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【廃車、譲渡、増結…】東急5050系のこれまでとこれからを解説!(2022.3.25追記)

皆様、こんにちは。U5swです。

今回は、東急東横線の主力車両として活躍している、5050系のこれまでとこれからに関して説明していきます!

東急5050系とは?

8両編成の5050系。

東急5050系は、2004年に登場した、東急東横線の主力車両です。2002年に登場した、田園都市線の5000系の東横線ver.として、車両性能の向上および省エネ化およびバリアフリー化を図るため、既存の8000系や8590系などを置き換え用として導入されました。

これらベテラン車両の置き換えから導入がスタートした後は、副都心線、西武池袋線、東武東上線との直通運転対応と東横線内での10両編成の運行開始、更には来たる相鉄線との直通運転対応に向けて、X020系シリーズがデビューした今でも、車両の増備が続けられている車両です。

2022年現在、5050系は以下の編成数が在籍しています。

  • 5050系(8両編成):25本(5151F~5154F,5157F~5172F,5174F~5178F)
  • 5050系4000番台(10両編成):11本(4101F~4111F)

また、副都心線直通開始に伴い、東横線の車両不足および9000系の置き換え、田園都市線5000系の6ドア車追加組み込みによる編成組み替え等など様々な事情から、当初田園都市線で使用する予定だった5000系4編成(5118F,5119F,5121F,5122F)が、8両編成で5050系と共に在籍しています。

5050系の特徴的な車両

4010F: Shibuya Hikarie号

5050系4000番台4110F、「Shibuya Hikarie号」

2013年に渋谷駅の複合施設、「Shibuya Hikarie」の開業に合わせて登場した特別ラッピング車両です。黄色を基調とした派手なラッピングが特徴であり、東横線を中心に5社直通運転で幅広く営業運転が行われています。また、従来の5050系よりも車体幅が若干狭く、田園都市線といった他線区でのイベント列車に用いられるような設計となっています。

1編成かつ運用が幅広いので、出会うとラッキーだと感じる車両です。

内装も従来車よりも装飾が多めで、特別車であることを示している。画像は冬シーズンを特徴づける装飾。

5176Fのサハ5576: sustina試験車両

sustina試験車両のサハ5576。

2013年に増備された5176Fの5号車、サハ5576に組み込まれている車両は、総合車両製作所で製造された次世代のステンレス車両、「sustina」の試験車両となっています。

他の車両との違いとして、車体側面部の構造に違いがあります。雨どいを無くし、従来車よりも側面の面積が大きくスッキリとした側面となっているのが確認できます。

試験結果を踏まえ、以後「sustina」車両は、新型車両で多く採用されることとなります。採用形式の代表例は以下の通り。

  • 東急2020系、3020系、6020系
  • 京王5000系
  • JR東日本E235系
  • JR東日本EV-E301系
  • JR東日本HB-E210系
  • JR東日本E129系
sastina車体を本格採用した、東急目黒線の3020系。

5177F,5178F: 第3世代の日立IGBT-VVVF、スノープラウ、ヘッドレスト(5177Fのみ)

5000系シリーズにおける、編成単位での最新型系列は5050系の5177Fと5178Fの2編成となっています。この2編成は後述する衝突事故の代替編成として新製されました。

衝突事故の代替新造車として活躍している5177F。

2017年にデビューした5177Fは、従来の5050系と仕様が異なり、内装は5000系の6ドア置き換え車に準じたものとなっています。特徴として、

  • 緑色の座席
  • 木目調の床材
  • 座席端のヘッドレスト

が採用されています。なお、2019年にデビューの5178Fに関しては、5177Fとほぼ同様の仕様となっていますが、ヘッドレストに関しては設置が省略されています(これは後の増結車両にも反映されている)。

5177F限定で設置されているヘッドレスト。なお、材質は結構硬い。
5050系の最新型編成5178F。スノープラウ搭載により、スカート部が強化されたものとなっている。

また、VVVFインバータの制御装置は日立製のままですが、従来車より異なる第3世代の仕様となっています(第1世代は8両編成のほとんど、第2世代は5176Fと10両編成<一部車両除く>に採用)。さらに、外観では、前面のスカートが耐雪対策も兼ねて従来よりもより強化された「スノープラウ」が設置されています。

8両編成の車番に空き番号が存在する理由

ここまで、5050系の概要の説明を行いましたが、ここで気になるのが、車番に空き番号が存在することです。本来ならば、5155F,5156F,5173Fが存在するはずですが、この3編成の行方はどうなってしまったのでしょうか?

理由に関しては、以下の2つの出来事があります。

5155F,5156F: 衝突に伴う廃車と譲渡

2014年2月、東横線の元住吉駅において、駅に到着しようとしていた後方列車が雪によるスリップからブレーキが効かないトラブルが発生し、駅停車中の前方列車に正面衝突してしまう、大変痛ましい事故が起こってしまいました。

当該車両は、東横線の5155Fと、横浜高速鉄道Y500系のY516Fの2編成であり、両者とも衝突に伴う損傷が激しく、廃車解体される事態となってしまいました。

そこで、東急は、5156FをY517Fに改番、編入の上、横浜高速鉄道に譲渡する措置をとり、廃車および譲渡した2編成分の代替として、先述した2017年に5177Fが、2019年に5178Fが新製され、営業運行に就いています。

横浜高速鉄道Y517F。元は東急5050系の5156Fであり、フルカラーLEDの種別、行き先表示器が特徴。

以上より、5155Fと5156Fは現在空き番号となっています。

5173F: 4000番台の予備車確保を目的とした10両編成化

2019年に、先述した5178F(5118Fのサハ5518)と共に、新造中間車2両(デハ4611-サハ4711)の新製が話題となりました。中間車2両の新造から、従来の8両編成の車両の1編成に、中間車を組み込んで10両編成化されることが分かり、その対象として選出されたのが、5173Fでした。

2020年に5173Fから4111Fに改番の上、営業運行に就いています。

この10両編成化に関しては、東急10両車の予備車確保が大きな要因と考えられます。

4111F登場前まで、5050系4000番台は全10編成在籍しており、東横線、みなとみらい線の運用を始め、副都心線、西武池袋線、東武東上線まで幅広く運行に就いています。

ここで、2019年ダイヤ改正時の東急10両車の運用数ですが、平日は10運用(51K~60K)、土休日は7運用(51K~57K)あり、その内、平日は57Kor58Kor59K→60Kを1編成で賄えることから、平日は9編成、土休日は7編成必要となります。そのため、平日に関しては予備車が1編成とカツカツであり、ギリギリの運用を強いられていました。

加えて、来たる2023年3月に開業予定の相鉄・東急直通線開業に伴う、5050系4000番台の相鉄直通改造工事が必要ということから、更なる予備車確保が必要な状況となりました。

そこで、5173Fを4111Fにし、10両編成化して、10両東急車の運用を回せるようにしました。

この4111Fは製造年数の差が10年離れており、新造中間車に関しては、外装は帯の太さが従来車より細い点、内装はX020系ベースになっている点など、異端な編成となっています。

2020年に新たに導入された4111Fの新造中間車、サハ4711。
新造中間車と従来車の違い。新造中間車は座席が緑色なのに対し、従来車は座席がピンク色である。
車内の床面にも違いが。新造中間車は木目調となっているのに対し、従来車はグレー色の床である。

以上のことから、現在、5173Fが空き番号となっています。

4111Fに次ぐ8両編成の10両編成化が進む予定

相鉄直通対応工事の予備車確保に伴い10両化した4111Fですが、今後、4111Fに続いて8両編成の5050系に中間車2両を組み込み、10両編成化する車両が出てくる予定です。

10両編成化が進む理由は、相鉄・東急直通線開業による、相鉄線直通分の東急10両車が必要なためです。東横線直通分の車両は10両編成で統一される見込みであることと、現在東急10両車が運用を回すために最低9編成が必要なことから、11編成のみでは運用が回せなくなってしまいます。

よって、10両車全編成はもちろん、一部の8両車も相鉄直通対応工事を受ける必要があります。

ここで、昨年に8両編成の5169Fが、長津田検車区で相鉄直通対応工事を施工して出場したことが明らかになりました。相鉄直通対応工事施工車の特徴として、運転席と車内を仕切る窓が埋められていることです。埋められた窓の部分には相鉄直通対応機器が備わっているため、未施工の車両と判別が容易です。

相鉄直通対応工事、10両編成化の対象編成となった5169F。
相鉄直通対応工事施工後の5169F。運転室右側の窓が埋められていることがわかる、

今回施工された5169Fは、4000番台の施工車同様窓が埋められていることが確認できたため、今後中間車を組み込んで10両化、4000番台に改番される可能性が濃厚と言えます。同様に、5167Fに関しても直通対応工事が施工されており、10両化の対象となるでしょう。

長津田検車区で相鉄直通対応工事が施工されている4104F(右から2番目)と5167F(右から1番目)。

問題は何編成が10両化の対象になるのかですが、東急によると、相鉄直通に向けた増備中間車は全52両であり、その内、

  • 目黒線の3000系および5080系の6両から8両への増結対応に向けた中間車が2両分×23編成(3000系13編成、5080系10編成)=46両分
  • 大井町線の6000系の内、座席指定車両Qシート用に置き換えられた中間車2両分(元デハ6301,元デハ6302→いずれも5080系に組み込む予定)

を除くと、52-(2×3)+2=8両分の中間車が残ります。

この8両分が5050系の8両編成を10両編成に増結する分と考え、1編成に2両ずつそれぞれ組み込まれるとすると、4編成が10両化される計算となります。

ここまで、5167Fと5169Fが対象ですが、他の2編成はどの編成が割り当てられるのでしょうか?

ここで注目する点は、「相鉄直通に対応したデジタル列車無線のアンテナ」の有無です。相鉄に直通するためには、直通に対応したアンテナが設置されている必要があり、付いていない車両は相鉄線に入ることができません。

実際、5167Fと5169Fは相鉄直通に対応したデジタル無線工事を行なっているようです。また、この2編成以外の5050系においても、ほとんどがデジタル無線工事を行いましたが、”相鉄直通に非対応のデジタル無線“が搭載されているようです。

そして、デジタル無線工事が未施工の5050系は、”5166Fと5168Fの2編成のみで、現在5168Fが長津田検車区に入場しているということから、この2編成が対象と言えるでしょう。以上より、

  • 5166F→4112F
  • 5167F→4113F
  • 5168F→4114F
  • 5169F→4115F

と10両化および改番(改番の組み合わせはあくまでも予想)が行われ、5050系4000番台は全15編成となります。15編成あれば、従来の5社直通分に加え、相鉄直通分の運用にも余裕を持たせることが可能となるでしょう。

今後相鉄直通対応工事が施工される予定?の5166F(手前)。

※5050系の増結関連に関しては、「鉄道ファンの待合室」さんが紹介されている記事も併せてご覧ください。(今回の記事執筆で一部参考とさせていただいております)

【4112F〜4115F?】東急電鉄の2022〜2025年度の車両投入計画考察
東急電鉄では、2022年3月の運賃改定を申請しており、これに関連して示されている資料の投資計画から、既存車両の増結・向こう5ヵ年の新製車両投入の概要が示されています。 このなかで、新横浜線関連の増結の両数・今後の増備数が触れられており、ファ

【2022.3.25追記】5166Fが直通対応工事へ!

2022年3月16日から、東横線の5166Fが東急の長津田検車区から、逗子にあるJ-TREC横浜工場へ甲種輸送されました。これは、J-TREC内で相鉄直通対応工事を施行するための輸送です。

これまでJ-TRECにおける改造工事は、東急3000系や東急5080系といった「目黒線系統」の車両が対象となっており、東急5050系は長津田検車区や元住吉検車区で改造工事を行っていました。

しかし、目黒線系統の改造工事がほぼ完了していることもあり、今回例外的?に5050系の車両がJ-TRECで改造されることとなりました。

今回の改造における注目ポイントとして、5166F~5169F改め4112F~4115Fの新造中間車と共に出場するのかが気になります。組み込んで出場するのか?別々に分けて出場するのか?今後の動向に注目です。

甲種輸送のシーンはこちらから!

一方で、東急8両車の運用はどうなる?

編成数が運用数を下回ってしまう?

ここまで、5050系8両車の10両化に関して述べていきましたが、4編成が10両化されるとなると、同時に8両車は4編成減ることとなります。

東横線は各駅停車のみが停車する駅は、8両編成しか停車することができませんので、8両車の編成数確保は必要不可欠です。

ここで、2022年現在、東横線含む5社直通関連の8両車の編成数は以下の通り。

  • 東急5050系→25編成
  • 東急5000系→4編成
  • 横浜高速鉄道Y500系→6編成
  • 東京メトロ7000系&17000系(現在置き換え進行中)→15編成

ここに、10両化する4編成を抜くと、5050系8両車は全21編成となります。

また、東急&横浜高速の8両車運用(K運用)と、東京メトロの8両車運用(S運用)の2021年改正時の運用数は、

  • K運用→平日35運用(01K~35K)、土休日30運用(01K~30K)
  • S運用→平日、土休日共に12運用(01S~05S,07S,09S,11S,13S,15S,17S,19S)

この内、K運用において、

  • 平日29K,30K,31K,32Kは午前中で運用が終わる
  • 平日33K,34K,35Kは昼間以降から運用が始まる

よって、平日の最低必要編成数は32編成、

  • 土休日30Kは深夜の渋谷→元町・中華街のみの運用

よって、土休日の最低必要編成は29編成となります。

現在のK運用の対象車両は全35編成なので、これが31編成に減るとなると、平日は運用が回せなくなってしまいます

これでは、メトロ車が常にK運用の代走につかざるを得ないなど、運用に大きく影響が出てしまいます。果たして今後はどうなるのでしょうか?

次の改正で運用数が減る見込み?

しかし、来たる2022年のダイヤ改正で、運用にテコ入れが生じます。

それが「日中時間帯の菊名ローカルの運転取りやめ」です。

かつて、日比谷線の直通列車の名残を継承してきた菊名ローカルですが、利用者の減少に伴い、日中時間帯の運行がなくなることとなりました。これにより、8両車の運用に余裕が生まれるため、車両不足問題を最低限解決できるかと思われます。

特に、菊名ローカルはK運用が大半を占めるため、改正後の東急車(横浜高速車)の予備車確保は効果があると言えるでしょう。

【2022.3.25追記】 3月12日の改正後の運用の変化を振り返る

2022年3月12日にダイヤ改正が行われ、運用の変化が明らかとなりました。

平日のK運用に関しては、日中の菊名ローカル運用がなくなったせいか、01K~36Kの36運用となり、改正前より1運用増えています。ただし、

  • 平日01K~27K→終日運用
  • 平日28K,29K,30K,31K,32K→午前中で終わる運用
  • 平日33K,34K,35K,36K→日中から午後に始まる運用

よって、平日の最低必要編成数は32編成となり、改正前とは変わらない結果となりました。

一方、土休日は01K~32Kの32運用となり、そのうち、

  • 土休日01K~07K,09K~12K,14K~22K→終日運用
  • 土休日08K,13K,23K→午前中で終わる運用
  • 土休日29K,30K,31K,32K→午後に始まる運用

となり、土休日の最低必要編成数は24編成です。改正前に比べて最低必要編成数は5編成減りました。

なお、S運用に関しては、そこまで大きく変化はありませんでした。

2023年3月に相鉄・東急直通線の開業を控えていますが、平日の最低必要編成数が32編成であることから、5166F~5169Fの10両編成化はギリギリになるものと思われます。来年の改正でどうなるのかにも注目ですね。

西武直通の運行区間短縮で10両車にも余裕が生まれる?8両車運用に余裕も?

さらに、同改正によって、西武池袋線の直通運転にも以下のような変化が生じます。

  • 西武直通のFライナーの飯能乗り入れが、土休日午前を除き廃止へ
  • 有楽町線〜西武線直通列車が日中時間帯毎時2本減便

よって、8両車に限らず、10両車(東急車、メトロ車、西武車)の運用に余裕が生まれてきます。

この10両車の運用に余裕が生まれることで、8両車の運用にも僅かながら影響を与えると考えています。

それが「東横急行の10両車運用の増加」です。

日中時間帯は主に8両車が使用され、和光市〜元町・中華街間の運用に就く東横急行(副都心線内各駅停車)ですが、8両車運用を一部10両車運用に置き換えることで、8両車の運用に更に余裕を作ることができるのではないかと思います。

ダイヤ改正関連の内容は、以下で詳しく説明しているので、こちらも併せてご覧ください!

8両編成(5179F)の新造は考えづらい?

X020系シリーズが台頭しつつも、2019年に5178Fが新造されたり、増結用の中間車が新造されるなど、未だ増備が続く5050系。このことから、8両車が減少する分を補うため、新たに8両1編成を新造するのではないかと考える方もいるでしょう。

しかし、現在および今後の利用状況等を踏まえた際に、新たに編成を新造する可能性は低いと言っていいと思います。

東急の現状を見ると、田園都市線では、8500系を完全に置き換えるために、2020系の導入が進んでいますが、残り3編成あるにも関わらず、2020系の新規導入を1編成で一区切りにしようという計画となっています。これは、昨年のダイヤ改正で田園都市線が大きく見直され、運用数が2つ削減されたことによって、車両数に余裕が出たことと、近年の経営状況を省みて、必要な編成数のみ増備するのが最適解とされたためでしょう。

このことからも、今回東横線含む5社直通系統も、改正で見直しが行われることを踏まえると、新たに1編成製造する可能性は現実的ではないと言えます。仮に8両車の稼働がピンチの際は、メトロ車を代走で使うこともできますし、4000番台を8両化して暫定的に車両不足対応に充てることも可能なので、現状では増備ナシと考えていいでしょう。

まとめ:今後も東横線の主力として活躍を続けていく!

いかがでしたでしょうか?

今回は東急東横線の5050系に関するこれまでとこれからに関して説明しました。

直通運転に伴う幅広い運用から、将来的な新たな直通運転、および増結と、デビューからもうすぐ18年経つ今でも話題の尽きない5050系。これからも注目していきたいですね!

今回はここまでとなります。最後までご覧くださいましてありがとうございました!

U5sw