皆様、こんにちは。U5swです。
今回は北陸新幹線の開業により第3セクター会社に移管された旧・北陸本線3社(ハピラインふくい・IRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道)のダイヤ改正内容を紹介します。
ダイヤ改正日は3社共通で2025年3月15日(土)となっています。各社ごとのトピックは以下の通り。
続いて、各社の改正内容の詳細を紹介します。
ハピラインふくい移管後の敦賀〜福井間は、
この2系統の普通が運行されており、
となっています。
その敦賀〜福井間において、次のダイヤ改正で、
9~16時台のほとんどの時間帯で、敦賀〜福井間の普通を”毎時2本運行化“
されることとなりました!!!
併せて、ほとんどの列車において、福井始発の敦賀行きは毎時5・35分発、敦賀始発の福井行きは毎時20・50分発で運行することで、わかりやすいダイヤとします。改正前と改正後のダイヤの比較は以下の通り。
この改正において、敦賀〜武生間は“6往復(上下線併せて12本)増発”となるのに対し、武生〜福井間は一部時間帯の普通列車が毎時1本に減便されるため、“2往復(上下線併せて4本)減便“となってしまいます。
但し、この2往復分に関しては、多客期等で利用者が多く見込める場合、“臨時列車として運行する可能性がある”とのことです。
この敦賀〜福井間は、ハピライン移管前、途中駅の武生と鯖江に多くの特急列車が停車していましたが、移管後は特急列車が走らなくなったこと、北陸新幹線の越前たけふが2駅より離れた場所に位置していることから、新幹線よりもハピラインに利用者が流れています。
また、大阪・京都方面、および名古屋・米原方面から特急列車を利用して福井まで行っていた利用客も、新幹線開業後の速達効果は最速達便で3分ほどと極めて効果は薄く、加えて乗換の必須化、在来線特急↔︎新幹線の乗継割引(在来線特急の半額化)が廃止、在来線特急料金→新幹線料金への値上げなど、以前よりも様々な面で負担が強いられるようになった結果、多少時間はかかってもいいから新幹線の料金を浮かしてハピライン経由で福井へ向かう利用客も増えています。
<参考>京都〜福井間の料金(※指定席特急料金が通常期の場合)
よって、敦賀〜福井間は非常に多くの利用客が集中していますが、一方で、ハピライン側も日中時間帯は毎時1本かつほとんどが2両編成の普通列車のみを運行しているため、混雑が激化し、積み残しも発生している最悪の事態に陥ることもありました。この事態を受けて、ハピライン側は多客期において、武生〜福井間の一部列車を敦賀まで延長運転を行う対応を行い、混雑の緩和を行なっています。
以上のような現状から、次のダイヤ改正で大増発を行うことで、ハピラインに利用者を誘導して収益性の確保に繋げようという狙いがあると考えられます。
今回の改正で増発および時刻の見直しが行われることで、敦賀で接続を行うJR線からの各列車との接続時間が大幅に改善されます。特急サンダーバード号・しらさぎ号→米原および湖西線方面からの新快速・普通列車→小浜線の順に紹介します。
特急サンダーバード号および特急しらさぎ号↔︎ハピラインふくいに30分以内に乗換可能な列車は上下合わせて、
と増加します。これにより、大阪・京都方面or名古屋・米原方面↔︎武生・鯖江・福井方面への移動がしやすくなります。
24年改正において、米原および湖西線方面からの新快速・普通列車からハピラインふくいを利用する場合、敦賀駅に到着する数分前にハピライン普通福井行きが敦賀駅を発車してしまうという、“亜空間接続”のダイヤが問題視されており、接続改善の声が多く挙がっていました。
その声を受け、敦賀での普通福井行きの発車時刻を改めることによって、敦賀を10~16時台に到着する米原および湖西線方面からの新快速・普通列車からハピライン普通福井行きへの接続時間を“5分に改める大幅改善”が行われることとなり、特急課金を行わずに福井方面へ向かう乗客の救済を行うようになります。一例はこちら。
大阪・京都方面→福井方面への移動では、特急サンダーバード号→ハピライン普通に加えて、時間に引き換えて特急料金を一切課金しない新快速→ハピライン普通で移動される方もいるので、敦賀で58分も待機するとなると非常に苦行となるため、これが5分と改善されることで、無課金勢も救済されることとなります。
そして、特急サンダーバード号→ハピライン普通ルートの利用客に加え、新快速→ハピライン普通ルートの利用客も誘導し、敦賀〜福井間を更に活性化させようとする狙いがあると見えます。
小浜線↔︎ハピラインふくいと概ね20分以内に乗換可能な列車が、9~17時台に4本増(13本中11本)となります。小浜線の利用者もしっかり取り込めるようになります。
利用状況に合わせ、福井17:39発の普通敦賀行きの編成両数を2両→4両へ増強し、混雑緩和を図ります。併せて、福井の発車時刻を17:42発に3分繰り下げを行うことで、北陸新幹線17:37着のつるぎ37号敦賀行きからの乗り継ぎが可能となります(但し急ぎで)。
この普通敦賀行きは夕方時間帯で特に利用者が集中して問題となっていたことから、既に2両→4両への臨時増結を実施しているほどです(併せて、敦賀18:40発普通芦原温泉行き、芦原温泉20:02発普通福井行きも4両で運行)。
対して、福井18:26発の普通敦賀行きは、逆に編成両数を4両→2両へ縮小することとなります。これがどう影響が出るのでしょうか…?
朝時間帯、福井駅に7,8時台に到着する敦賀方面からの列車の運転間隔に偏りがあるため、それを以下のように見直します。併せて運行区間や行先にも変更が生じます。
改正前後の列車の増減は、
各区間ごとの列車の増減は、
敦賀→福井間全体の必要車両編成数は、
このようにテコ入れがなされました。
改正のポイントとしては、
また、快速福井行きを敦賀8:04発に変更することで、
特急サンダーバード1号敦賀行き(大阪6:30発、新大阪6:34発、高槻6:45発、京都6:59発→敦賀7:54着)
から10分の接続で利用できるようになります。よって、関西方面から武生・鯖江・福井方面へ向かう方を対象に、ほぼ以前の特急のように早く移動することができます。
全体を振り返ると、全列車を敦賀→福井間の通し運転にし、全区間において等間隔化にすることで混雑の平準化を図り、複数の列車を統合してスリム化を行なったものと思われます。ハピラインは2両編成16本しかいないカツカツな状態で、最ピーク時間帯の朝ラッシュ帯に1編成を予備車に充てられたのは運用面では大きいでしょう。
但し、福井へ近づく度に混雑が集中することから、武生始発の列車を無くした影響がどう左右するのかは気になるところです。
ハピラインふくい全体の利用客は福井駅を境に大きく入れ替わる傾向にあることから、ほとんどの列車が福井駅で折り返し運転を行なっています。
福井駅は2面5線の構造であり、1・2・3番のりば、4・5番のりばでそれぞれ1つのホームを共有しています。
その内、敦賀方面からの折り返し列車は主に4番のりば、芦原温泉・金沢方面からの折り返し列車は主に3番のりばに発着することから、3番のりば↔︎4番のりばへは階段等での乗換が必要となり、乗換客目線からすると負担がかかってしまっています(但し一部列車は同一ホームで乗換可能)。
また、朝時間帯は多くの利用客で溢れかえることから、乗車客+降車客+乗換客でコンコースに利用客が集中すると、移動がしづらいというデメリットも生じます。
この面を考慮し、朝時間帯の一部列車を福井駅で折り返さず、敦賀方面↔︎芦原温泉・金沢方面の通し運転とすることで、乗換の負担軽減とコンコースへの利用客の流れを良くします。対象列車は以下の通り。
なお、福井7:54発普通敦賀行きと、福井8:06発普通敦賀行きは、改正後福井8:00発普通敦賀行きへ1本に統合します。列車本数は1本減となる代わりに、編成両数が2両→4両へ増結されます。
IRいしかわ鉄道線内では、金沢以東では七尾線直通の特急能登かがり火号や、有料のあいの風ライナーが運行されていたのに対し、金沢以西は普通列車のみの運行となっています。
今回の改正で、加賀地区と金沢の速達輸送を行うため、大聖寺〜金沢間で新たに
快速列車の運行を開始します!!!
朝時間帯に大聖寺発金沢行き、夕方時間帯に金沢発大聖寺行きが各1本ずつ設定され、停車駅は、
大聖寺〜小松間の各駅、能美根上、松任、金沢
と設定され、小松以西は遠近分離の観点から各駅に停車し、小松〜金沢間で通過運転を行う“区間快速タイプ“です。JR北陸本線時代に一部在来線特急が停車していた松任と、金沢からそこそこ離れつつ比較的利用者の多い能美根上が停車駅に選ばれました。
この快速列車の運行により、大聖寺→金沢間は最大16分、金沢→大聖寺間は最大11分の時間短縮を実現します。
先述の快速列車を含めて、小松〜金沢間を中心に増発がなされます。
まず、大聖寺7:48発普通金沢行きを、大聖寺7:44発快速金沢行きに種別格上げを行います。この快速は小松で小松始発(8:05発)の普通金沢行きに接続するのに加え、松任でも先行の普通金沢行きと対面で緩急接続を行います。よって、松任や金沢に限らず、野々市や西金沢といった金沢に近い駅にも乗継によって早くアクセスすることができます。
なお、小松での普通への接続とアナウンスしていますが、明峰以外の通過駅(小舞子,美川,加賀笠間,西松任)は小松で乗継を行わず、“能美根上で乗継を行う”方が望ましいです。これは、小松駅のホーム構造が2面3線であり、主に大聖寺方面からの金沢行きが使用する1番のりばと、小松発着の折り返し金沢行きが使用する2番のりばはホームが異なり、階段等での移動を強いられます。対して能美根上は1面2線のホームで同一ホームから発着するため、降りたホームで待てば後続の普通に乗車することができます。
次に、小松→金沢間の普通が1本減る代替的な役割として、小松8:30発普通金沢行きを増発して、減少分を補うとともに、朝の金沢方面に向かう普通の運行間隔の偏りを是正します。小松発時刻で見ると、普通の発車間隔が9分-9分-36分と8時台に余計空きすぎているところを、17分-25分-15分と偏りを是正しており、混雑の平準化を狙っています。
まず、富山6:48発の普通金沢行きを、富山6:47発普通小松行きとして金沢→小松間を延長運行します。よって、IR移管後津幡→小松方面へ向かう列車において、”金沢より先へ直通する列車が初めてできる”こととなります(逆は平日のみ小松と松任を始発とする津幡行きが各1本ずつ運行している)。また、あいの風とやま鉄道線からの金沢以西へ直通する列車も、あいの風移管後初めての設定となります。
次に、金沢7:54発普通福井行きを、金沢7:59発に変更し、”金沢へ7:56に到着する七尾線からの普通金沢行きから乗り換えできる”ようにします。
これにより、ラッシュ時間帯の金沢を跨いでの通勤通学がより便利になります。
個人的に富山発小松行きの設定は衝撃を受けましたね… 基本的に金沢で利用客が入れ替わるので、通し列車の設定はそこまで実現しないものと思われましたが、IR全通2年目で早くも実現してしまいました。
夕方・夜間の金沢発の列車は、先述の通り金沢18:20発快速大聖寺行きの1本を運行するのに加え、平日のみの運行で金沢19:40発の普通松任行きを増発、更に金曜日のみの運行で金沢21:45発の普通小松行きを増発します。併せて、現行の金沢18:18発普通美川行き(平日のみ運行)を金沢18:10発に繰り上げ、金沢19:46発普通小松行きを金沢19:50発に繰り下げます。
※改正後金沢18:10発の普通美川行きは、引き続き平日運行のみなのか毎日運行に変更なのかは現時点で不明
以上、土休日は1本?、平日に2本、金曜日限定で3本増発を行い、金沢以西の利便性を向上します。
金沢10:00発普通小松行き、その折り返しの小松10:45発普通金沢行きは、現行ダイヤだと”土休日のみの運行”となっていますが、この1往復を”平日にも運行を行い、毎日運行”となります。
これにより、小松〜金沢間において、金沢発だと60分空いていた間隔が30分-30分と短縮、金沢着だと53分空いていた間隔は30分-21分とダイヤホールがなくなります。
※現行の福井発普通金沢行き(小松10:15発、金沢10:47着)は、改正後小松10:17発、金沢10:49着に時刻変更を行います。
富山〜泊間において、11~14時台の間でパターンダイヤを導入し、わかりやすいダイヤとします。
富山11~13時台発の列車を1本増発の上、富山→泊間を30分ヘッドで運行します。但し、増発する12:15発は土休日は黒部行きとなり、富山→黒部間は30分ヘッド、黒部→泊間は一部60分間隔となるところがあります。
泊12,13時台、および黒部12~14時台発の列車を1本増発の上、泊→富山間を30分ヘッドで運行します。但し、増発する泊13:23発は土休日は黒部始発となり、黒部→富山間は30分ヘッド、泊→黒部間は一部60分間隔となるところがあります。
現行の富山12:06発泊行きは、終点の泊に12:53到着となっていますが、その6分前の12:47に泊発直江津行きが出発してしまい、長時間接続待ち(泊13:49発まで56分待ち)を強いられています。
しかし、上記のパターンダイヤを導入することで、富山発が11:45に繰り上がり、終点の泊に12:35到着となるため、泊12:47発の直江津行きに12分の接続で利用することができます。
現行の富山11:50発金沢行きは、高岡に12:07到着となっていますが、その4分前の12:03に高岡発氷見行きが出発してしまい、長時間接続待ち(泊13:47発まで100分待ち)を強いられています。
しかし、氷見線側の考慮により、高岡発氷見行き時刻を高岡12:10発に繰り下げることにより、高岡で氷見行きに3分の接続で利用することができます。
富山〜泊間の2往復が新たにワンマン運転となります。
昨年のダイヤ改正後、IRいしかわ鉄道へ直通する金沢〜富山間の2両編成の列車もワンマン運転を開始しましたが、更にワンマン運転が拡大することとなります。
なお、通勤・通学時間帯はどの列車でもツーマン運転を行うとのことです。
長くなりましたが、いかがでしたでしょうか?
今回は旧・北陸本線の第3セクター会社の内、ハピラインふくい、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道の計3社のダイヤ改正内容を紹介しました!
3社ともに増発が行われ、より地域輸送に特化するだけでなく、ハピラインふくいは関西圏および中京圏からの利用者を新幹線からハピラインに誘導すべく、攻めに攻めた改正を敢行、IRいしかわ鉄道は快速列車の新設で加賀地区〜金沢間の速達化を図ることとなりました。
北陸本線時代は在来線特急優先のダイヤが組まれていた都合上、普通列車の増発は難しい現状にありましたが、新幹線の開業によってほぼ普通列車中心のダイヤとなったことで、増発も容易にできるようになり、細かな地域輸送に優しいダイヤとなった気がします。
個人的には、ハピラインふくいの敦賀〜福井間の新幹線完全対抗ダイヤがどのような結果をもたらすのかがとても楽しみなところです。
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!