皆様、こんにちは。U5swです。
今回は、2023年3月に開業した相鉄・東急直通線において、ダイヤ面に関する課題と改善案を挙げていきます。
2023年3月18日に東急新横浜線(日吉〜新綱島〜新横浜間)と相鉄新横浜線(新横浜〜羽沢横浜国大間)が新規開業し、相鉄と東急の直通運転が開始されました。
今回では、上記の区間に加えて、2019年11月30日に相鉄・JR直通線の開業と共に新規開業した相鉄新横浜線の羽沢横浜国大〜西谷間を含めた、日吉〜新横浜〜西谷間を対象区間とします。
相鉄・東急直通線が開業してからの課題としては、
“直通運転網の拡大により、遅延の影響を受けやすくなる”ことが第一に挙げられます。相鉄線内や東急東横線内・目黒線内に限らず、横浜高速線内、メトロ線内、都営線内、埼玉高速線内、東武線内、西武線内、JR線内で何か遅延が発生した場合、その影響をモロに受けてしまい、定時運行ができなくなってしまいます。
そして、私が考えるもう1つの課題としては、
“相鉄・東急直通線内において、列車の間隔が余計に開くダイヤホールが生じてしまっている”ことが挙げられます。これは、東急新横浜線内、および相鉄新横浜線内両路線において課題となっていました。
東急新横浜線開業時では、日中時間帯において、毎時6本の列車が運行されており、
が日吉〜新横浜間を走行していました。ダイヤサイクルは30分を基準に1サイクルとなっています。
基本的に毎時6本運行される路線では、混雑の平準化等の目的で運行間隔を均等化するために、およそ10分に1本列車が来るよう調整がなされます。
しかし、東急新横浜線に関しては、以下のような間隔で運行されます。
※東横線直通急行,目黒線直通急行
ご覧の通り、新横浜方面行きも、日吉方面行きも、一部の時間帯において、15分も間隔が開いてしまっている”ダイヤホール”が生じてしまっていることがわかります。
他の地方私鉄やJR、郊外の路線からすると、まだ多い方じゃねえかという感想を抱かれるかと思いますが、首都圏に近い東急新横浜線であること、他の東急の路線において、こどもの国線を除き、基本的にどの駅も最大10分前後待てば列車が来るダイヤを構成していることから、15分空いてしまうことは東急基準において長い待ち時間となります。
ダイヤホールが生じている原因として、東急新横浜線は東横線と目黒線の2路線から直通してくる列車によって運行されており、東横線直通の急行列車は30分に1本、目黒線直通の急行列車は15分に1本運行されているため、15分間隔で運行されている目黒線急行の間に東横線急行が挟まる形になりますが、東横線急行が目黒線急行の半分の本数しか運行されていないため、15分のダイヤホールが生じてしまっています。
ダイヤホールを解消するため、目黒線急行の一部列車を日吉駅で時間調整することも対策の1つですが、目黒〜新横浜間の所要時間を増加させてしまうデメリットが生じてしまうため、時間調整は行わないものと見ています。
一応、新横浜駅付近でのイベント開催時や、新幹線の利用が多い多客期において、日吉発着の目黒線各停の一部便を新横浜駅まで延長運転する形で臨時運行がなされており、その時はダイヤホールが解消されていますが、それ以外は一部時間帯で15分待ちを余儀なくされるダイヤでの運行となっています。
なお、2024年3月のダイヤ改正において、東急新横浜線で従来の急行6本に加えて、
が毎時2本走るようになったため、東急新横浜線内の日中の運転本数は毎時8本に増加しています。
また、課題のダイヤホールに関しては、
それぞれ改善されています。
詳細に関しては以下の記事と動画をご覧ください!
東急新横浜線よりダイヤホールが課題となっているのが相鉄新横浜線です。但し、JR直通列車と線路を共有する羽沢横浜国大〜西谷間は対象外であり、JR直通列車が走行しない新横浜〜羽沢横浜国大間が対象となっています。
相鉄新横浜線の新横浜〜羽沢横浜国大間は、日中時間帯において毎時4本の列車が運行されており、
以上の列車がおよそ30分サイクルを基準に運行されています。
基本的に毎時4本運行される路線では、混雑の平準化等の目的で運行間隔を均等化するために、およそ15分に1本列車が来るよう調整がなされますが、新横浜〜羽沢横浜国大間において、以下のような間隔で運行されます(一部時間帯を除く)。
※湘南台発着各停(東横線直通),海老名発着各停(目黒線直通)
ご覧のように、一部時間帯において、“20分”のダイヤホールが生じてしまっています。これは、東急新横浜線内の15分よりも更に間隔が広くなってしまっています。
20分のダイヤホールが生じてしまっている原因としては、以下が考えられます。
東急新横浜線で運行されている毎時8本の内、目黒線・南北線直通の列車毎時4本は新横浜駅で折り返すこととなっています。この新横浜駅折り返し列車を毎時2本だけ相鉄線の西谷まで直通させればいいのでは?と思うかもしれませんが、
といった3つの課題があります。
次に、上記の課題でも述べた、JR線直通列車の存在ですが、日中時間帯の羽沢横浜国大駅の上下線の時刻表は以下のようになっています。
※湘南台発着東急直通各停,海老名発着東急直通各停,海老名発着JR直通各停
よって、20分間のダイヤホールの間にJR直通列車が入るため、羽沢横浜国大〜西谷間は毎時6本、概ね10分間隔で運行されています。また、羽沢横浜国大駅は2面2線のホーム構造のため、JR線方面および新横浜方面の同時進入と同時発車は不可能な構造から、ダイヤ作成において少しネックとなっています。
また、輸送障害時において、JR線と相鉄線の直通運転が取り止めになった際、JR線直通列車が緊急で新横浜駅に乗り入れて来ることも想定されるので、そのためにダイヤのスジを空けていることも考えられます(但し、2024年11月時点で新横浜緊急乗り入れの設定はなし)。
最後に相鉄線全体が10分に1本のダイヤをベースとしていることですが、日中時間帯の横浜発着の相鉄線は、
となっており、横浜〜西谷間において、速達列車が毎時6本(概ね10分に1本)と各駅停車が毎時6本(概ね10分に1本)の割合で運行されています。また、海老名発着と湘南台発着に関しては、
よって、西谷駅or二俣川駅において、横浜発着列車と都心発着列車が、および海老名発着列車と湘南台発着列車が10分に1回のペースで接続を行えるように、時間が調整されていることとなっています。具体的には、
この接続が西谷or二俣川で10分に1回のペースで行われることで、横浜or新横浜,都心方面⇄海老名or湘南台方面とのアクセスが可能となっています。よって、どうしても20分空いてしまうダイヤになっているものと思われます。
新たに新幹線とのダイレクトアクセスが実現した新横浜駅において、日中時間帯の東急、相鉄から新幹線(名古屋,新大阪方面)への乗り換え時分、および新幹線(新大阪,名古屋方面)から東急,相鉄への乗り換え時分はどうなっているのでしょうか? なお、東海道新幹線ホーム⇄東急・相鉄ホームでの乗り換え時分は8分に設定しておきます。
まず、東急→新幹線の乗換だと、
となっており、15分着,45分着の東横線直通列車はすぐには乗り換えができず、53分着の目黒線直通列車も待つ必要があります(その分ゆとりを持っての乗車が可能だが)。
次に、相鉄→新幹線の乗換だと、
となっており、特に毎時31分発の博多行きのぞみ号に関しては、スムーズな乗り継ぎが厳しいという課題があります。08分と28分の間に1本列車があれば、スムーズに乗り継ぎが可能ですが…
まず、新幹線→東急の乗換を見ると、
となっています。
次に、新幹線→相鉄の乗り換えを見ると、
となっており、接続の相性は比較的良くないことがわかります。特に、20分台と50分台に到着するひかり号、のぞみ号、こだま号に関しては、17~23分ほど待つ必要があり、16分発および46分発の列車に集中してしまいます。56分発と16分発の間、および26分発と46分発の間に1本ずつ列車が入れば、よりスムーズな乗換が可能ですが…
相鉄・東急直通線の開業で相鉄の駅と東急の駅を改札を通らずに互いに辿り着くことができるようになりました。また、直通列車の存在によって、ある特定の駅と駅の間によっては乗り換えナシで向かうことができています。
しかし、相鉄側で大きなダイヤホールが生じていることもあり、相鉄の駅↔︎東急の駅に辿り着く列車の有効本数(直通列車および途中駅で列車を乗り継ぐことで最速で行くことができる複数の列車)の列車間隔に大きな偏りが生まれてしまっています。
東急線各駅から新横浜経由で相鉄線方面へ向かう有効本数とその列車間隔を以下に記します。
上の表を見てみると、全ての駅において、有効本数が毎時4本確保されていますが、列車間隔に関してはほとんどの駅で20分以上空いてしまう極端なダイヤ構成となってしまっています。
ちなみに、渋谷と武蔵小杉のみ、“JR線からの相鉄線直通列車”が運行されており、極端なダイヤホールの間を縫う形で穴を埋めています。その2駅から相鉄線方面へ向かう場合、時間によっては東急の駅かJRの駅かを選択することが可能です。但し、両駅とも東急の駅とJRの駅が極端に離れているため、時間に余裕を持って乗車することが大切です。
相鉄線各駅から新横浜経由で東急線方面へ向かう有効本数とその列車間隔を以下に記します。
上の表を見てみると、ほとんどの駅において、有効本数が毎時4本確保されていますが、目黒線の目黒と不動前に関しては、その半分の毎時2本しかありません(これは、相鉄から東横線へ直通する急行から乗り継ぐ目黒線の各停が、武蔵小山で相鉄から目黒線へ直通する急行に追い抜かれてしまうため)。
また、列車間隔に関してはほとんどの駅で20分以上空いてしまう極端なダイヤ構成となっており、武蔵小山以遠に関しては約30分となってしまっています。
なお、こちらも渋谷と武蔵小杉へ向かう時のみ、“JR線からの相鉄線直通列車”が運行されており、極端なダイヤホールの間を縫う形で穴を埋めています。
相鉄新横浜線の新横浜〜羽沢横浜国大間のダイヤホールを解消するため、個人的に考えた改善案を紹介します。それが以下の表です(赤字で記載したところが従来ダイヤとの変更点)。
次に、上記の24年改正現行時刻表(左側)と、相鉄新横浜線新横浜〜羽沢横浜国大間6本化後の時刻表(右側)を比較して、どの点が変更となったのかを説明します。
下りに関しては、南北線・目黒線からの各停新横浜行き(新横浜毎時29,59分着)から接続を受ける形で、各停西谷行きを毎時2本設定し、毎時02,32分に中線の2番線から発車するようにします(新横浜での接続時間は3分)。西谷へは毎時09,39分に到着し、
にそれぞれ乗換ができるようにしています。なお、折り返し新横浜行きの西谷発時刻が毎時15,45分と設定している関係上、西谷での折り返し時間に余裕を持たせる形でこのような時刻に設定しています。
併せて、新横浜発着番線にも変更を加えており、
へそれぞれ変更しています。
上りに関しては、目黒線・南北線直通の急行(新横浜毎時24,54分発)へ接続する形で、各停新横浜行きを毎時2本設定し、西谷を毎時15,45分に出発、新横浜には毎時22,52分に到着するようにします(新横浜での接続時間は2分)。西谷では、
から接続を受ける形となります。
併せて、新横浜発着番線にも変更を加えており、
へそれぞれ変更しています。特に南北線・目黒線直通各停に関しては、相鉄線方面ホームの1番線から逆出発となり、誤乗車への懸念が高まりますが、その分駅員のアナウンスで注意喚起を強化すべきでしょう。また、東横線直通急行からの接続が対面でできなくなりますが、新綱島や日吉で同一ホームでの乗継が可能なので、そこまで悪影響は出ないでしょう。
前節で新横浜〜西谷間の各停を毎時2本増発させてみましたが、この増発で新横浜〜羽沢横浜国大間の運転間隔、および相鉄↔︎東急間の有効本数はどのように改善されたのでしょうか?
まず、新横浜〜羽沢横浜国大間の運転間隔は以下のように改善がなされました。
上下線ともに、20分のダイヤホールを14分にまで抑えることができています。
理想の理想を言えば、全て10分間隔の綺麗なダイヤを組めるのが望ましいですが、
以上の関係から、14分開く形で毎時6本化を行わざるを得ませんでした。しかし、待ち時間が短縮されているので、現行よりは改善していると言えます。
次に、相鉄↔︎東急間の有効本数は以下のように改善がなされました。
どの駅からでも、有効本数を6本(目黒のみ4本)と本数を増やしており、最長間隔も14~20分と間隔の縮小に成功しています。依然偏りの大きい駅もありますが、接続列車の都合上致し方ないと言えます。
どの駅に向かうにおいても、有効本数を毎時6本(不動前、目黒は毎時4本)と従来より本数を増やせており、最長間隔は10~15分と理想的な間隔を保てていると言って良いでしょう。
そして、新横浜駅における東海道新幹線と相鉄新横浜線との乗継はこう変わります。
22分着の設定で、31分発ののぞみ号博多行きにスムーズな乗継、52分着の設定で、07分発ののぞみ号広島行きにより余裕を持った乗継がそれぞれ可能となります。
いずれも急いでの乗換となりますが、ひかり号から相鉄線への乗継がスムーズに行えるようになります。
いかがでしたでしょうか?
今回は、相鉄・東急直通線開業後の課題と改善案に関して説明していきました。
東急側は2024年3月改正で概ね課題が解決されたものの、相鉄側は依然解決がなされていません。
今後の利用状況によって増発の有無が左右されますが、是非誰もが利用しやすい路線になることを願っています。
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!