皆様、こんにちは。U5swです。
今回は先日発表された、西武鉄道とJR東日本の直通運転構想に関して説明していきます。
全国の鉄道ファンや沿線民が衝撃を受けた今回の直通運転構想。西武鉄道とJR東日本は2025年6月9日に、2028年度を目処に直通運転の実施を検討していることが明らかとなりました。
読売新聞オンライン様のニュース↓
これまで両社の直通は全くの無縁でしたが、西武所沢駅とJR新秋津駅の連絡線を活用して、直通列車を走らせる構想が出ています。
まず、西武とJRの直通列車を走らせる構想に至った1つの大きな要因となっている、“西武所沢駅とJR新秋津駅を結ぶ連絡線”について説明します。
この連絡線は営業列車が一切走らない線路となっていますが、主に2つの目的で使用されている“重要な線路”となっています。
JR新秋津駅の配線図(配線略図net様より引用)↓
このように主に西武の車両の搬入・搬出を目的に、この連絡線が活用されています。
Munetora Trainチャンネルでは、連絡線を活用した西武40000系の甲種輸送の動画を記録しています。↓
このように、西武池袋線とJR武蔵野線の連絡線を活用した直通列車ですが、では、その直通列車は具体的にどのような列車を走らせる狙いがあるのでしょうか？
一例として、西武の観光地である秩父と、千葉・東京湾臨海部方面で、某ネズミの国の最寄り駅であるJR京葉線の舞浜駅へ、武蔵野線経由で直通する列車の構想が挙げられています。また、現段階で定期列車の設定はなく、臨時列車での設定のみと考えられています。
確かに千葉方面から所沢・秩父方面へのアクセス手段は乏しいため、直通列車の運行は魅力に感じますが、某ネズミの国だと西武池袋線が相互直通運転を行う東京メトロ有楽町線を利用し新木場駅まで向かい、JR京葉線に乗り換えれば2駅で舞浜駅に辿り着くことができます(勿論、有楽町線内は各駅停車なので時間はかかるが)。また、武蔵野線は大きく迂回する路線になっているため、所要時間の短縮効果はそこまで大きくならないでしょう。
また、西武↔︎JRの連絡線は府中本町側へ直接繋がっており、武蔵浦和・南越谷・南船橋方面へ向かう際はスイッチバックを行う必要が出てきます。こちらに関しては、西武↔︎JRの乗務員交代を行う関係で運行上は問題ないとは思われますが、スイッチバックする関係でその分所要時間は増えることが見込まれます。
個人的にはJR側は千葉方面もアリですが、東北・上越・北陸の玄関口である大宮発着の列車や、現行の副都心線・東急東横線ルートよりも距離や所要時間を大幅に短縮できるであろう、武蔵野貨物線経由で横浜方面や、その先の鎌倉方面に直通列車を走らせてみるのが面白いかなと思います。
一方で、西武側は秩父方面以外にも、埼玉西武ライオンズの本拠地であるベルーナドームの最寄りである、西武球場前まで直通する臨時列車や団体列車を走らせるのもいいでしょう。
さて、ここからは仮に直通列車が設定された場合、どの車両を使用するのかに関して予想していきます。
まず、西武の車両、およびJRの車両はいずれも、直通先に乗り入れる保安装置を搭載していないため、いずれは直通対応工事が施工されることとなります。
次に、特急用車両と通勤用車両についてですが、臨時列車でしか使用されないことを考えると、直通用車両は特急用車両に限定されるものと思われます。
以上のことを踏まえて、西武側およびJR側の車両候補を以下に挙げていきます。
まず西武側ですが、現在は西武新宿〜本川越間の特急小江戸号で使用されている、西武10000系NRAの最終増備編成である10112Fです。
西武10000系は1993年より導入された西武の特急用車両であり、当初は池袋線・秩父線の特急ちちぶ号、特急むさし号などにも使用されていましたが、後継車両の001系登場により、現在は新宿線の特急小江戸号のみで活躍しています。
その中でも最終増備編成にあたる10112Fは、2003年に製造された比較的新しい編成となっており、走行機器が従来の編成が旧型車両の機器を流用した抵抗制御車なのに対し、10112Fのみ日立IGBT-VVVF制御車と、当時の最新仕様に合わせられた異端児となっています。
2025年現在も特急小江戸号で引き続き使用されていますが、特急小江戸号の利用状況が芳しくないことを受けて、西武鉄道は2025年3月14日に、特急小江戸号を新たな“ライナー型車両”で置き換えることを発表しています。すなわち、西武10000系は西武鉄道から完全に撤退することが決定しています。
鉄道コムニュースより↓
西武10000系の今後としては廃車解体、および富山地方鉄道をはじめとした地方鉄道への譲渡が濃厚となる中で、製造から22年しか経っていない10112Fに関しては、ここで廃車にするには多少勿体無いと感じるでしょう。
そこで、10112Fを臨時列車や団体列車専用の波動用車両として残した上で、JR線の直通対応工事を施工し、直通列車にも使用することができる最適な候補と言えるでしょう。
現在、西武鉄道では、2030年度を目処に、西武鉄道の車両全てをVVVFインバータ制御車に統一させるための新型車両の導入やサステナ車両の譲受を行っていますが、10112FはVVVFインバータ制御車であることから、必ずしも西武から追い出さないといけない車両ではありません。
次にJR側ですが、現在では上野・新宿〜高崎間の特急あかぎ号、および上野〜長野原草津口間の特急草津・四万号の定期列車をはじめ、様々な臨時特急の波動用車両としてマルチな活躍を続けている、E257系5500番台です。
元々は房総特急用のさざなみ号・わかしお号で活躍していたE257系500番台でしたが、房総特急の需要減を受けてリニューアル改造を行い、他の特急列車に転用が行われました。転用された500番台の内、4編成が東京〜修善寺間の特急踊り子号、および東京・新宿〜小田原間の特急湘南号用としてスカイブルーの帯を纏った2500番台に、5編成が臨時特急等の波動用、後に651系の後継車両としてあかぎ号、草津・四万号用としてグリーンの帯を纏った5500番台が誕生しました。
この波動用編成の5500番台は5両編成であることから、JR線の各方面から西武直通の臨時列車用として活用される可能性が高いと思われます。勿論、西武直通対応工事は施工しなければなりませんが、本格的に直通運転を行うのであれば、候補の筆頭になり得る車両でしょう。
他にも9両編成ver.のE257系波動用車両として5000番台も候補として考えられます。
いかがでしたでしょうか？
今回は西武↔︎JRの直通運転構想に関して説明しました！
西武線とJR線が直接繋がっていることは存じ上げていたものの、まさか両社間で直通運転の構想を持っているとは思っていなかったので、このニュースを聞いたときは衝撃を受けました。
果たしてどれくらいの本気度があるのかは未知数ですが、将来的に西武の車両がJR線で、JRの車両が西武線で走ることを考えると、とても楽しみですね！
今後の進展に注目しつつ、この記事を締めます。
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました！