皆様、こんにちは。U5swです。
今回は東京メトロ有楽町線の延伸区間(支線)という扱いで2030年半ば開業予定の豊住線の運行形態に進展があったので、その詳細を確認します。
まず、現在建設に向けて進んでいる豊住線について簡単に説明します。
豊住線は有楽町線の豊洲駅から、半蔵門線の住吉駅までを結ぶ、将来的に東京メトロが営業を行う新線です。途中駅に東陽町駅を経由することで、東西線と乗換を可能とし、東西線沿線から豊洲・お台場方面および住吉・押上方面へのアクセス向上、ならびにバイパス新設による混雑率の緩和を図ります。
なお、豊住線は現在仮名であり、扱いとしては有楽町線の新線という扱いとなっています。
豊住線に関しては、こちらの記事でも紹介しています。
この豊住線ですが、去る2025年4月17日に、東京メトロと東武の共同発表により、
東京メトロ半蔵門線(住吉〜押上間)、東武スカイツリーライン(伊勢崎線・日光線)
と相互直通運転を行うことで合意したと発表がなされました!
https://www.tobu.co.jp/cms-pdf/releases/202504171312081Q_nuLFJEbkEP4oomDSi2A.pdf
これにより、豊洲と北千住・草加・越谷・春日部方面が乗換なしで直通運転を行うこととなり、豊洲〜春日部間は現行より8分短縮となる53分、東陽町〜草加間は現行より11分短縮となる29分で結べることとなります。
列車の編成両数は10両編成。おそらく現行の半蔵門線で使用される東武車やメトロ車(半蔵門線用)が使用される他、運用の都合等で東急車(田園都市線用)も乗り入れるようになるでしょう。
この発表を受けて、ほとんどの方はこう疑問に思ったでしょう。
「有楽町線の本線(豊洲〜和光市間)との直通運転はしないの?」
事実、豊住線は有楽町線の新線という扱いになっており、既にある有楽町線の本線に直通するもんやと思うのはおかしくない話だと思います。
しかし、今回の発表で半蔵門線・東武スカイツリーラインで直通することを発表した以上、
有楽町線の本線と豊住線の直通はナシ、豊洲で完全分断
と捉えるべきだと考えます。その理由として、
これらの事情があるためです。
まず、有楽町線と半蔵門線の各々が相互直通運転を行う路線を挙げていきます。
また、有楽町線と半蔵門線が直接相互直通運転を行なっていなくても、その直通運転先が相互直通運転を行なっている路線は以下の通り。
このように、どちらも直接相互直通運転する路線を抱えているのに加え、間接的に相互直通運転を行う路線が膨大に張り巡らされています。
一見直通運転で便利になるとは言えど、直通運転の最大のリスクは“遅延”です。
特に直通運転を行うと、直接的だけでなく間接的にも遅延の影響が出てしまう中で、無闇に直通運転網を広げてしまうと、ほとんどの路線においてダイヤが乱れて大混乱になってしまいかねません。また、1路線が止まってしまったり遅れてしまうだけで広範囲に悪影響を及ぼしかねない状況となってしまいます。
このようなリスクを承知でも、半ば強引に有楽町線と豊住線の直通列車を走らせるべきですか?
自分は全く思いません。というか、やってはいけないと思っています。
「有楽町線の支線なのに有楽町線からの直通列車が走らないってどういうことだ!」とツッコミたくなる気持ちも理解はできますが、有楽町線の支線だから有楽町線の車両を必ず走らせる必要はありませんからね。
有楽町線は埼玉県和光市駅から小竹向原駅、池袋駅、飯田橋駅、永田町駅、有楽町駅、豊洲駅と経由して新木場駅へ至る路線であり、東京都心を北西方向から南東方向へ貫く路線となっています。
一方で豊住線は豊洲駅と住吉駅を南北に縦断する路線となっています。
この路線の特徴から、仮に池袋駅から豊洲駅を経由し豊住線へ直通、住吉駅から半蔵門線へ乗り入れて押上駅に至る直通列車を設定したとて、ルートが大きく迂回をすることから、最初から最後まで通しで乗車する需要はほぼ見込めない現状となっています。
そこまで時間をかけて遠回りするくらいなら、有楽町線と半蔵門線の接続駅である永田町駅で乗り換える方が早く済みます(1番の最短ルートは飯田橋駅で東西線に乗り換え、九段下駅で半蔵門線に乗り換えのルートが最速)。
従って、直通列車を設定するメリットや効果は薄いと言わざるを得ません。
最後に半蔵門線の住吉駅と、有楽町線の豊洲駅の構造に関してです。
まず、半蔵門線の住吉駅は営業列車が2面2線のホームを使っていますが、単純な並列の対向式ホームを採用しているわけではなく、“2層式の構造”を採用しており、B3Fに渋谷方面行きの列車が、B4Fに押上方面行きの列車が発着する構造となっています。
また、B3Fホーム、B4Fホーム共に、ホーム横に留置線が1本ずつ敷いており、日中時間帯には留置車両が留置されており、その留置車両が営業運転に就く際に当駅始発の列車に充当されることもあります。ホームと留置線の間には鉄格子で塞がれています。
この留置線ですが、豊住線開業後は豊住線へ直通する列車が発着に使用される予定であり、住吉駅は開業当初から(?)その延伸に対応した設計となっています。おそらくB3Fが豊洲方面行きホーム、B4Fが豊洲方面から押上方面へ直通する列車が使用するホームとなるでしょう。
よって、住吉駅の駅構造が特殊であるが所以、有楽町線からの列車が豊洲駅を経て住吉駅まで折り返すとなると、列車によってB3Fのホームで折り返すのか、B4Fのホームで折り返すのか所謂”ガチャ”が発生してしまうこととなり、住吉駅で折り返すと半蔵門線への乗換が余計ややこしくなってしまいます。そうなると最低でも押上駅まで直通させないといけませんが、上記の通り、半蔵門線系統と有楽町線系統の車両が線路を共有することでダイヤ乱れ時における大混乱に繋がってしまいかねないため、有楽町線から住吉方面へ直通するのは相応しくありません。
対して、有楽町線の豊洲駅の駅構造は並列の2面4線構造の駅となっています(現在は一時的に中線の2線を封鎖し、2面2線の島式ホームとして営業中)。外側の2線を有楽町線の列車が、内側の中線2線を将来的に豊住線の列車が発着することで棲み分けが可能です。
また、豊洲駅の和光市方には2本の引上線を有しており、豊住線の豊洲止まりの列車を引上線に入換、折り返し住吉・押上方面への営業列車に仕立てることが可能です。
従って、お互いの駅構造の関係からも、有楽町線からの直通ではなく、半蔵門線からの直通にした方が都合が良いのです。
このように、豊住線は半蔵門線との直通、更には押上駅から東武スカイツリーラインへ直通運転を行うことから、
この2系統が並行して走るものと思われます。運行上住吉〜押上間は2系統の列車が線路を共有しての運行となるため、その区間だけは本数がとても多く増えると予想できます。
一方で、豊住線直通列車の運行によって線路容量に余裕を持たせるため、田園都市線〜半蔵門線系統の列車の一部は清澄白河止まりに短縮されそうです。清澄白河〜住吉間の1区間のみ極端に本数が少なくなる懸念はありますが…
豊住線がどのような運行頻度で運行されるかは未定ですが、日中時間帯の半蔵門線が5分ヘッドで運行されていることを考えると、これに合わせたダイヤになると思います(5分ヘッドor10分ヘッド)。但し豊住線の開業でダイヤパターンが大きく変わる可能性もあるので、絶対的とは言えません。
また、東武直通に関しては、現行は半蔵門線・東急田園都市線直通列車が毎時6本運行されていますが、豊住線開業後は豊住線からの直通列車も何本か走るものと思われます。但しどれくらい豊住線直通に振り分けるのかは予想がつきません。
また、車両運用面に関しても、当然大きな変化が生じるものと思われます。
単純に考えれば東京メトロの区間が増える分、メトロ車の増車は必ず起こりうると考えており、半蔵門線系統では現在8000系の置き換え用として18000系の製造を続けています。8000系置き換え用の全編成を揃えた後、豊住線開業用に数編成増備するのが既定路線と思われます。
一方で東武車に関しては、一部が豊住線直通用に運用が振り分けられることがほぼ確定となりますが、東武線内における運用が現行より増えるかどうかは未知数ですし、現行の東武50000型・50050型の編成数が増えることなく据え置きで行くことが濃厚でしょう。
最後に東急車ですが、こちらは直接的に豊住線と東急田園都市線が乗り入れることはないので、東急2020系・5000系の編成数は据え置きとなる可能性が高いでしょう。但し間合い運用やメトロ車・東武車の代走により、東急車の豊洲乗り入れが実現する可能性があるため、豊洲乗り入れに対応はされるものと思われます。
また、以前の豊住線の記事において、
“線内完結専用列車として、南北線9000系1・2次車を転用させる”
という案を提唱していましたが、正直10両編成の半蔵門線用車両に統一させるため、“可能性はほぼ皆無”と思考更新させていただきます。悪しからず。
いかがでしたでしょうか?
今回は東京メトロ豊住線の運行形態に関する進展に関して説明しました!
この3点を中心に解説してきました。
今後の豊住線がどのようにして開業を迎えるのか、更なる進展情報を楽しみに待ちたいところです。
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!