皆様、こんにちは。U5swです。
今回は先日導入が発表された、阪急京都線の座席指定サービスに関して説明します!
2022年10月12日に、阪急電車は12月17日にダイヤ改正を実施することを発表しました。
併せて、2024年に阪急京都線で座席指定サービスの導入を発表しました。
ダイヤ改正公式発表サイトは以下の通り。
対象の列車種別は京都線の特急・通勤特急・準特急(22年改正で快速急行から改称)であり、具体的な詳細に関しては決まり次第発表されます。
これまで阪急電鉄は座席指定サービスと無縁であり、京とれいん含め特急から普通まで全ての営業列車が乗車券のみで乗車で来ましたが、遂に座席指定サービスの導入に至りました。
近年は各大手私鉄を中心に全車指定席のライナー列車や一部指定席の座席指定サービスが続々と登場しており、 日本の鉄道全体におけるトレンドと化しつつあります。
今回、阪急電鉄にも京都線に導入されることが決定しましたが、その理由として、
この2つが考えられます。
阪急京都線は大阪梅田から京都河原町までを結ぶ、京阪間の主要路線となっていますが、京阪間の鉄道は3つの路線で競合しており、
の3路線で京阪間の輸送を担っています。
まず、JR京都線では、座席指定サービスを提供している列車として、
が営業運転を行なっています。但し、京阪間の移動に限れば、特急列車とほぼ同等のスピードかつ、乗車券のみで乗車できる新快速がほとんどを占めるため、座席指定サービスを利用する方は少なめと思われます。
次に、京阪本線では、3000系と8000系の6号車に座席指定サービス「プレミアムカー」を設定しており、対象の快速特急”洛楽”、特急、快速急行で利用できます。また、朝夕ラッシュ時間帯には、8000系の全ての車両に座席指定サービスを設けた「ライナー」列車を運行しています。
京阪本線はJR京都線や阪急京都線が通る茨木や高槻、長岡京(長岡天神)を通らず、枚方や中書島、丹波橋といった独自の区間を通るため、京阪間に限らず途中駅での座席指定サービスの利用も多くなっています。
今回の阪急の座席指定サービス導入として、京阪のように、JRの特急や新快速がカバーし切れない茨木や長岡天神(長岡京)、桂(桂川)といった主要駅にも停車する特急系統に導入することで、大阪方面または京都方面への快適な移動を保証しつつ、京阪間の鉄道における座席指定サービスの対抗手段を設ける狙いがあると考えています。
このブログにおける記事においても最早決まり文句と化している新型感染症の影響。テレワーク等の普及によって、流行前の旅客需要には戻らないと言われています。
鉄道会社の経営の大元は乗客による運賃収入であり、乗車券による一般的な旅客運賃を軸に指定席車両やライナー列車を運行している場合は追加料金で更に収入を発生しています。
しかし、阪急電鉄ではここまで、指定席車両やライナー列車を運行した実績はなく、全て乗車券のみで運賃収入を賄っていました。ただ、この情勢により、利用客の減少で運賃収入が減った今、今後鉄道を経営していくのは厳しいという判断から、運賃に加えた新たな増収策として座席指定サービスの導入を決定したものと思われます。
従来よりも上質なサービスを提供する代わりに、客単価を上げることで経営を維持する意味で今回の導入に至ったものと思われます。
今回京都線に座席指定サービスが導入されることで、京都線で活躍する車両の中でどの車両が座席指定車両として割り当てられるのでしょうか?
以下に考えられることを挙げていきます。
※なお、座席指定サービスの導入対象列車に関しては、「”全ての“特急,通勤特急,準特急に適用するのか」、「”一部の“特急,通勤特急,準特急に適用するのか」は未だ不確定ですが、今回は前者の場合を想定した上で予想していきます。
京都線において、主に特急を始めとする優等列車の運用に就く車両である9300系。他の車両は座席がロングシートなのに対し、9300系は2+2列の転換クロスシート(但し、車端部はロングシート)となっており、主に京阪間の長距離利用者に配慮しています。現在は8両編成11本(9300F~9310F)が在籍しています。
この9300系の内、一部の車両を改造するか、新たに座席指定サービス用の車両を新製して、既存車との組み替えを行うという方法での導入が考えられます。
この方法に関しては、京阪8000系および京阪3000系のプレミアムカー導入時、およびJR西日本223系1000番台のAシート導入時、東急6000系および東急6020系のQシート導入時においても同様の方法がとられています。
9300系の一部車両を改造or新製組み替えするメリットとしては、
一方で、デメリットとしては、
このようなことが挙げられます。
特に阪急京都線は、JR京都線や京阪本線と比較して運賃が安いことと、所要時間においてはJRの新快速よりは劣るものの京阪よりは早く京阪間を移動できます。
また、桂駅で嵐山線と、淡路駅で千里線(大阪メトロ堺筋線)と接続を行なっているため、嵐山方面からの利用、大阪市内からの利用も多く、利用者は常にいる状態のため、9300系の一部車両に座席指定サービスを導入するとなると不自由さは増してしまうこととなります。
9300系の改造以外の方法として、増結車両を改造or新造するという案も考えられます。
現在阪急京都線系統には、6両編成、7両編成、8両編成、10両編成の4種類の編成両数があり、
その内、座席指定サービスを適用する列車は特急,通勤特急,準特急(快速急行改称後)のため、全て8両編成の車両が使用されます。
そこで、改正後に10両編成の運用がなくなることから、改正によって運用を完全に無くした10両用の2両増結編成を、座席指定サービス用として改造し、従来の8両編成と併結運転を行い、10両編成として運行させる可能性が考えられます。
現在、10両編成で運行させるための2両増結編成は3編成あり、いずれも7300系(7300F,7301F,7302F)です。この3編成は12月の改正で完全ニート状態になるため、改造に回せる余裕はあります。
座席指定サービスを導入した列車を10両編成で走らせるメリットとしては、
この3点が挙げられます。
一方、デメリットとしては、
この3点が挙げられます。
まず、仮に座席指定サービスを全ての特急系統に導入させるとなると、既存の3編成では全く足りませんし、予備車を含める場合、新造車を8~10編成ほど導入しなければなりません。
現在、阪急京都線では旧型の3300系や5300系の置き換え用に1300系の導入が進められており、その座席指定サービス用の1300系を導入しようと思えば可能だと思います。しかし、1300系自体の製造は前者の一般車両用が優先されるため、導入するか否かは定かではありません。
次に、10両編成が停車できる駅に関しては、現在においては快速急行停車駅の全ての駅となっています。但し、上り(京都河原町方面)に関しては、桂駅で増結車両を切り離すため、上りの西院駅、大宮駅、烏丸駅の3駅は10両編成の列車は停車しません(一応、ホームの長さは10両分あるため、停車は可能と思われる)。また、京都河原町駅においては、1~3号線の中で1号線しか10両編成に対応していません(2号線は7両まで、3号線は8両まで対応)。そのため、10両編成の運行を行う場合、ダイヤのネックとなってしまうリスクが高くなってしまいます。
最後に、10両編成で運転する車種が限定されていることですが、現在京都線の10両編成を組める形式は7300系と8300系のみに限定されてしまっています。9300系もデビュー当初は7300系と併結運転を行っていたようですが、現在は併結運転を行っていませんし、1300系は前面に併結を行うための貫通幌を設置しておらず、電気連結器も搭載していないため併結運転ができません。3300系や5300系は最高時速の関係で特急系統には入れません。
9300系はおそらく併結運転が可能だと思いますが、長年単独での運転を行なっていることから相性面でも不安要素はありますし、1300系も併結運転に必要な機器を搭載すれば可能ですが、いずれも10両の運転には課題を残してしまっています。
以上、9300系の一部車両改造か、増結車両の改造および新製により、10両編成で運行するのかという2つの可能性を挙げていきましたが、どちらになるかはこれからの阪急京都線の利用状況と座席指定サービス導入の割合によると思います。
まず、これからの阪急京都線の利用状況ですが、新型感染症の影響により利用者が減少しているこのご時世の中で、今後収束していき利用者が戻りつつあるのか、依然そのままか更に減少するのかは不確定となっています。もし今後利用者が戻り、ほとんどの時間帯で利用が多いとなると、前者の9300系の一部車両改造だと、混雑率の悪化といった車両収容力で課題が出ますし、後者の10両編成運行が望ましい可能性が高くなります。逆に、利用が伸びないとなると、9300系の改造が適していると言えます。
次に、座席指定サービスの対象列車が、全体の特急系統の何割を占めるのか?ここにもかかってくると思います。京阪のプレミアムカーみたいに全ての特急系統に導入するのか?朝夕ラッシュ時といった混雑時間帯にのみ導入するのか?この割合によって変わってきます。現時点で阪急はどの程度導入するのかを公にしていないためわかりませんが、分かり次第車両動向が大きく変わって来ると思います。
いかがでしたでしょうか?
今回は阪急京都線の座席指定サービス導入に関して説明しました!
今後サービスの導入によって車両の動向が変わって来るため、どのように導入されるのかを注目していこうと思います!
今回はここまでとなります。最後までご覧くださいましてありがとうございました!