【準特急廃止!?】京王電鉄の2022年ダイヤ改正内容が衝撃的すぎたので解説!

鉄道
この記事は約11分で読めます。

皆様、こんにちは。U5swです!

今回は先日発表された、京王電鉄の2022年ダイヤ改正に関して説明します!

改正のトピックはこちら!

まず、今回の改正のトピックを以下にまとめます。

  • 京王ライナーの明大前停車を終日化(上り降車専用、下り乗車専用)
  • 平日20,21時台の橋本行き京王ライナーの所要時間短縮
  • 土休日の新宿行き京王ライナーと高尾山口行きMt.TAKAO号をお出かけに便利な時間帯に増発、多客時の臨時列車として運行されていたMt.TAKAO号を定期列車化へ
  • 特急、準特急を特急に1本化。特急の停車駅に笹塚、千歳烏山、京王片倉、山田、狭間を追加(現行の準特急停車駅と同様に)
  • 平日20,21時台の相模原線の調布駅での乗り換え待ちや利便性の改善
  • 平日朝ラッシュ時上りの運行本数を適正化し、定時性を向上へ
  • 土休日10~16時台の相模原線京王多摩センター〜橋本間の種別、本数の見直しへ
  • 土休日10~18時台の動物園線の等間隔運行化

今回はこのトピックの中から、色付き太字のトピック4つに関して深掘りしていきます。

京王ライナーの明大前終日停車化

京王ライナー

2021年10月30日より、土休日限定で京王ライナーMt.TAKAO号が明大前に停車するようになりました。これにより、新宿⇄多摩地区の移動に限らず、井の頭線との乗り換えによって、多摩地区から渋谷や下北沢といったお出かけスポットへのアクセスが強化されたり、休日に限れば渋谷方面から高尾山口方面へのアクセスが便利になったりと、ライナー列車の需要が大きくなりました。

そして、今回のダイヤ改正によって、平日にも停車するようになります。これにより、多摩地区⇄下北沢、渋谷方面の通勤需要を賄えるようになり、更なるライナー需要の拡大が見込まれます。

明大前の停車化によって、所要時間が気になるところですが、そもそも保安装置の関係により、ライナー運行開始当初から、明大前には必ず運転停車をする必要があるため、ダイヤにはそこまで影響がなく、むしろ明大前で乗降扱いできた方がライナー需要が高まるので、京王側からすると好都合ですね。

Mt.TAKAO号の定期運行化へ!

行楽期の土休日朝に、新宿→高尾山口をノンストップ運行し、高尾山への観光、ハイキング需要を担ってきたMt.TAKAO号。2021年10月30日に正式な種別となり、明大前に新たに停車するようになりましたが、この改正をもって定期運行化し、通年で運行されるようになります。

京王といえば都心と多摩地区の通勤需要が主体ですが、高尾山への観光需要も担っているため、1年を通して観光需要も取り戻して行くための策とも言えるでしょう。

また、休日夕方の高尾山口→新宿間の京王ライナーも定期運行化されます。

【1番のトピック!】特急が準特急の停車駅になり、準特急が廃止へ

停車駅が増加する特急。
20年運行されてきた準特急という種別が消滅。

今回の改正で1番衝撃を受けたトピックがこちら!このニュースを見た瞬間とてもビックリしました…

2001年に運行が開始され、日本で唯一京王のみ運行されている準特急」が、特急に統合される形でおよそ20年間の運行に一旦ピリオドを打つこととなりました。同時に、現行の特急が通過し、準特急が停車している笹塚、千歳烏山、京王片倉、山田、狭間の5駅に停車するようになります。つまり、形で言えば特急が廃止されることとなりますが…

ちなみに、2013年のダイヤ改正でも、特急の準特急化(分倍河原、北野停車化)が行われており、準特急化はおよそ9年ぶりとなります(当時は準特急を高尾線内各駅停車にすることで種別を存続させていましたが…)

次の項目において、準特急廃止理由を考えてみました。

準特急の廃止に至った理由を考察

笹塚、千歳烏山の両駅の乗降客数が他の特急停車駅とあまり大差がないため

2015年の準特急停車化によって、利用者が伸びた2駅。最近は新型感染症の影響で利用者は減りつつありますが、2020年度の乗降客数を比較(新宿と高尾線は除く)してみると、

  • 笹塚:60167人
  • 明大前:34326人(井の頭線乗り換え:119745人)
  • 千歳烏山:61848人
  • 調布:90372人
  • 府中:62986人
  • 分倍河原:69114人
  • 聖蹟桜ヶ丘:47521人
  • 高幡不動:37938人
  • 北野:16924人
  • 京王八王子:39358人
  • 京王稲田堤:40891人
  • 京王永山:33197人
  • 京王多摩センター:58026人
  • 南大沢:41288人
  • 橋本:65241人

また、京王線系統の乗降客数Top10を挙げてみると、

順位駅名乗降客数(2020年度)
1新宿506932
2調布90372
3分倍河原
(南武線乗換駅)
69114
4橋本
(JR線乗換駅)
65241
5府中62986
6千歳烏山61848
7笹塚60167
8京王多摩センター
(小田急線乗換駅)
58026
9仙川57764
10聖蹟桜ヶ丘47521
京王線系統の2020年度乗降客数Top10

これにより、笹塚も千歳烏山もTop10に入っていることがわかります。

もちろん、新宿と言った都心に近い駅ほど利用者が多くなるのは自然なことですが、近年では感染症の影響で長距離通勤からテレワークに移行される方もいるなど、通勤スタイルの変化もあるので、その変化に合わせる意味でも、特急の停車化は頷けるところがあります。

笹塚での京王線新宿発着列車と、京王新線および都営新宿線直通列車との接続を強化するため

まず、笹塚は京王線新宿の1つ隣駅であり、かつ京王線と京王新線との合流駅です。加えて、京王新線側では笹塚発着の列車も設定されており、都営新宿線の本八幡方面へ運行されています。

2015年の改正で準特急の停車駅になったことより、笹塚以西の準特急停車駅と新線の幡ヶ谷、初台の2駅、および都営新宿線方面へのアクセスが便利となり、対面接続を行うことで利便性が大幅に向上しました。

ここで、現在の日中時間帯のパターンダイヤ(20分サイクル)を元に、準特急との接続列車を見てみると、

  • 準特急<京王線新宿〜京王八王子(高尾山口)>⇄快速<本八幡〜橋本>
  • 準特急<京王線新宿〜橋本>⇄急行<本八幡〜笹塚>

の2パターンにおいて、笹塚での対面接続が行われており、利便性が確保されています。よって、1時間あたり6回で対面接続が可能となります。

しかし、本八幡⇄京王多摩センター(橋本)間を走る区間急行に関しては、笹塚での対面接続がない代わりに、笹塚を通過する特急の待避を行なっています。そのため、下り区間急行は下り特急に乗り継げず、対して上り特急は上り区間急行に乗り継げないという課題を抱えています。

そこで、特急を笹塚停車に1本化することで、笹塚での特急区間急行の対面接続が可能となり、対面接続の回数も1時間あたり9回に増え、更に利便性が増すこととなります。こうした面から、笹塚停車化に至ったと考えられます。

千歳烏山も笹塚同様の緩急接続の改善、および高架化時の2面4線化により、緩急接続が行うことを見越しての停車化?

千歳烏山も笹塚同様、2015年に準特急が停車するようになったことで、千歳烏山自体の利便性向上と、周辺駅である仙川、つつじヶ丘といった準特急通過駅の利便性も、乗り継ぎによって良化しました。

現在の日中時間帯パターンダイヤにおける準特急と下位種別の乗り継ぎは以下の通り。

  • 準特急京王八王子(高尾山口)行き→各停京王八王子(高尾山口)行き
  • 準特急橋本行き→快速橋本行き
  • 各停新宿行き→準特急新宿行き
  • 快速本八幡行き→準特急新宿行き

千歳烏山も1時間に6回、乗り継ぎできるようになっています。

しかし、現行の特急だと千歳烏山を通過してしまうため、千歳烏山で各停に接続できず(対して、各停から接続を受けられず)、新宿方面へのアクセスに時間を要してしまいます。

このことから、特急を全停車にすることによって、特急→各停、または各停→特急の乗り継ぎが可能となり、乗り継ぎの回数が9回に増えてアクセスが更に強化されます。

また、京王線では、笹塚〜仙川間において立体交差化事業が進められており、高架化と同時に、千歳烏山は従来の2面2線から2面4線のホームに拡充される予定となっています(明大前も同様)。

これにより、現在は八幡山で通過待ちを行なっている各停が、千歳烏山で優等種別と緩急接続できるようになり、対面接続での乗り継ぎによって仙川、つつじヶ丘のアクセスが便利になるだけでなく、下高井戸や桜上水、八幡山といった特急通過駅から調布、多摩地区へのアクセスがより便利になります。このような将来的な面も考慮して、特急の停車化に至っているとも考えられます。

高架化事業に関する内容は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

停車本数の増加によって、混雑の分散化を図るため

笹塚も千歳烏山も、2015年の準特急の停車により、感染症拡大前は年々利用者が増加傾向にありました。利用者が増えるとなると、その分列車あたりの混雑率も増加することとなります。混雑が激しくなると、車内環境は居心地が悪くなりますし、遅延の増加にも繋がります。加えて最近では、密状態を生み出して感染拡大へのリスクにも繋がってしまいます。

そこで、停車本数を増やして混雑を分散化することで、遅延拡大防止や感染拡大防止へと繋げることができます。

日中時間帯のパターンダイヤより、例として、明大前⇄千歳烏山間の先着列車を出すと、現行ダイヤでは、1時間あたり準特急6本、区間急行3本の9本が先着列車として運行されています。これが、特急が停車化することによって、特急9本、区間急行3本の12本が先着列車として運行できるので、乗車チャンスが多くなって混雑の分散化に繋がります。

また、高尾線に関しては、閑散区間のため、混雑とはまた別の話にはなりますが、京王片倉、山田、狭間の3駅にも停車するようになります。

この区間は平日の特に利用者の少ない時間帯に特急が乗り入れており、3駅に関しては1時間に3本しか停車しない駅となっていました。しかし、特急の利用者も少なく、変に通過させるよりは停車して利便性を高める方が良いという判断に至ったものと思われます。3駅は土休日のように、1時間に6本の停車本数が確保されます。

ところで、高尾線で通過運転を行う種別は現行の特急以外に、Mt.TAKAO号、京王ライナー、急行がありますが、特急の下位種別である急行は改正後も通過運転を行うのでしょうか…? 仮に通過運転となると、急行が特急よりも停車駅が少ないという逆転現象が発生してしまいます。プレスリリースには急行の停車駅変更に関して言及されていないことから、逆転現象は発生するものと思われます。(個人的に急行も高尾線内各駅停車にしてもいいと思うのですが…)

京王ライナー明大前停車化もあり、ライナー誘導を促進させるため(これが1番の狙い?)

京王での最速達種別である「京王ライナー」は、特急の停車駅である明大前や調布、京王稲田堤を通過し、都心と多摩地区を結ぶ着席保証列車として運行されてきましたが、先述の通り、明大前が完全停車化することから、特急との停車駅との差が縮まることとなります。

このことから、仮に特急の停車駅をそのままにすると、停車駅に差異があまりないため、利用者はライナー券を追加購入しないといけない「京王ライナー」より、混雑度が高くても乗車券のみで速く移動できる「特急」に流れてしまう傾向にあります。そうなってしまうと、ライナーの乗車率は良化せず、収益性の面で京王はデメリットを被ることとなってしまいます。

よって、特急を準特急の停車駅にすることで、京王ライナーとの停車駅の差が、笹塚、千歳烏山、調布、京王稲田堤と多くなります。停車駅が増加すると、所要時間の増加や利用者の増加が発生しますし、多摩地区の利用者からすると、「ちょっと課金してでも速く快適にライナーを利用したい」という、利用促進に向けた心理的効果も含めての戦略とも取れます。

こうした、「速く目的地に行きたいのなら少しでも課金して座席指定列車に乗れ!」という戦略は京王に限らず実施している傾向にあります。

最近の改正で言えば東海道線がその例であり、湘南ライナーや通勤快速を特急湘南号や快速アクティーに置き換えることで、より客単価の高くなった特急湘南号の利用を促進させる動きをとっています。

感染症拡大による鉄道会社の経営が厳しいという状況が続いているため、今後このような傾向は各鉄道会社で広がっていくものと思われます。

以上、特急の準特急化に関する理由をいくつか考えてみました。これにより、特に明大前〜調布間を通過利用する方にとってはある意味「改悪」とも捉えられる内容ではありますが、

土休日日中の相模原線の運行本数見直し

京王多摩センターで種別変更を行う準特急(特急)が土休日日中時間帯にも拡大。その代表的な動画がこちら。

土休日の相模原線の末端部、京王多摩センター〜橋本間の運行本数ですが、日中時間帯(10~16時台)の本数が見直されることとなります。

最近の改正では平日のみ本数の見直しが行われ、準特急(改正後は特急)が京王多摩センターで種別変更を行い、この区間は各駅停車として京王堀之内と多摩境に追加停車する形で運行されるようになっています。同時に、区間急行を京王多摩センター止まりにしています。

土休日は南大沢にアウトレットモール、橋本にショッピングモールがあることから、需要の高さを見越して準特急は橋本まで通過運転、区間急行も橋本まで運行されていましたが、この改正で平日と同様の形をとる模様です。

まとめ:2015年以来の一大変革へ

いかがでしたでしょうか?

今回は京王の2022年ダイヤ改正について説明しました。

準特急廃止、停車駅変更と、2015年以来の一大変革が起こることとなりました。この変革によって京王がどのように変わっていくのか注目していきましょう!

今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました