皆様、こんにちは。U5swです。
今回は東急大井町線の各駅停車の車両に関して説明します。
東急大井町線は、東京都品川区の大井町駅から、神奈川県川崎市高津区の溝の口駅までを結ぶ、東急電鉄の路線の1つです。
途中、旗の台駅で池上線、大岡山駅で目黒線、自由が丘駅で東横線、二子玉川駅と溝の口駅で田園都市線と接続しており、東急の各路線を結ぶ「バイパス路線」として機能しています。また、一部列車は二子玉川駅から田園都市線に乗り入れ、各駅停車は鷺沼駅まで、急行は中央林間駅までそれぞれ乗り入れを行っています。
大井町線には急行と各駅停車の2種別が運行されており、急行は7両編成、各駅停車は5両編成の車両を使い分けて運行しています。また、各駅停車には細かく分けて2種類あり、
が運行されています。
大井町線の各駅停車では、2022年現在、以下の2形式によって運行されています。
東急の次世代型通勤型車両として1986年にデビューした形式です。8両編成14本(9001F~9006F,9008F~9015F)と5両編成1本(9007F)が製造され、8両編成は東横線で、5両編成は大井町線でそれぞれ活躍を続けていました。
その後、2013年3月に東横線が東京メトロ副都心線と相互直通運転を行うにあたり、副都心線の保安装置であるATO(自動列車運転装置)との相性が悪く、また、副都心線が2008年に開業した路線であることから、急勾配区間が多く、9000系ではその区間を走行するのが厳しいという判断から、後継車両の5000系および5050系の転属、新製によって東横線から撤退することとなりました。
東横線から撤退した8両編成14本は、中間車3両を抜いて5両編成に短縮され、大井町線の各駅停車車両として転属しました。これで、8500系と8590系を置き換えています。
2022年現在も全15編成が大井町線で活躍を続けています。なお、先行試作車である9001Fは、2022年5月の8500系8631Fの引退によって、東急線で走る最古の編成となっています(2023年1月で引退予定の8637Fは1987年製造)。
田園都市線の輸送力増強用として1992年に2000系としてデビューしました。10両編成3本が製造され、田園都市線と東京メトロ半蔵門線で運行を続けていました。
しかし、2018年より後継車両の2020系が登場し、田園都市線の車両を5000系と2020系に統一すると共に、全ての車両を東武線直通に対応するため、東武線に直通できなかった2000系(通称:サークルK車)は2020系の置き換え対象車両となりました。
その後、2000系は3編成間で編成組み替えによる5両編成化とVVVFインバータの換装(GTO素子からフルSiC素子へ変更)、内装の更新を行い、9020系に改番・編入の後、2019年より大井町線各駅停車車両として転属しました。2022年現在、全3編成が活躍を続けています。
そんな9000系と9020系ですが、ここ最近抱えている悩みの種として、
「車両故障が頻発してしまっている」
ことが挙げられます。
特にここ最近の故障の頻発具合はとても酷く、
“1ヶ月半で5度の車両故障”
が起こっている緊急事態となってしまっています。
一体なぜ、ここまで車両故障が相次いでいるのでしょうか? 次は、私が考えた原因に関して挙げていきます。
車両故障が起こっている原因として、
まずは、経年による老朽化が原因の1つでしょう。9000系は1986~1991年の間に製造、9020系(元2000系)は1992~1993年の間に製造された車両のため、ほとんどの車両が製造から30年以上経過しています。製造からの期間が長ければ長いほど、老朽化の影響度は大きくなり、車両故障へ繋がるリスクが高くなってしまいます。
また、9020系は制御装置を交換していますが、9000系は登場時から制御装置を変えず(GTO-VVVF)運行を続けているというのも、劣化による車両故障が起こりやすくなっている要因とも言えるでしょう。
次に、大井町線各駅停車専属という運用に固定されていることから起こる原因として、こちらの事象を考えました。
先述の通り、大井町線には急行と各駅停車が走っていますが、両数の違いから各駅停車の車両が急行で運行することはありません(但し、緊急時に代走する場合もある)。
そのため、原則各駅停車で走ることから、全ての駅に停車しなければならず(一部通過駅はあるが)、駅を発着する度に列車の加速・減速を行い、ドア開閉を行う必要があります。
また、大井町線自体駅間が短い区間も多く、加えて通過運転を行う急行が並行して走っていることから、急な加速や減速を必要とする場面が多くなります。
頻繁かつ大きな加減速を日常的に行うことから、モーターやブレーキに大きな負担がかかってしまい、劣化を早めてしまっていますし、ドア操作も多いことからドア故障も起こりやすくなってしまいます。
上記の経年劣化も加え、このような路線環境の中で運行し続けるとなると、車両故障が起こりやすくなってしまうのは、ある意味当然と言えるでしょう。
「これだけ故障が頻発しているのであれば、一刻も早く新型車両に置き換えるべきでは?」
こう思う方も一定数おられるでしょう。
実は、大井町線の各停車両に関しては、以前東急の設備投資計画において、新型車両の導入に関する示唆がなされています。この件に関しては、以前こちらの記事でも紹介しています。
大井町線新型車両導入の旨は以下のプレスリリースに掲載されています。
https://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20220107-1-3.pdf
この時は、既に急行用車両として製造された6020系の5両編成ver.を各駅停車用車両として導入するのではという予想を立てましたが、その後詳細が記されていないので具体的な概要は分かりません。
2022年度の東急の新型車両導入に関しては、
という状況になっており、Qシート製造分も2022年度で完了する予定ですから、今後、東急電鉄が新型車両を導入できる余裕は確保されています。
9000系や9020系の車両故障が今後も頻発するようであれば、車両不足による運休といった影響をなくす上でも、新型車両の導入は早急に行われるかもしれません。
前回紹介した記事でも述べましたが、東急9000系が伊豆急に譲渡されるのでは?という予測を立てていました。伊豆急は東急グループの鉄道会社であり、伊豆急行線には元東急8000系の車両が譲渡された上で活躍しています。
8000系は9000系よりも更にベテランの車両であり、9000系よりも老朽化が進行しています。この8000系の置き換え用として9000系を譲渡させるのではないかと考えていました。
しかし、“その可能性は正直低い”という考えに改めました。
なぜなら、故障が頻発しているから。
やはり、これだけ車両故障が起こるとなると、譲渡しても稼働率が悪くなってしまう恐れが高いため、譲渡はされないと考えを改めました。
伊豆急譲渡説の際は、9000系の故障に関して目立った情報が入っていなかったのでこういう予測を立てましたが、9000系もそこまで若い車両ではありませんし、最近ではJR東日本の房総地区で活躍していた209系を譲渡して3000系として運行を行なっているのを踏まえると、今後8000系の置き換えは209系ベースの車両を譲渡する形で行う可能性があります。
事実、伊豆急線内にはJR東日本のE257系やE261系も乗り入れていることから、JR規格の車両を導入する方が理に適っていると言えます。
いかがでしたでしょうか?
今回は東急大井町線の各駅停車車両の最近の事情を中心にお伝えしました。
個人的には9000系および9020系には、故障に耐えつつ何とか踏ん張って長く活躍して欲しいと思う反面、故障が相次いで運行のトラブルを頻発させないよう、新型車両の導入を早急に進めていただきたいなと思っています。
従来車の平穏無事を祈りつつも、今後の車両動向に注目していきます。
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきましてありがとうございました!