皆様、こんにちは。U5swです。
今回は、西武鉄道の6000系電車に関する車両事情に関して、大きく変化があったため、紹介していきます。
まずは、西武6000系に関して説明します。
西武6000系は1992年から1998年までに製造された通勤型電車であり、営団(現・東京メトロ)有楽町線との相互直通運転開始に伴う直通対応車両として10両編成25本が製造されました。
車体の種類によって番台区分がなされており、1992〜95年度に製造された17編成(6101F~6117F)が東急車輛製のステンレス車体で0番台、1996~98年度に製造された8編成(6151F~6158F)が日立製作所製のアルミニウム車体で50番台と、それぞれ区分がなされています。
外装はこれまで西武鉄道の伝統だった黄色一色の塗装から脱却し、側面に青帯の入った車両となっており、6000系以降の西武鉄道の新形式には、青を基調とした帯の入った車両がベースとして製造されています。
制御装置は当初、日立製のGTO-VVVFインバータ制御が採用されていましたが、その後の機器更新に伴い、6157Fのみ東芝製のIGBT-VVVFインバータ制御(PMSM)を、その他の編成は三菱製のフルSiC MOSFET-VVVFインバータ制御となっています。2023年に最後までGTO-VVVFだった6101F,6102Fが三菱フルSiC MOSFET-VVVFに換装されたことで、西武6000系のGTO-VVVFは聴けなくなってしまいました。
西武6000系は、地下鉄の乗り入れや運用区間の拡大によって、編成ごとに扱いや運用線区に違いがありました。導入の流れを以下に説明します。
6000系の製造目的だった有楽町線への相互直通運転に使用するため、1994年度に製造された6108F~6111Fの4編成に関しては、新製時に直通対応機器を搭載し、1994年12月7日より、有楽町線への暫定的な乗り入れが開始されました(この時は西武有楽町線の新桜台〜練馬間が単線で暫定開業しており、池袋線との乗り入れは行われず、練馬駅で折り返しで運行されていた)。
その後、1998年3月26日に練馬駅の高架化工事が完了されたことで、西武有楽町線の新桜台〜練馬間が複線化され、池袋線との直通運転が開始されました。これに併せて、6000系の直通対応車両を増やすため、1997年度より既存車両の直通対応改造工事がなされ、6112F~6117F、6151F~6158Fの11編成が新たに直通対応車両となりました。加えて、この時期に増備された6156F~6158Fの3編成は、新製当初から直通に対応とされました。
よって、直通非対応の編成と直通対応の編成は以下の通りになります。
有楽町線との相互直通運転が本格化してから10年が経った2008年6月14日に、渋谷〜池袋間が新規に開業し、渋谷〜池袋〜小竹向原〜和光市間を”副都心線”として新たに開業することとなりました(池袋〜小竹向原間は1994年に開業した有楽町新線を活用、小竹向原〜和光市間は有楽町線と線路を共有)。これに伴い、西武池袋線と副都心線の相互直通運転が新たに行われることとなりました。
加えて、副都心線区間は全駅がホームドア設置により、ATO運転(自動運転)によるワンマン運転を行うこととなっており、その運転方式に対応すべく、6000系に副都心線への直通対応に伴う大規模な改造工事が施工されることとなりました。
改造工事対象編成は、従来の有楽町線直通対応編成だった18編成に加えて、新たに副都心線への乗り入れが開始されることへの運用増に備えて、直通非対応だった6103F~6107Fの5編成も対象となりました。
大規模工事の主な施工内容としては、
上記の他にも沢山の改造が行われ、従来の6000系とは見違えるような車両となりました。2006~10年度に全23編成の対応工事が完了され、未だ改造が完了していなかった編成には、副都心線への乗り入れができなかったことから、Yマーク(有楽町線のみ乗り入れ可能)を掲出して区別を行っていました。
その後、2013年3月16日には、副都心線と東急東横線の相互直通運転が開始されたことから、西武6000系の直通対応車両23編成も新たに東急東横線とみなとみらい線に乗り入れるようになり、神奈川県内に顔を出すようになりました。
一方で、先行試作車の2編成に関しては、直通に対応していなかった設計だったため、直通対応はなされず、原型を保ったまま地上用車両として活躍を続けることとなります。
よって、直通非対応の編成と直通対応の編成は以下の通りになります。
2017年、西武池袋線と有楽町線、および副都心線・東急東横線・みなとみらい線に直通運転を行う座席指定列車”S-TRAIN”が運行開始されるに合わせて、座席をロングシートとクロスシートの両方に対応したデュアルシートを採用した新型車両40000系の運行が開始されました。
この40000系は6編成(40101F~40106F)が導入され、このS-TRAINと新宿・拝島線系統の座席指定車両”拝島ライナー”には、この車両が専属で運用に就きます。40000系LC車は基本的に座席指定列車に充当され、一般列車としては基本的に西武線内の運用のみに留まる(極稀に直通の一般列車にも充当)ため、この40000系の導入によって6000系の動き自体に何らかの変化はありませんでした。
その後、2019年より、40000系の一般車両ver.(ロングシートのみ)である40000系の50番台の製造が開始されました。この50番台は、主に池袋線・新宿線で未だに活躍している西武2000系や9000系の置き換え用として導入がなされ、主に西武池袋線と地下直系統の一般列車運用に就くようになりました。
なお、この50番台の導入後暫く(40151F~40158Fの導入)は、6000系の動き自体に一切変化がなく、地下直車両が純増していく流れとなりました。加えて、50番台の導入で地上車専属の20000系や30000系が新宿線へ転属して行ったことから、個人的な予想として、池袋線系統の10両固定編成を全て6000系と40000系の地下直対応車に統一するものと思っていました。
しかし、その流れが大きく変わったのが2023年に入ってから。
2023年より新製がなされた40159Fより、遂に西武6000系の地下直車にも転機が訪れます。その転機の対象第1編成となったのが6108F。2023年3月に池袋線系統から新宿線系統に転属となり、新宿線と拝島線での営業運行を開始したのです。転属に際し、地下直運用で必要だったワンマン運転用のCCTVモニターが取り外されていたことから、地下直車としての役目を終え、地上専属車として第2の人生を歩むこととなりました。つまり、
40000系の導入で6000系を地下直運用から外すという”世代交代”が始まったのです。
その後、40160Fの導入で6103F、40161Fの導入で6104F、40162Fの導入で6106F、40163Fの導入で6105F、40164Fの導入で6107Fが順次地下直運用から撤退して新宿線系統へ転属となり、新宿・拝島線への営業運行に就いています(但し、6107Fはすぐに池袋線に戻り、池袋線地上運用限定で運行されている模様。一時的な貸出?)。
よって、今後の40000系50番台の導入と共に6000系の0番台(ステンレス車)が地上車となり、新宿線系統に転属するor池袋線系統の地上車専属車になる ものと思われていました…
しかし、2024年3月31日に衝撃のニュースが舞い込んできました。
6000系50番台アルミ車、全編成が地下鉄直通運用から外れる。
この情報が飛び込んできた瞬間、「え!?」と思われた方は多いでしょう。それもそのはず、ここまで6000系0番台ステンレス車の新宿線系統転属が進んでいた中で、車両の経歴が浅く、直通運用の撤退は後半の方になるものと予想していたからです。
全編成が地下直出禁となったことが明らかになったキッカケは、X(旧Twitter)において、50番台の運転席に、”地下鉄非対応車”のテプラが貼られており、それが50番台の全編成に貼られていることが判明したためです。
現在50番台は池袋線系統の地上車運用で営業運転を続けており、新宿線系統への転属はありません。また、地下直運用から外れた6000系の編成において、前面の非常用扉の窓上に黄色のテプラが貼られるようになり、未だ地下直対応している6000系と判別ができるようにしています。
ここで、50番台全編成が一気に地下直運用から撤退した理由としては、
“50番台全編成を地下直運用から外しても車両運用上問題がないから”
ということです。40000系が導入される前の地下直対応の西武車の編成数は“23編成”(6103F~6117F,6151F~6158F)でした。その後、40000系0番台が6編成(40101F~40106F)導入されますが、先述の通り主に座席指定列車に使用されることから、6000系自体の置き換え対象編成ではありません。また、ロング車用の40000系50番台が導入されますが、導入が始まってからの8編成(40151F~40158F)は、6000系を置き換えることはなく、地下直対応の西武車の編成数(40000系0番台を除く)は“31編成”に純増していました。
ところが、40159Fの導入から、6000系0番台の地下直運用撤退が始まり、2024年4月までに40159F~40164Fの6編成が導入と共に、6103F~6108Fの6編成が地下直運用から撤退しました。そして、2024年3月31日付で、6000系50番台の全8編成が揃って地下直運用から撤退したことで、地下直対応編成が一気に8編成減ることとなりました。
よって、2024年4月現在における地下直対応の西武車の編成数は“23編成”(6109F~6117F,40151F~40164F)となり、“40000系が導入される前の編成数と一致”していることがわかります。
ここで、2024年3月改正における西武車の地下直運用数は、平日が18運用、土休日が14運用であり、23編成でも運用を回すための余裕があります。また、車両検査等で編成数が足りない場合は、40000系0番台を一般車運用に回すことで対応が可能なため、6000系50番台を地下直運用から外しても支障がありません。
以上の考察から、6000系50番台全編成が運用から外れたものと考えられます。
直通非対応の編成と直通対応の編成は以下の通りになります。
ここ最近で一気に地下直の6000系が激減してしまい、有楽町線・副都心線・東急東横線・みなとみらい線内で6000系の姿が見られる確率が大きく下がりました。2024年4月現在も9編成が引き続き地下直での運用を継続していますが、今後の展望としては、
“40000系50番台の増備が続くと共に、6000系の地下直撤退が進行。最終的に全ての地下直対応編成が40000系に統一される”
と予想しています。先述の通り、西武鉄道では、2030年度を目標に全ての車両をVVVFインバータ制御の車両にすべく、40000系50番台の増備が進められることが濃厚なため、40165F以降の新造車が随時製造され、2000系といった旧型車両を置き換えつつ、地下直対応の6000系も置き換えるものと見ています。最終的には全ての6000系を地下直から撤退させて、地下直対応車両を40000系に統一し、車両の性能や操作性、および車内設備の統一(パートナーゾーン)を図るものと思われます。
今後40000系50番台の導入編成数がどのペースで進むかは未知数ですが、2023年内には6編成が一気に製造されていることを考えると、今後2~4年以内には40000系50番台の増備が完了し、6000系の地下直が完全撤退となる可能性もあります。そのため、地下直の6000系の記録は前もって行うようにしましょう。
最後に、西武6000系の編成とこれまでの遍歴や現在の状況に関して、以下の表にまとめました。
いかがでしたでしょうか?
今回は西武6000系に関して説明しました!
地下鉄との直通運転用に製造され、有楽町線との直通、副都心線の開業に伴う大幅改造や東急東横線、みなとみらい線への乗り入れ拡大、40000系導入に伴う地下直の世代交代など、大きなイベントごとにこの形式の役割が変わることとなりました。
一気に少数派となった地下直の6000系。完全な世代交代はすぐそこかもしれません。
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!
※今回の記事作成における参考文献
西武6000系電車-Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/西武6000系電車
西武6000系 編成表(最新版)-4号車の5号車寄り