皆様、こんにちは! U5swです。
今回は、先日発表された、阪急電鉄の2022年12月ダイヤ改正のニュースから、阪急京都線系統の話題に関して説明します。
2022年10月12日、阪急電鉄は公式HPで、2022年12月17日(土)より阪急全線においてダイヤ改正を実施することを発表しました。ダイヤ改正のリンクは以下の通りです。
阪急京都線系統のダイヤ改正トピックは以下の通りです。
とにかくトピックのウエイトが大きいので、次にそれぞれのトピックの詳細を解説します。
まず1番のトピックは、種別の再編でしょう。今回の改正前後において、種別と停車駅の変化を以下の表にまとめます。
まず皆さんがビックリしたと思うのが、
“準特急“という種別が阪急電鉄で誕生すること
ということでしょう。
そもそも準特急と聞いて思い浮かべる鉄道会社は「京王電鉄」でしょう。そもそも最近では京王以外で準特急という種別が存在せず、唯一採用していた京王でも2022年3月のダイヤ改正で特急に統合される形で消滅しました。
今回は快速急行を準特急に種別変更する形となりますが、種別変更を行なった理由として、
と考えられます。
続いての話題が、
京都線に”急行“という種別が15年ぶりに復活すること
です。阪急京都線は、準急や快速、快速急行があって急行がない特殊な路線ですが、2007年3月の改正までは、実際に急行は走っていました。
晩年の急行の停車駅は、
梅田、十三、淡路、南茨木、茨木市、高槻市〜河原町間の各駅
であり、現在の準急から南方駅と上新庄駅を除いた停車駅でした。これを見ると、梅田〜高槻市間の特急停車駅との差が南茨木駅のみとなっていますが、当時の特急は淡路駅を通過していました。
2007年3月のダイヤ改正で特急が淡路駅に新規停車することとなり、同時に急行の停車駅に南方駅と上新庄駅を加え、準急に種別変更を行いました。このタイミングで急行の運行が取り止められることとなりました。
また、2007年〜2009年に、春と秋の行楽時に臨時列車として、快速「いい古都エクスプレス」の運行が行われており、停車駅は現行の快速と同様で、梅田〜高槻市間は現行の準急のダイヤで運行し、高槻市〜河原町間は臨時のダイヤで運行していました(この区間は準急が減る代わりに普通を延長運行していた)。
その後2010年3月の改正から定期列車として設定され、下りは平日早朝、上りは平日夕ラッシュ時に運行されています(2013年まで準急と種別色が同じだったが、誤乗防止により変更された)。
そして、今回の改正で快速から急行に種別変更を行う形で復活することとなりました。
また、同時に西京極駅に新規に停車することとなりましたが、その明確な理由として、
「京都河原町駅まで運行している一部の普通or準急を、桂駅までの運行に短縮するため」
だと考えています。
現行の桂〜京都河原町間の停車駅に関しては、
となっており、各駅に停車する普通or準急が桂駅で折り返すとなると、西京極駅の停車本数が極端に少なくなってしまうため、大半は京都河原町駅まで運行しています。
しかし、今回復活する急行に関しては、平日・土休日の早朝・深夜時間帯に運行される予定であり、加えて桂駅には駅横に桂車庫が併設されており、早朝・深夜には桂発着の入出庫列車が多数設定されています。
よって、西京極駅を救済する形で急行を停車させ、京都河原町駅まで運行していた普通or準急の一部列車を桂発着に短縮することで、運用の効率化を図ることが考えられます。これにより、桂〜京都河原町間の運行本数は確実に減少することとなるでしょう。
この改正に関しては、利用者の少ない早朝・深夜時間帯に行われることからそこまで影響はないと思いますし、効率よく車両を回せる意味では良いと思います。
2019年のダイヤ改正で新たに新設された快速特急A。土休日の日中時間帯に3往復のみ設定され、途中の停車駅は淡路駅、桂駅、烏丸駅の3駅のみです。快速特急とは異なり十三駅を通過(但し保安装置の関係から運転停車を行う)しており、阪急全体において定期列車で十三駅を通過する唯一の種別です。
車両には6300系6354Fの6両編成「京とれいん」が専属で運用に入っています。元々は京都線の特急の主力車両として活躍していましたが、9300系の導入により置き換えられ、6354Fは6両編成に短縮の上、京とれいんとして改造され、2011年より快速特急の運用に入っています。
その後2019年に2代目となる京とれいん車両として、7000系7006Fの6両編成「京とれいん 雅洛」がデビューし、同時期に十三駅の5号線(京都線上り)にホームドアを設置することから、快速特急は7006Fに役割を譲り、6354Fは十三駅を通過する快速特急Aの運用に入ることとなりました。
ここで、快速特急Aが十三駅に停車しない理由は、
「6300系のドア数とドア位置がホームドアに合わないから」
です。阪急は基本3扉車ですが、6300系は元々特急専用車両ということもあり、登場時から2扉車として活躍していました。しかし、十三駅に設置されたホームドアは3扉車のみに対応しており、元々2扉かつ、ドアの位置が特殊な6300系はホームドアの位置に合わないため、十三駅で乗降扱いが物理的にできなくなってしまいました。
6300系に合わせるため、ホームドアの一部を拡幅式にすることも可能でしたが、6300系の運行が土休日の昼間時間帯の3往復のみという超限定的な運行であることから、その列車のためだけにホームドアを合わせるのは非常にコスパが悪いため、十三駅で乗降扱いを行わない快速特急Aという種別を設定したのです。
※ちなみに、7006Fも2扉の車両ですが、元々3扉の通勤型車両として製造されているため、ドアの位置は従来の3扉車の規格と合っているため、十三駅で乗降扱いが可能となっています。
しかし、次のダイヤ改正により、快速特急Aが僅か3年で運転取り止めとなることとなりました。
今回なぜ快速特急Aが取り止めとなるのか考えられる理由を以下に示すと、
この2つが考えられます。
まず、6354Fの老朽化ですが、観光型特急にリニューアル改造されているとはいえ、登場は1977年で既に製造から45年が経過しているベテラン車両です。
京都線には6300系よりも古い3300系や5300系もまだまだ活躍を続けていますが、これらの車両は通勤型のため汎用性に優れていることから活躍の機会が残されています。しかし、6300系は特急型専用であることと、特急に関しては後継の9300系に役目を譲っていることから、使い道がほぼ残されていませんし、これ以上改造しても余計コストがかかるだけになってしまいます。
また、現在京都線のホームドアは十三駅上りホームのみの設置に留まっていますが、今後安全性の観点から多くの駅でホームドアの導入が進むものと思われますし、そうなると6300系はさらに厄介者となってしまいます。
そのため、6354Fはこの改正をもって定期運用から退くことはほぼ決定的であり、その後はイベント等での団体専用車両として使用されるか、老朽化に伴う廃車になるかの2択になると思われます。
京とれいんの運行は7006Fの雅洛で十分との判断から、このタイミングで世代交代となることでしょう。
現在、平日の朝夕ラッシュ時に運行されている通勤特急。現在は快速急行と並行で運行する速達種別として通勤通学輸送を担っています。千里線との分岐駅、およびJRおおさか東線との乗り換え駅である淡路駅を通過し、京都、高槻、茨木と十三、梅田を利用する方への分散乗車および遠近分離を実現しています。
しかし、この改正により、通勤特急のほとんどが淡路駅に停車する準特急に置き換わり、通勤特急の運行は朝ラッシュ時の3往復に限定されることとなります。
通勤特急の運行が縮小される理由として、
まず、通勤特急が淡路駅を通過するため、淡路駅で千里線やおおさか東線に乗り換える方にとっては、通勤特急に乗ってしまうと十三駅or茨木市駅まで飛ばされてしまい、大変なことになってしまいます。また、準特急に統一することで種別と停車駅がわかりやすくなるので、利用者を混乱させずに済みます。
次に、淡路駅で千里線の列車と接続することで、京都、高槻、茨木方面と天神橋筋六丁目、ならびに大阪メトロ堺筋線で堺筋本町、日本橋、天下茶屋方面のアクセスがより強化されます。また、大阪メトロ堺筋線は、
と大阪メトロの他路線とノーラッチで乗り換えが可能な他、
と他路線の接続が多いため、大阪市内への移動として欠かせない路線になっています。よって、淡路以東の阪急京都線沿線から大阪市内の各地へ移動する上で、淡路駅はコアな存在となっています。
さらに、2019年3月にはおおさか東線の新大阪〜放出間が延伸開業したことで、JR淡路駅が新規開業し、阪急淡路駅の乗り換え駅となりました。よって、阪急沿線からおおさか東線の放出、久宝寺方面へのアクセスが強化されたため、淡路駅での乗り換え需要が大きくなりました。
以上のことから、通勤特急の運行を縮小し、準特急を多く運行することで、淡路駅の停車本数を増やし、乗り換え需要に応えることとなりました。
阪急全線において、平日に設定している「女性専用車両」の対象車両を、通勤特急のみに統一し、わかりやすくします。
京都線では、平日の通勤特急全列車と特急のほとんどの列車に女性専用車両が設定されており、女性専用車両が設定されている列車には、必ず9300系が充当されていました(但し、車両の都合により7300系or8300系or1300系で代走を行う場合、女性専用車両の設定はなし)。
しかし、このダイヤ改正で特急に女性専用車両の設定がなくなり、通勤特急のみに設定されます。しかも、上記の通り、通勤特急は朝ラッシュ時の3往復のみに限定されるため、京都線全体において、女性専用車両の設定列車が9割ほど削減されることとなります。
現行では平日朝ラッシュ時の快速急行3往復のみ、10両編成で運行されている列車があります。
しかし、今度の改正で10両編成の列車が全て廃止され、8両編成の運行に変わります。これにより、朝の桂車庫および京都河原町駅での増結作業、および京都河原町駅での解結作業がなくなるため、作業の効率化と京都河原町行きの所要時間短縮に繋がります。
ここで気になるのは、10両編成用の増結車両が今後どういう扱いを受けるのかということです。
現在京都線では、10両編成用の増結編成として、7300系2両3編成(7300F、7301F、7302F)が所属しています。この3編成は10両編成の運行以外には全く使われないほぼニートの車両となっています。今回10両編成が廃止になることで、今後この3編成は完全なニートの車両と化してしまいます。
では、この3編成は今後どういう運命を辿るのでしょうか?考えられることを挙げてみました。
京都線系統で桂〜嵐山間を結ぶ嵐山線。行楽期を除き線内のみでの運行に留まっている嵐山線では、元特急型車両で4両編成に短縮&リニューアル改造がなされた6300系が3編成(6351F,6352F,6353F)在籍しており、基本的にこの3編成が嵐山線内で運行しています。
但し、行楽期へは観光地嵐山へ向かう観光客が多く、2扉の4両編成では輸送力不足となるため、代わりに7300系or8300系の6両編成が使用され、嵐山線を走行します。その際、10両増結車の3編成を繋いで6両編成を構成することで、嵐山線の輸送に対応することができます。
また、行楽期以外でも平日の朝夕ラッシュ時で利用者が集中する列車に10両増結車を使用することで、混雑の緩和に繋げることができます。
京都線の8両編成には、8両固定編成と2+6両分割編成の2種類が在籍しており、両者とも京都線、千里線、堺筋線(但し9300系は京都線のみの運用)で運行を行いますが、後者に関しては京とれいん検査時の代走や行楽期に単独で嵐山線内の多客輸送、および京都河原町、大阪梅田、天下茶屋への直通快速特急として6両編成単独での運行を行います。
現在2+6両を構成している車両は以下の通り。
このペアに関しては、原則解除されることはありません。
この2+6両編成の2両側の車両に何かトラブルが生じて運行不能になった場合、および検査で離脱する場合、代わりに上記の3編成が連結することで、8両編成で運行させることが可能となります。但し、10両増結車両は京都線のみの運行であり、堺筋線に直通できるか不明なため、この際は京都線および千里線の北千里〜淡路間の限定運用となる見込みでしょう。
最近私鉄のあちこちで導入されている「座席指定サービス」ですが、阪急電鉄でも2024年に京都線の特急・通勤特急・準特急に導入することが、今回のダイヤ改正と同時に発表がなされました。
この座席指定サービス開始に合わせて、10両増結用の7300系3編成を座席指定サービス用に改造し、他の8両編成の車両に併結して10両編成で運行するのではないかと大穴で予想しています。
なお、座席指定サービスに関する詳細は、説明が長くなってしまうため、別途座席指定サービスの記事で紹介しようと思います。公開まで暫しお待ちを。
以上、役割を失いつつある10両増結用の7300系の今後の処遇に関して予想してみました。
新型感染症の流行以降、深夜時間帯の利用が減少しているため、終電の繰り上げを中心に見直しが続けられています。今回もその見直しが行われます。
まず、大阪梅田発の21~22時台は10分ヘッド(毎時6本)から12分ヘッド(毎時5本)に見直します。23時台は15分ヘッド(毎時4本)のままです。
続いて、終電の時刻が見直されます。改正前後は以下の通り。
いかがでしたでしょうか?
今回は12月に実施される阪急京都線のダイヤ改正に関して説明しました!
個人的に1番驚いたのは、準特急という種別が阪急に誕生することです。
種別の再編により、また新たな時代へと進んでいくものと思われます。今後の京都線にも要注目です!
今回はここまでとなります!最後までご覧いただきましてありがとうございました!