皆様、こんにちは。U5swです。
今回は、2024年3月16日に北陸新幹線金沢〜敦賀間が開業することで、従来の北陸特急はどうなるのかをまとめていきます。
北陸新幹線の概要に関しては、こちらの記事を参照願います。
2015年に北陸新幹線が金沢まで延伸開業してからは、北陸地区の在来線特急は以下の列車が運行されています。
かつては金沢以東にも在来線特急が運行されていましたが、北陸新幹線開業後は速達輸送の役割が新幹線に完全移管、北陸本線の金沢〜直江津間が第3セクターに移管されたため、在来線特急の運行は完全になくなり、北陸本線の金沢以西、および七尾線のみ在来線特急が運行されています。
では、2024年3月16日の北陸新幹線金沢〜敦賀間が延伸開業した場合、上記の在来線特急はどうなるのでしょうか?
実際、金沢延伸後の在来線特急は、金沢以東が全廃されているため、同じようなことになりそうですが…
その結果は、以下のようになります。
赤字が運行区間短縮および減便される変更点、青字が増便される変更点です。
まず、北陸特急の2大看板であるサンダーバード号としらさぎ号は、金沢〜敦賀間の新幹線開業による速達輸送の完全移管、および北陸本線区間の第3セクター転換により、どちらも敦賀発着に運行区間が短縮されることとなります。また、しらさぎ号に関しては、米原発着の1往復が追加で廃止されることとなります。
次に、ダイナスター号とおはようエクスプレス号、おやすみエクスプレス号に関しては、全ての区間が北陸新幹線の新規開業区間と被るため、完全に廃止がなされます。
最後に、七尾線特急能登かがり火号に関しては、新幹線の延伸開業に直接的に関わらず、七尾線は引き続きJR西日本の路線として存続するため、引き続き運行されます。加えて、現行の4往復から5往復に増便がなされますが、これは、サンダーバード号の和倉温泉発着列車1往復が廃止されることから、金沢〜和倉温泉間の区間だけは存続させる必要があるので、能登かがり火号に置き換わった1往復分が増便分となるためです。同じく臨時運転の観光特急「花嫁のれん号」も引き続き運行されます。
ここからは、個人的に気になる点について述べていこうと思います。
まず、敦賀短縮と共に廃止されるしらさぎ号の1往復分ですが、この対象は、米原発着で、早朝に運行される「しらさぎ52号」と、深夜に運行される「しらさぎ65号」が廃止対象分となる模様です。廃止理由としては、早朝・深夜運行であり、北陸新幹線の運行時間帯に運行されず、北陸新幹線と接続できない列車であるため、運行するメリットがなく廃止がなされるからです。
まず、しらさぎ52号としらさぎ65号の各駅発着時刻は以下の通り。
ご覧の通り、しらさぎ52号は5時台からの運行、しらさぎ65号は日付を跨いでの運行となっています。日本の新幹線の運行の原則として“6:00~23:59の間でしか列車を運行できない”制限が設けられている中で、仮に敦賀乗り換えを設定したとしても、金沢〜敦賀間の運行を6:00~23:59の間に収めることができなくなっています。
ま た、米原〜敦賀間の運行時刻を、北陸新幹線の運行時刻に合わせられない理由として、
“しらさぎ号が、米原駅で東海道新幹線ひかり号と接続を行う列車であること”
が挙げられます。
元々、東海道新幹線の東京・新横浜・名古屋方面と北陸本線の福井方面のアクセスを結ぶ上で、しらさぎ号は重要な役割を担っており、北陸新幹線敦賀延伸後も引き続き北陸方面と東海道新幹線のアクセス特急として役割を担い続けることが決まっているでしょう。
実際、しらさぎ52号としらさぎ65号は、東海道新幹線の以下の列車と接続を行なっています。
このように、名古屋、静岡県の2大都市、首都圏と北陸地方を結ぶ上で、早朝深夜便を設定することで滞在時間の長期化を実現できます。加えて、反対側の京都、大阪側の関西圏の滞在時間も、サンダーバード号の始発終電の間より長く滞在できるようになっています。
しかし、北陸新幹線の敦賀開業後は、この2本の特急の運行がなくなることとなります。そうなると、名古屋・静岡方面、および京都・大阪方面の滞在時間が短くなってしまいます(首都圏方面に関しては北陸新幹線の開業でそこまで影響はないと思われる)。
これにより、新幹線延伸後のしらさぎ号の米原接続の始発終電は、現行のままだと、
このように、始発は約40分~1時間繰り下がり、終電は約1時間ほど繰り上がるという形になってしまいます。これにより、敦賀・福井・金沢方面から名古屋・静岡方面の滞在時間が約2時間ほど短くなってしまいます。
一方で、京都・大阪方面に関しては、現行のサンダーバード号で直接結ぶルートが始発終電の役割を担うこととなります。よって、始発は約10~20分繰り下がり、終電は約1時間ほど繰り上がります。
しらさぎ号と東海道新幹線の乗り継ぎ利用をされている方で、どれくらいの割合名古屋、静岡方面に向かっているかは不明ですが(首都圏がメインだとは思うが)、今のところ北陸本線敦賀〜米原間でしらさぎ52号および65号の代替列車の設定は明らかになっておらず(ない可能性が高い)、第3セクターに転換される現・北陸本線の金沢〜敦賀間の代替列車も設定されるかどうかはわかりません。
いずれにせよ、早朝・深夜のしらさぎ号の廃止は、特に名古屋・静岡方面への利用者が大きな影響を受けることとなるでしょう。
こちらは以前の北陸特急関連の記事でも述べましたが、新幹線の延伸開業で在来線特急の運行区間短縮や廃止が進むということは、“現在走っている特急型車両にも動きが出る”ことが確定となります。
2023年3月改正時点での北陸特急で使用されている車両は以下の通り。
以上の車両が活躍しています。
前回の記事の車両動向予想としては、
と予想していました。この予想に関しては、現在でもほぼ変わっていません。
681系は登場から30年前後経っているベテラン車両であり、引退してもおかしくない時期まで来ており、同時に体質改善工事を施行する時期でもあることから、工事のためにコストを割かず引退させるのに丁度良いタイミングでもあります。但し、既にリニューアル工事が完了しているV編成の3本に関しては、残る可能性もあります。
一方、683系に関しては引き続き残ると考えていますが、仮に681系のほとんどが引退した場合、しらさぎ用の編成がほとんどいなくなってしまうことと、しらさぎ号は北陸本線内は最長9両編成で走るのに対し、東海道本線内は6両編成でしか入線ができない(増結用の3両は米原駅で増解結を行う)ため、サンダーバード用の6両編成と3両編成の一部がしらさぎ用として転属することとなるでしょう。また、七尾線特急能登かがり火号も引き続き運行されることから、そちらにも6両編成と3両編成の一部車両が転用されると見ています。
中には、一部の683系を289系に改造(交流機器を外し直流専用車とする)の上、南紀特急くろしお号用の車両に転用させ、近年故障と経年劣化で問題となっている283系”オーシャンアロー編成”を置き換える(もしくは、中国地方の特急やくも号に転用?)のではないかと言われていますが、681系がどれだけ運用離脱するのかによって車両の確保数も大きく変わってくるため、現時点では動向が読めません。
いかがでしたでしょうか?
今回は北陸新幹線開業に伴い、従来の北陸の在来線特急はどうなるかについて説明していきました。
改めて要点をおさらいしておくと、
このようになっています。
かつて当たり前のように北陸路を駆け抜けていた北陸特急ですが、遂に北陸新幹線への連絡特急として、細々と活躍を続けていく形へとなってしまいます。当然、新幹線開業による効果は大きいため、世代交代は致し方ないですが、当たり前のように特急列車が行き交っていた光景がもうすぐ見納めとなってしまうのは、少し悲しいですね…
ダイヤ改正まで残り半年近くとなりました。北陸特急の乗り納め、見納めは今のうちに行なっておきましょう!
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!
今回の記事作成における参考文献および過去の記事はこちら↓
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230830_00_press_hokurikushinkansen.pdf