以下に挙げてみました。
まず、多くの利用客で賑わうラッシュ時に設定されることで、車内の混雑を避けてゆったりと座席を利用することが出来るので、混雑によるストレスを緩和し、快適さを味わうことができます。
Qシートには座席サービスだけでなく、電源コンセント、ドリンクホルダー(一部座席)、車内のフリーWi-Fiサービスを利用することが出来るため、充実した車内空間を提供しています。
また、鉄道経営の面においては、乗車料金に上乗せして座席指定料金を収入源として得られるため、収益性が向上します。近年では少子化や感染症拡大の観点から利用者が少なくなっている傾向にある分、客単価を上げる代わりに上質な車内空間を提供する鉄道会社が増えており、東急はQシートという形で提供しています。
Qシートは、他のライナー列車や特急列車といった全車座席指定サービスではなく、一般の車両の中に1両だけ組み込んだ座席指定サービスとなっています。そのため、Qシートを利用しない乗客にとっては、Qシート運用時の一般車両の混雑度が上がってしまい、車内環境により閉塞感を生み出してしまうこととなります。特に多くの乗客で賑わう夕ラッシュ時に運用されることもあり、Qシートの運用に賛否両論別れてしまっています。
また、Qシートは利用する乗客とそうでない乗客を分ける必要があるため、乗車可能駅では乗車に時間がかかってしまう(乗車の際は係員に指定券を見せる手続きが必要)分、遅延が発生しやすくなるデメリットも生じてしまいます。
現在大井町線の急行に限定して運用を行っているQシートですが、東急はこの座席指定サービスのQシートを大井町線(田園都市線)以外の線区でも導入しようという動きがあることが明らかとなっています。
東急が発表した2022年度設備投資計画によると、
座席指定サービスの「Qシート」に関して、利用状況等を踏まえて他路線へ展開する等のサービス拡充の検討を深める。
という記載があり、座席指定サービスの拡大に積極的な姿勢を見せていることが伺えます。
東急2022年度設備投資計画↓
https://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20220513-2-1.pdf
東急は田園都市線、東横線を中心に、東京都心から神奈川県央部方面や川崎、横浜方面へ結ぶ主要路線を抱えており、ラッシュ時はもちろん、ほとんどの時間帯において多くの利用者で賑わっています。特に特急や急行といった優等列車は常に混み合っているため、Qシートがあると快適な通勤・通学を実現することが可能となります。
先日ですが、J-TREC横浜工場において、来たる2023年3月開業の相鉄・東急直通線、および相鉄線の直通対応工事を施行している東急5050系5166F改め、4112Fに関する情報の中に、気になることが明記されていました。それはこちら…
なんと、今回5166F改め4112Fに組み込まれた新造中間車の内の1両に、座席がデュアルシートタイプのものとなっており、Qシートになるのではないかという目撃情報が入ったのです!
現段階では確定事項のため、あくまでも予測に過ぎませんが、もしかすると今後、東横線にQシートを組み込んだ列車が走る可能性が出てきました。
この情報は流石に予想外すぎましたね…
東横線の主力車両である5050系は、2023年3月の相鉄・東急直通線開業に伴う相鉄直通対応工事を施行しており、本来の4000番台(10両編成)の11編成が対象となっている他、相鉄線直通列車用に従来の8両編成の内、5166F〜5169Fの4編成にも対応工事を施行し、新たに新造中間車を組み込んで4000番台化(10両編成化)することとなっています。
その中で、今回5166F改め4112Fの新造中間車に「Qシート」と思われる車両が組み込まれるということは、今後5167F→4113F、5168F→4114F、5169F→4115Fの新造中間車にもQシートが組み込まれる可能性は大いに考えられ、早ければ2023年3月の改正と共に、この4編成限定で東横線内でQシートを運用する列車が現れるかもしれません。
上記のような予想がもし真であり、Qシートを東横線で導入するとするならば、どの列車に導入する可能性があるのか? 現段階での個人的予想を述べていきます。
まず、Qシート運用日と運用する方面に関しては、
「平日夕方の横浜方面行きの列車」
が濃厚でしょう。これは、大井町線のQシートが平日夕方の大井町発長津田行きで運行されていることから、帰宅時間帯の都心から郊外方面への需要を踏まえるとこの時間帯に設定される可能性が高いと思われます。
続いて、運用対象種別と運用区間に関しては、
「渋谷→元町・中華街間の通勤特急」
と予想しています。
まず、通勤特急は、平日ラッシュ時間帯における東横線の最速達種別です。夕ラッシュ時の通勤特急は、渋谷→横浜間を30分で結ぶため、利用者が常に多い種別となっています。
また、通勤特急は、副都心線や西武線、東武線から直通してくる列車ですが、Qシートを運用する場合、その通勤特急の始発駅は渋谷になる可能性が高いかなと思います。
その理由としては、まずQシートが東急主体で運行されている座席指定サービスであり、他社線に直通する場合はQシート運用に関する調整や直通先での指定料金の設定が必要である(みなとみらい線は特に問題はないので除外)ことと、2023年3月に相鉄線直通列車が設定されることから、和光市方面からやってくる通勤特急を相鉄線直通列車として回していけば良いと考えているからです。
東横線、みなとみらい線、および副都心線(西武線)では、2017年から全車座席指定列車「S-TRAIN」を運行しているため、ホーム内での座席指定券売機等の設置は既に行われています。もし、東京メトロとの調整がうまくいけば、新宿三丁目や池袋始発でも運行できる(副都心線内は通勤急行として運行)と思いますが、導入段階では渋谷始発が濃厚と考えていました。
投稿時点では、東急主体の座席指定サービスということから、渋谷始発が濃厚と予想していましたが、配線の都合から新宿三丁目始発が濃厚かもしれないという予想を新たに立てました。その根拠としては、
が挙げられます。
まず渋谷駅は2面4線の構造であり、
(※) 定期運用では設定がないが、試運転列車や緊急時の場合は副都心渋谷止まりの折り返し列車が使用する場合がある。
現状、東横線渋谷止まりの折り返し列車は、折り返し時間に余裕がなく、日中時間帯の各駅停車でも僅か1分と短いのが特徴です。東横線自体運行頻度の多い路線ですし、渋谷駅で緩急接続を行う列車もあるため、夕ラッシュ時においてQシート車両の折り返し作業を渋谷駅で行うとなると、他の列車の運行を大きく妨げてしまう恐れがあるので、現実的とは言えません。
しかし、新宿三丁目駅の場合、渋谷方面から当駅で折り返す列車は、池袋方の引き上げ線に入庫した後、折り返して渋谷方面行きの列車に充当されます。そのため、引き上げ線に入庫する点で他列車の運行の妨げにならず、また、余裕を持って折り返しができるため、新宿三丁目始発の方が現実味があるでしょう。新宿駅の隣ということもあり、湘南新宿ラインの対抗としても有効です。
新宿三丁目→渋谷間を回送扱いとしても良いと思っていましたが、どうせなら新宿三丁目から乗客を運べば、一般車両利用の乗客も運べて効率が良いので、新宿三丁目始発が望ましいと言えます。この場で考えを訂正します。
相鉄線直通列車へのQシート導入に関しては、そもそも相鉄線内に座席指定サービスが導入されていないことと、新横浜・二俣川方面の需要よりは、横浜・みなとみらい方面の需要の方が大きいことが見込まれるので、こちらもQシート導入は現実的でないと言えるでしょう。また、相鉄・東急直通線自体開業していないので、需要がどのくらいになるのか未知数な段階から座席指定車両を導入するとなると、万が一失敗した場合のリスクが大きいので、当面は様子を見つつ、座席指定車両導入を求めるほどの需要と沿線の声が出て来れば、誕生するものと見ています。
Qシートの乗車専用駅、降車専用駅、フリー乗降区間を予想は以下の通りです。
まず、都心の新宿三丁目や渋谷、中目黒に関しては、乗車専用駅として設定した方がいいでしょう。
次に、大井町線との乗り換え駅自由が丘や、渋谷と横浜の中間地点でJR南武線との乗り換え駅武蔵小杉は、乗客の入れ替わりが起こるため、乗降どちらも可能な駅として設定します。
その次に、東急新横浜線及び横浜市営地下鉄グリーンラインとの乗り換え駅日吉や、JR横浜線との乗り換え駅菊名に関しては、横浜側に近いこともあり、乗車の需要は少ないことから降車専用駅として設定します(但し日吉は乗車可能にしても良い)。
最後に横浜以東のみなとみらい線の区間は、利用客が少なくなり、座席指定料金を設定するメリットもないため、誰でも利用できるフリー区間として設定します。
ちなみに、Qシートの東横線導入に関する予兆は既にあったという情報も出ています。それがこちら。
なんと、東急のS-TRAIN座席指定券売機において、現在S-TRAINが通過する「中目黒」「武蔵小杉」「日吉」「菊名」への到着駅ボタンが設定されていました。
当初はS-TRAINの停車駅増加を見越して設定されているものと思われていましたが、Qシート導入の可能性が出てきたことで、S-TRAIN通過駅の行き先ボタンが設定されている理由の整合性が一応取れることがわかりますね。
通勤特急が停車し特急が通過する日吉も行き先が設定されていることを考えると、平日夕方の通勤特急にQシートを導入する可能性は考えられることがわかります。
まだまだ不確定要素は多いですが、これは面白い話題ですよね…
いかがでしたでしょうか?
今回は東急の座席指定車両「Qシート」と、東横線に導入される可能性に関して説明しました。
現段階では確定要素が少ないですが、もし導入するとなればまた大きな歴史が動くこととなります。
今後の進展に期待しましょう!
今回はここまでとなります!最後までご覧くださいましてありがとうございました!