皆様、こんにちは。U5swです。
今回は主にJR西日本で増備が続けられている、新型近郊型or通勤型車両の”227系顔”の車両を、2025年11月時点の最新ver.でまとめていきます。
“227系顔”というのは、2015年に広島地区で導入した”227系0番台”を元に、以降各地に導入されていく近郊形車両や通勤型車両が227系と同じ前面デザインで製造されていることから、”227系顔”と定義しています。
2色のヘッドライトとテールライトを配置し、側面には転落防止幌を設置、種別・行先表示器にはフルカラーLEDを採用した3扉の車両です。
ここからは、227系顔を採用している車両を製造開始順に時系列でまとめます。
ご覧の通り、使用用途や形式区分、番台区分で分類すると、なんと“12種類”の車両が227系顔を採用しているということになります。これだけ他形式にまで派生しながらも、同じ前面デザインを採用しているのです。
次の項からは、上記に挙げた車両形式を深掘りしていきます。
227系顔と言っておきながら、実はこのデザインの元祖は”521系3次車”です。だったら”521系顔”じゃないの?と思うかもしれませんが、521系自体は2006年から製造されており、1・2次車は”223系”をベースとした前面デザインとなっているため、弊記事では敢えて“227系顔”と定義しています。
この521系3次車は、2013年から製造が開始された区分で、2010年より登場していた225系で採用した衝撃吸収装置等を採用し、前面デザインを変更して誕生しました。但し、従来の521系の機能を継承するため、種別幕は1・2次車同様幕式、行先表示はオレンジ色の1段式です。
この3次車の登場により、まだ残存していた北陸本線の国鉄型車両を置き換え、北陸地区の普通列車が521系で統一されました。
2015年3月の北陸新幹線金沢延伸の際、JR西日本在籍の19編成は引き続き北陸本線の敦賀〜金沢間で運行を続け、金沢延伸直前に増備された2編成はIRいしかわ鉄道に譲渡の上、IRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道の金沢〜富山間での運行となりました。
そして、2024年3月の北陸新幹線敦賀延伸の際、敦賀〜金沢間がJR西日本から切り離され、ハピラインふくいとIRいしかわ鉄道に移管されることとなりました。これに合わせてJR西日本所属の521系3次車もハピラインふくいとIRいしかわ鉄道に譲渡されました。塗装も従来の青帯からハピライン色orIR色に変更されたため、オリジナルの青帯塗装はなくなり、JR西日本所属車両も無くなりました。
國鐡廣嶋を解体するために導入された待望の新型車両で、今後のJR西日本の新型車両登場のベースとなる車両にもなっています。
種別表示は近郊型車両・通勤型車両で初めてフルカラーLEDを採用、行先表示も日本語・英語表示のフルカラーLEDを採用しました。
2019年までに広島地区(山陽線の三原〜岩国間、呉線、可部線)の車両を全て227系0番台に統一しました。
2010年に登場した225系0番台を、”227系ベース”にして登場したのが225系100番台です。当初は新快速の12両運転増強用として2016年に8両編成2本と4両編成2本が登場し、他の223系1000,2000番台や225系0番台と共に営業運行に入るようになります。
そして、2020年より増備が本格化し、網干に残存していた221系と一部の223系2000番台を奈良or京都に転属させ、奈良に残存していた201系と京都に残存していた113系と117系を置き換えました。225系100番台の増備により、東海道・山陽本線を走る新快速・快速電車の車両を全て223系と225系に統一しました。
2023年には、新快速の一部車両で設定している座席指定サービス“Aシート”のサービス拡大に合わせて、車両設備を当初から片扉2扉の特別仕様にした、225系700番台を2両製造し、普通車の100番台3両を繋げた4両編成2本が誕生しています。
2010年に登場した225系5000番台を、”227系ベース”にして登場したのが225系5100番台です。阪和線で残存していた103系や205系を完全に置き換え、阪和線・関西空港線で走る車両を全て3扉の車両、223系・225系に統一しました。座席配列は223系0,2500番台、225系5000番台と同様の1+2列転換クロスシートです。
4両編成は主に関空・紀州路快速や区間快速で、単独運転や223系0,2500番台、225系5000番台と併結運転を行なった運転を行います。一方で6両編成は主に天王寺〜鳳間の普通用として単独のみで運転します。そのため、4両編成は先頭車に転落防止幌が設置されているのに対し、6両編成は設置されていないという違いがあります。
また、225系5100番台の4両編成のみ、鳳〜東羽衣間の羽衣支線の乗り入れに対応しており、ワンマン運転を行なっています。
大阪環状線改造プロジェクトの一環として、大阪環状線・桜島線で残存していた103系と201系を置き換え、大阪環状線を走る車両を全て3扉に統一するために、2016年より導入が進められた通勤型車両です。座席はオールロングシートを採用し、8号車(外回り先頭車)は混雑が激しいことを考慮し、座席数を少なくして立ち席スペースを確保、5号車の女性専用車両は室内灯を暖色にするなど工夫を施しています。
基本的に大阪環状線・桜島線の普通運用に限定され、103系・201系時代にあった関西本線への乗り入れ運用はなく、阪和線へも乗り入れは行いません。
なお、2025年4月~10月に開催された大阪・関西万博の来場者輸送対応により、新大阪・大阪(うめきた新駅)から梅田貨物線・桜島線を経由しユニバーサルシティ・桜島までを結ぶ臨時列車”エキスポライナー”に323系が充当されました(一部列車は221系で運行)。エキスポライナー運行に合わせ、1号車(桜島方先頭車)の車内一体をLEDパネルで埋め尽くし、万博の歴史や大阪の沿線情報などを紹介する特別仕様車両「JR WEST Parade Train」が運行されました。
2015年3月の北陸新幹線金沢延伸で元北陸本線の富山県区間を引き継いだ第3セクターの愛の風とやま鉄道では、JR西日本から521系2次車の他に、国鉄型車両の413系も譲渡されていました。その413系を置き換えるために、あいの風とやま鉄道が自社発注で新造したのが521系1000番台です。
基本的なベースは521系3次車に準じていますが、種別・行先表示が227系ベースのフルカラーLEDとなっていることが特徴です。但し、側面の種別・行先表示は一体型ではなく、これまでの521系を踏襲したセパレート型となっています。
521系2次車と共通運用を組み、金沢〜泊・糸魚川間の普通やあいの風ライナーにも充当されます。227系顔の車両が乗り入れる”日本最東端の駅”が新潟県の糸魚川駅ですが、糸魚川駅までの乗り入れは1日1往復限定のため、運用の都合で乗り入れない日もあります。
和歌山線・桜井線・紀勢本線で残存していた国鉄型車両(105系・113系・117系)を置き換えるために導入されました。
227系0番台とは異なり、座席がオールロングシートなのが特徴です。ロングシートによる立ち席スペースの広さを活かして、和歌山線や紀勢本線の一部区間では、自転車を持ち込んで乗車できるサイクルトレインサービスの実証実験が行われています。
七尾線で残存していた国鉄型車両(413系・415系・455系)を置き換え、同線でのワンマン運転を開始するために導入されました。従来の521系と区別するために青帯ではなく、能登地区の名産品である輪島塗の漆をイメージした茜色の帯を纏っています。
車体も従来の521系とは異なり、227系ベースの車体を採用しており、側面の種別行先表示が一体型であることが特徴です。
JR車とIR車の両方がありますが、どちらも共通運用を組んでおり、4両編成での運転時はJR車とIR車の併結も見られます。
521系0番台の最終増備車として2021年に4次車が2編成増備されました。この4次車はあいの風とやま鉄道の521系1000番台とほぼ同一の設計であり、種別・行先表示が227系ベースのフルカラーLEDとなっており、側面の種別・行先表示はセパレート型となっています。
2025年3月まではJR西日本所属であり、521系2次車や3次車同様敦賀〜金沢間での運用でしたが、北陸新幹線敦賀延伸により、1編成がハピラインふくいに、もう1編成がIRいしかわ鉄道へそれぞれ譲渡されました。前者はハピライン特別色(特別色は3次車1編成と4次車1編成の2編成)に塗装変更し敦賀〜金沢間で、後者はIR色に塗装変更し福井〜富山間で、それぞれ営業運行を行なっています。
非電化路線における次世代の気動車導入のための試験用車両として導入された電気式気動車です。他のJR路線では既に導入しているところもありますが、JR西日本では初の導入となりました。
ディーゼルエンジンで発電機を回し、その発生した電力でモーターを動かす駆動方式を採用している他、バッテリーを接続することで、エンジンによる発電とバッテリーの双方から電力供給を行うハイブリッド式にも対応しています。
この電気式気動車にも前面デザインは227系顔を採用していますが、これまでが拡幅車体に採用されていたのに対し、本形式はストレート車体の2扉片扉式、単行運転となっているため、今までの227系顔の車両とは全くイメージが異なります。また、車体の関係から、前面の種別・行先表示は中央上部に一体となってまとめられたものとなっています。
元々は試験用車両として、主に山口地区で試験走行を行なっていましたが、2024年に姫新線で快速ハレのモリとして営業運行にも就いています。
現状、JR西日本の非電化区間は、国鉄型車両のキハ40系列があちこちで未だ走っている他、閑散区間の象徴であるキハ120形も製造から30年が経過しています。よって、試験走行の結果が良好であれば、主に国鉄型車両の置き換えを目的に、当形式の量産化が十分見込まれることでしょう。
國鐡岡山を脱却すべく導入された待望の新型車両です。岡山の象徴”桃太郎”から、桃色をベースとした塗装となっており、113系や115系といった国鉄型車両の置き換えを現在進行形で行なっています。
座席は0番台同様転換クロスシートを採用していますが、0番台よりもクロスシートが1列分削減され、その分ドア付近の立ち席スペースを確保して混雑対策を施しています。
そして去る2025年10月30日、JR西日本より、山陽本線の山口エリアに新型車両を導入することが発表されました。
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/251030_00_press_yamaguchiarea_train_2.pdf
プレスリリースにおいて、227系をベースとした新型車両という明記がありましたが、おそらくは227系になると思われます。車両愛称は従来の227系とは別の、黒色と金色のラインをベースとした”Kizashi”となりました。
岩国〜新山口間は0番台が既に乗り入れていますが、遂に國鐡山口もカウントダウンが始まることとなりました。山陽本線の山口エリアが対象ということで、運行区間はおそらく岩国〜下関間となる模様です。遂に新型車両がJR西日本の電化区間最西端”下関駅”への乗り入れを果たすこととなり、同時に227系顔の車両に乗車できる最西端が新山口駅から下関駅へと延長されることになります。
いかがでしたでしょうか?
今回は主にJR西日本で増備が続けられている、新型近郊型or通勤型車両の”227系顔”の車両を紹介しました。
JR西日本の電化路線、そして元JR西日本だった北陸新幹線並行在来線の3セク路線で、ここ10年の間で大量に製造された227系顔の車両たち。その範囲はとてつもなく広く、東端は新潟県の糸魚川駅、西端は2025年11月現在では山口県の新山口駅、そして、山口地区の新型車両が導入されると、西端は下関駅まで拡大されます。
さらに、東端の糸魚川駅から西端の新山口駅(下関駅)まで、”227系顔”のみで乗り継ぐことが可能となります。ルート例は以下の通り。
下関-(227系Kizashi※)-新山口・岩国-(227系0番台RedWing)-三原・糸崎-(227系500番台Urara)-上郡or播州赤穂・姫路-(225系100番台)-敦賀-(ハピライン521系)-福井-(ハピラインorIR521系)-金沢-(IRorあいの風521系)-富山-(あいの風521系1000番台)-泊・糸魚川
糸魚川〜下関間のルート↑Yahoo!Mapより引用
但し、完乗難易度は非常に高く、特に225系100番台の走るアーバンネットワーク区間と、521系3・4次車,1000番台の走る元北陸本線区間がとてもシビアです。
前者は223系1000,2000番台や225系0番台と、後者は521系2次車(223系ベース)と共通運用を組むため、乗りたい列車に乗れない事が頻繁に起こります。特に、湖西線や北陸本線、3セク区間では1時間に1本という区間もあるため、227系顔の車両が来ないと長時間待たないといけないという地獄が待っています。
また、特に乗車難易度が高いのはあいの風とやま鉄道とえちごトキめき鉄道の泊〜糸魚川間です。この区間は基本的にえちごトキめき鉄道のET122系気動車しか乗り入れず、あいの風521系が乗り入れるのは1日1往復のみです。そのため、1日1往復の列車に521系の2次車のみが入ることもよくあり、それを逃すと翌日まで待たないといけない事態に陥ります。
もし、長時間耐久を行わず確実に乗車したい、または青春18きっぷでJR区間だけ乗車したい場合は、以下のような227系顔乗り継ぎ旅もおすすめです。
下関-(227系Kizashi※)-新山口・岩国-(227系0番台RedWing)-三原・糸崎-(227系500番台Urara)-上郡or播州赤穂・姫路-(225系100番台)-大阪-(323系or225系5100番台)-天王寺-(225系5100番台)-和歌山-(227系1000番台)-新宮or奈良
新宮〜下関間のルート↑Yahoo!Mapより引用
奈良〜(桜井線・和歌山線・阪和線経由)〜下関間のルート↑Yahoo!Mapより引用
阪和線区間も223系0,2500番台や225系5000番台と共通運用を組んでいますが、比較的出会いやすく乗車難易度はそこまで高くはありません。和歌山〜紀伊田辺間は阪和線車両と227系1000番台の両方が走る区間ですが、運用が分かれているため、確実に乗車しやすくなっていますし、紀伊田辺以東や和歌山線・桜井線はほぼ確実に227系1000番台に乗車できるので、時間に限りのある方はこちらのルートがおすすめでしょう。
2026年の新型車両”Kizashi”の導入で更に広がる227系顔。既にJR西日本の象徴と化しつつある前面デザインは、今後も拡大を続けていくことでしょう。
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!