皆様、こんにちは。U5swです。
今回は、2024年3月16日の北陸新幹線敦賀延伸によって、敦賀〜金沢間での営業運行を終了した、北陸特急用車両681系と683系の立場についてまとめていきます。
まず、北陸特急用車両の681系と683系に関して説明します。
導入当時、国鉄型車両の485系が京阪神と北陸地方を結ぶ特急雷鳥号、およびスーパー雷鳥号として使用されていましたが、スピードアップとより高いサービスの提供を目指し、1992年に先行試作車が、1995~97年に量産車が計102両製造されました。その内、JR西日本が製造したのが84両(0番台:6両編成8本,3両編成9本、1000番台<先行車>:6両編成1本、3両編成1本)、北越急行が製造したのが18両(2000番台:6両編成2本、3両編成2本)となっています。
当時は大阪〜金沢、富山、和倉温泉間を結ぶ特急サンダーバード号、および福井、和倉温泉、金沢〜越後湯沢間を結ぶ特急はくたか号を中心に活躍を続けていました。
しかし、2015年の北陸新幹線長野〜金沢間延伸に伴い、特急サンダーバード号の金沢〜富山間、および特急はくたか号の営業運行が終了しました。
よって、JR西日本所属の内81両(6両編成9本,3両編成9本)と、北越急行からJR西日本に譲渡された内18両(6両編成2本,3両編成2本)が捻出され、これらの内81両(6両編成11本,3両編成8本)が特急しらさぎ号用として、9両(3両編成3本)がサンダーバード号増結車用として、9両(先行試作車の1000番台)を予備用として、それぞれ振り分けが行われました。
その後、北陸新幹線敦賀延伸までに、先行試作車の9両は、2015年~22年の間に全9両が廃車済みとなっています。
先述した681系の後継用車両として、主に485系等の国鉄型特急用車両を置き換えるために2001~11年の間に270両製造されました。683系は番台によって大きく使用用途が異なる形式のため、以下に番台ごとに解説します。
2001年~02年に54両(6両編成6本,3両編成6本)がJR西日本車として製造されました。
主にサンダーバード号用の車両として活躍し続けており、2015年の北陸新幹線金沢延伸時に、方向転換を行なったのみで、敦賀延伸時まで基本サンダーバード号用として活躍してきました。
2002~03年に87両(5両編成12本、3両編成9本)がJR西日本車として製造されました。
主にしらさぎ号用の車両として活躍していましたが、2015年の北陸新幹線金沢延伸時に一旦全編成がしらさぎ号の運用から外れ、しらさぎ号には681系と683系8000番台の運行に統一されました。
運用から外れた2000番台は全編成が交流機器を停止した状態で289系に転用、基本編成である5両編成は福知山転属用の4両編成と京都転属用の6両編成にそれぞれ組み替えられ、福知山転属用の46両(4両編成7本,3両編成6本)が北近畿特急こうのとり号,きのさき号,はしだて号用として、京都転属用の39両(6両編成5本,3両編成3本)が南紀特急くろしお号として活躍を続けています(余剰となった中間車2両は廃車解体済み)。
なお、福知山所属の内3両編成2本は、再度交流機器を復活させ、再度683系として金沢へ転属し、サンダーバード号の増結用車両として活躍を続けています。その他の車両は交流機器を全て取り外しています。
2005年にサンダーバード号増結用として、12両(3両編成4本)がJR西日本車として製造されました。主にサンダーバード号用の車両として活躍し続けており、敦賀延伸時まで基本サンダーバード号用として活躍してきました。
485系完全置き換え用として2008~11年までに108両(9両編成12本)がJR西日本車として製造されました。683系で唯一の9両貫通編成、両運転台貫通型先頭車、シングルアームパンタグラフ搭載と、他の番台で1番区別のつきやすいグループとなっています。
主にサンダーバード号用の車両として活躍し続けており、敦賀延伸まで基本サンダーバード号用として活躍してきました。
はくたか号で使用されていた、JR東日本の485系3000番台を置き換えるため、2005年に9両(6両編成1本,3両編成1本)が北越急行車として製造されました。683系で唯一160km/hでの営業運行を行なった番台でもあります。
2015年の北陸新幹線金沢延伸時に、681系2000番台と共にJR西日本に譲渡され、しらさぎ号用の車両に転用され、敦賀延伸までしらさぎ号用の車両として活躍を続けてきました。
去る2024年3月16日のダイヤ改正によって、北陸新幹線の金沢〜敦賀間開業により、JR西日本の北陸本線だった金沢〜敦賀間は、第3セクター所有の並行在来線として経営分離がなされ、IRいしかわ鉄道とハピラインふくいに移管されました。
それと同時に、同区間を走行していた特急サンダーバード号と特急しらさぎ号は敦賀以南の運行に短縮、特急ダイナスター号、特急おはようエクスプレス号、特急おやすみエクスプレス号は運行終了となりました。金沢〜敦賀間の在来線特急が全滅したことで、681系と683系の運行区間と必要編成数にも当然変化が生じました。
次の項では、敦賀延伸後の681系、および683系のそれぞれの処遇に関して、形式番台ごとに説明していきます。
しらさぎ号用の681系は、敦賀延伸直前において、
が所属していましたが、敦賀延伸当日の2024年3月16日に、W08編成(6両編成1本)が余剰廃車となりました。それ以外の編成は、金沢総合車両所から吹田総合車両所京都支所に転属となり、
となっています。
しかし、転属してまもなく、元金サワW05編成→近キトW91編成(6両編成1本)が3月29日に余剰廃車となりました。
そして、8~9月の間において、以下の3両編成3本がそれぞれ廃車回送されています。
以上、ここまでに6両編成2本と3両編成3本が廃車となっている他、3両編成2本が疎開留置となっているため、現在運用中なのは6両編成8本と3両編成2本です。
しらさぎ号自体の運行区間が大幅に短縮され、敦賀駅で北陸新幹線と乗り換える形になったことや、米原駅で東海道新幹線と乗り継ぎを行っていた首都圏〜北陸地区の利用客が北陸新幹線にシフトした影響もあり、しらさぎ号全体の利用客数が大幅に減少していることもあり、基本編成のみでの運行で事足りてしまっているため、付属編成の廃車が多いです。
既に老朽化していることもあり、今後も廃車が進んでいきそうです。
サンダーバード号用の681系は、敦賀延伸前は付属編成である3両編成が4本(近キトV11~V14編成)が吹田総合車両所京都支所に所属しており、その内の3本(近キトV12編成)は他の683系と同様にリニューアル工事を施行しています。
しかし、リニューアル工事がなされなかった近キトV12編成に関しては、2024年7月に廃車回送がなされたことで、681系のサンダーバード旧塗装編成がなくなってしまいました。
残りの3編成に関しては、リニューアル工事を施工していることもあり、今後もサンダーバード号の12両増結対応を中心に活躍を続けるものと思われます。
サンダーバード号用の683系0番台は、敦賀延伸直前において、
が、吹田総合車両所京都支所に所属しており、全編成が既にサンダーバード号用のリニューアル工事を施行しています。
敦賀延伸後に関しては、基本編成と付属編成で扱いが大きく変わっています。
基本編成(6両編成)に関しては、臨時のサンダーバード号が運行される繁忙期は使用されますが、それ以外の時期は基本的に使用がなされず、吹田総合車両所宮原支所で疎開留置がなされています。これは、サンダーバード号の運行区間が短縮されたことにより、定期のサンダーバード号は後述の683系4000番台,8000番台で足りているからです。
そして、基本編成に関しては、現在塗装変更を行い、従来のサンダーバード号のカラーにしらさぎ号のオレンジのラインが入った塗装に随時変更されています。2024年10月時点で4編成が変更済みであり、残りの2編成も変更されるものと思われます。そして、いずれはしらさぎ号用に転用され、681系を置き換えるものと思われます。
一方、付属編成(3両編成)に関しては、サンダーバード号が12両編成で運行される際の増結用編成に使用されており、繁忙期を中心に営業運行に就いています。基本編成とは異なり、しらさぎ号用に転用される可能性は低いので、今後もサンダーバード号用の増結用編成として活躍を続けることでしょう。
サンダーバード号用の683系2000番台は、敦賀延伸前は
が金沢総合車両所に所属していました。その内の4編成(金サワR10~R13編成)はリニューアル工事を施工しています。残りの2編成(金サワR14,R15編成)は、元々しらさぎ号用の編成でしたが、金沢延伸時に一旦福知山支所の289系として転用されていました。しかし、2019年に再度683系として復帰しています。なお、リニューアル工事は施工されておらず、オリジナルの塗装のままです。
そして、敦賀延伸時に、前者の4編成と後者の2編成に関しては、大きく扱いが異なることとなります。
まず、前者の4編成(金サワR10~R13編成)は金沢総合車両所に残留し、金沢〜七尾、和倉温泉間の特急“能登かがり火号”専属車両として営業運行を続けています。七尾線は敦賀延伸時もJR西日本の所属路線であり、多くの在来線特急が金沢から撤退した後も、能登かがり火号の運行は引き続き行われているため、わずかながら金沢でも引き続き683系を見ることが可能です。
次に、後者の2編成(元金サワR14,R15編成)は金沢総合車両所から吹田総合車両所京都支所に転属し(近キトN01,N02編成)、サンダーバード号用の12両運転時増結用編成として運行を続けています(但し近キトN02編成は現在疎開中)。塗装も従来通りのままです。
サンダーバード号用の683系4000番台は、9両編成12本が在籍しており、元々は金沢総合車両所の所属(元金サワT41~T52編成)でしたが、敦賀延伸の1年前に全編成が吹田総合車両所京都支所に転属(近キトB31~B42編成)されました。なお、全編成が2015~18年の間にリニューアル工事を施工済みです。
京都転属後もサンダーバード号の主力車両として活躍を続け、敦賀延伸後も引き続きサンダーバード号の主力車両として敦賀〜大阪間を往復しています。
なお、間合い運用として米原〜大阪間の通勤特急びわこエクスプレス号(現・らくラクびわこ号)にも入っていましたが、2024年3月の改正で681系しらさぎ号用編成に置き換わりました。
金沢延伸後から敦賀延伸前までは、しらさぎ号用の編成として681系と共に活躍していた683系8000番台。基本編成(6両編成、金サワN03編成)と付属編成(3両編成、金サワN13編成)が1本ずつ、金沢総合車両所に在籍していました。
しかし、敦賀延伸後、引き続きしらさぎ号用の編成として活躍する…わけではなく、なんと“サンダーバード号用”の車両に転用されることとなりました!(同時に金沢総合車両所から吹田総合車両所京都支所へ転属済み)
そして、基本編成(元金サワN03編成→近キトA06編成)は転用を機に自身2度目の塗装変更を行うこととなり、“リニューアル後のサンダーバード色”へ塗装変更がなされました。一方で、付属編成(元金サワN13編成→近キトA03編成)は、なぜか塗装変更されずに、“しらさぎ色のまま”サンダーバード号用に転用されました。
現在は、原則8000番台同士で6+3の9両編成の併結運転(但し、繁忙期は更に増結編成を連結し、6+3+3の12両編成で運転)に固定されており、4000番台と共にサンダーバード号の主力車両として活躍を行っています。
元々北越急行所属の“スノーラビット色”ではくたか号用だった8000番台が、金沢延伸時にJR西日本に譲渡され、塗装変更の上しらさぎ号用に転用され、更に敦賀延伸時に基本編成のみ塗装変更の上サンダーバード号用に転用されるという、波瀾万丈な車生を送っています。
最後に、2024年10月時点での681系、および683系の状況に関して、以下の表でまとめました。
681系に関しては、敦賀延伸を機に営業運行区間が大幅に短縮されたことで余剰廃車が発生しており、しらさぎ号用では6両編成2本と3両編成3本が、サンダーバード号用は3両編成1本が既に廃車済みとなっています。他にも疎開留置されている編成が3両編成3本あり、現在営業運行に就いている681系は、
となっています。
そして、今後の動きとしては、683系0番台の6両編成6本がしらさぎ号用へ転用するための塗装変更を随時行っており、次回の春ダイヤ改正頃には本格的に転用され、しらさぎ号用の681系を置き換えていくものと思われます。
但し、転用する683系0番台のみで681系全てを置き換えることは不可能ですが、しらさぎ号自体の利用客数減少を受けて、今後しらさぎ号自体の列車本数が減少する可能性もあります。そうなれば、転用する683系0番台と、予備で683系8000番台を確保しておくことで、しらさぎ号用の681系全編成を置き換える可能性も0ではないでしょう。
なお、更新済みのサンダーバード号増結用編成の681系に関しては、今後も引き続きサンダーバード号で使用されるものと見ています。
続いて、683系ですが、こちらは廃車なり289系への転用は今のところ可能性は低いでしょう。今後は683系0番台の6両編成がしらさぎ号用として、2000番台の更新車は能登かがり火号用として、0番台,2000番台(未更新車)の3両編成がサンダーバード号増結用編成として、4000番台がサンダーバード号用として、8000番台がサンダーバード号用としらさぎ号用の両方に対応した役割を担っていくものと考えています。
次回大きな動きが現れるのは、北陸新幹線の敦賀〜新大阪間開業となりそうです。果たして、その日はいつやってくるのやら。
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!
今回の記事作成にあたり、以下のサイト様を参考文献とさせていただいております。
JR編成表、配置表