皆様、こんにちは。U5swです。
今回は、西武鉄道が発表した2024年度の”鉄道事業設備投資計画”において明らかになった、西武鉄道の車両改革に関して、個人的な予想も含めて紹介します!
まず、西武鉄道の今後の車両改革に関して、今回発表された設備投資計画の中で明らかになった、車両面でのトピックを3つ紹介します。
まずは西武の特急型車両に関してです。西武では池袋線系統と新宿線系統において、
以上の特急を運行しています。かつては全ての特急において、10000系”ニューレッドアロー(NRA)”が充当されていましたが、2019-20年の間に池袋線系統の特急が、全て新型車両001系”ラビュー(Laview)”に置き換わり、10000系の活躍は新宿線系統の特急小江戸号に限定されています。
しかし、現存している10000系の中では、登場から間も無く30年を迎える編成もあるのと、10000系は新造時に旧型車両の機器を流用した古い制御装置を使用している(但し、2003年に最終増備された1編成はVVVFインバータ制御)ため、その機器類の老朽化が進行していることから、“新型車両への置き換え”を行うことを発表しています。
しかし、その置き換えと共に、“有料座席サービスの刷新を検討”という表記がなされていることから、単純に新しい特急型車両で置き換えるのではなく、
特急小江戸号自体を休止し、それに代わるライナー列車の運行を始めるのではないか?
という説が浮上しています。
実際のところ、主に大都会新宿と観光地川越を結ぶ行楽特急、ならびに大都会新宿と東村山、所沢、狭山といった都市を結ぶ通勤特急として運行されている小江戸号ですが、日中時間帯を中心に空席が目立つ”ガラガラ状態”であり、「特急列車を運行するほどの需要がない」と言われてもおかしくない状況のようです。
そもそも西武新宿線は全体的にカーブが多く、スピードを出しにくい路線であることと、元々の路線の成り立ちから、高田馬場〜小平間はほぼ東西に、小平〜本川越間はほぼ南北に迂回していくルートを辿っており、西武新宿〜本川越間の所要時間は約45分かかります。
一方で、都心と川越を結ぶメインルートは東武東上線であり、池袋〜川越間は最速達の川越特急で26分、急行でも32-33分で結んでいる他、新宿エリアから川越へは東京メトロ副都心線から東武東上線へ直通するFライナーが運行されており、新宿三丁目〜川越間を38-40分で結ぶことから、所要時間、料金面※でもこちらを利用する方がお得といえます。
※西武新宿〜本川越間<特急小江戸>:1113円、新宿三丁目〜川越間:576円
更に、新宿線系統では2018年より、朝夕に西武新宿〜拝島間を結ぶ有料座席指定列車「拝島ライナー」の運行を開始しました。この列車には一般通勤列車とライナー列車の両方に充当できる40000系0番台が使用されており、座席の質は特急用車両に劣るものの、料金は特急よりも安いため、とても順調な利用状況となっています。
以上のことから、特急小江戸号自体の運行を取り止めて、新たに西武新宿〜本川越間を運行するライナー列車に運行形態を見直す可能性があると見ています。
もし、仮に特急列車を全てライナー列車で置き換える場合、運用効率の面から新たに40000系0番台を増備し、西武新宿〜本川越間のライナー列車と拝島ライナーで運行させることが考えられるでしょう。あるいは、日中時間帯に限り特急利用が芳しくないことを受けて、有料列車の運行を取りやめ、特急に準じた無料最速達種別(快速急行)の運行に置き換わる可能性も考えられます。
対して、特急列車を継続的に運行させる場合は、池袋線系統の001系Laviewを新宿線系統にも導入するのか、はたまた001系とは異なる新たな特急用車両を開発するのかが気になるところです。
主に池袋線系統と地下直系統で導入が進んでいる西武40000系。現在までに主にS-TRAINや拝島ライナーと言ったライナー列車に充当される、デュアルシート車の0番台が6編成、一般列車に充当されるロングシート車の50番台が14編成営業運行に入っており、いずれも10両固定編成となっています。
しかし、今回導入される40000系は、「3編成”24両”」。すなわち、1編成あたりの両数を単純計算すると、“8両編成”となることから、
40000系で初めての“8両固定編成”が誕生することとなりました!!!
※単純に計算せず、10両編成が2本、4両編成が1本導入されるという見方も考えられるが、4両編成といった短い編成両数の車両が走る線区には、サステナ車両(後述)でカバーするため考えにくい。
今回8両固定編成が導入される理由として、
この2点が考えられます。
40000系の導入により、非インバータ制御車両で続々と置き換えられている2000系ですが、10両固定編成はなく、8両固定編成が未だに多く残っており、池袋線や新宿線では主に各停の運用に就いています。また、西武池袋線池袋口では、西武豊島線の豊島園駅、および西武新宿線新宿口では、西武新宿線の高田馬場〜上石神井間の各停停車駅が、いずれも8両編成の列車しか停車できないことから、これらの各停は全て8両編成での運行を強いられています。
従って、8両編成の新型車両を導入しないまま2000系を置き換えてしまうと、8両編成しか入線できない各停の運用が回せなくなってしまうため、8両固定編成の40000系を入れる必要があるのです。
車内の仕様に関しては、一般車両の2000系を置き換える目的が強いことから、ロングシートのみの仕様となるでしょう。編成番号に関しては、今後40000系の10両固定編成が増備される可能性もあることと、10両固定編成と8両固定編成で区別しやすいよう、番台も新たに定められるものと思われます(東京メトロ17000系に倣って80番台が有力?)。導入線区に関しては、池袋線系統か新宿線系統どちらになるかは分かりません。
ところで、8両固定編成の40000系が導入されることで可能性が出てきたのが、
地下直対応とし、東京メトロ副都心線・東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線の各停運用に就く可能性
です。今日まで地下直対応の西武車は全て10両固定編成となっていることから、8両編成しか運用に就けない東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線の各停運用には就けず、急行以上の優等種別にしか就くことができません。
しかし、8両固定編成を導入し、ついでに地下直対応も行えると、新たに東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線の各停運用に就くことが可能となります。
現在のダイヤでは、日中時間帯に石神井公園とみなとみらい線の元町・中華街を結ぶ各停(一部西武線内準急)が毎時2本運行されており、この列車にはメトロ車・東急車・横浜高速車の8両編成の車両が使用されています。ここに西武40000系の8両編成が加わることで、より運用に余裕を持たせることが可能となります。
但し、40000系8両編成が地下直に入る懸念点としては、
この2点が考えられます。個人的には、今のところは西武の置き換え事情的に8両編成の40000系を地下直に入れる可能性は低いと考えています。しかし、8両編成の導入編成数によっては、地下直解禁の可能性もなくはないと思うので、今後の動向が気になるところです。
そして、主に支線区や末端区間における、新101系や2000系、4000系を置き換えるための他社中古車両、通称”サステナ車両”の譲受が開始されました。
西武では以前に、サステナ車両の対象車両として、東急9000系と小田急8000形を譲受することが発表されていました。
その第1陣として、小田急8000形の8261×6が、去る5月19日から20日にかけて、小田急の新松田駅から沼津駅、川崎貨物駅を経由し、JR武蔵野線の新秋津駅まで甲種輸送がなされ、そこからはJRと西武の連絡線を経由し、西武の小手指車両基地まで運ばれました。今後は各種改造、塗装変更、試運転等を行なった後、西武国分寺線での営業運行を開始するものと思われます。
いかがでしたでしょうか?
今回は西武鉄道の今後の車両改革に関して説明しました!
既にサステナ車両の西武搬入が始まっていますが、個人的に上記のトピックで特に気になる話題としては、
この2つが挙げられます。大きな車両改革が進む西武鉄道、今後も注目していきましょう!
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!
西武鉄道2024年度鉄道事業設備投資計画はこちらから。
https://www.seiburailway.jp/file.jsp?newsroom/news/file/20240509_setsubitoushi.pdf