【ダイヤ改正2022年】5直系統の改正内容と関連事項について解説!

鉄道
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皆様、こんにちは。U5swです。

ここ数日、2022年3月のダイヤ改正関連のニュースが話題に挙がっています。

今回は、東急東横線、みなとみらい線、東京メトロ有楽町線・副都心線、西武池袋線、東武東上線の直通列車で構成される「5直系統」の改正内容に関して説明していきます!

改正のトピックは以下の通り。

  • <東急東横線>日中時間帯の「菊名ローカル」の運行を取りやめ
  • <東急東横線>日中時間帯の上りFライナー特急の所要時間を1分短縮(28分→27分)
  • <西武池袋線、Fライナー関連>西武直通のFライナーのうち、平日の全便と土休日の一部便を、飯能発着から小手指発着へ縮小
  • <西武池袋線、有楽町線>西武直通のうち、日中時間帯の石神井公園〜有楽町線池袋間で毎時2本運転取りやめ、有楽町線池袋〜新木場間の区間列車が誕生へ

日中時間帯の「菊名ローカル」の運行を取りやめ

東横線で日中時間帯に毎時2本運行されている菊名発着の各駅停車、通称「菊名ローカル」が、改正によって運行を取りやめることとなりました。これにより、東横線全線において、各駅停車の本数が1時間あたり8本に統一されることとなります。

菊名ローカル運用に就く菊名行き(右)と池袋行き(左)。

取りやめの理由に関しては、日中時間帯の需要が少ないことが挙げられます。特に菊名ローカルに関しては、自由が丘と菊名で優等列車の待避を行わず、元住吉で特急の通過待ちを行うのみであり、優等列車の利用者から菊名ローカルへの乗り継ぎ(あるいはその逆)が少ないためだと思います。あとは新型感染症による利用減がメインと思われます。

菊名ローカルの原点は「日比谷線直通列車」

ここで、菊名ローカルが運行されている原点としては、2013年3月まで相互直通運転を行っていた、東京メトロ日比谷線からの直通列車が元となっています。菊名から中目黒を介し、北千住まで運行されており、当時は東京メトロ03系、あるいは東急1000系(いずれも東横線、日比谷線から撤退済み)が使用されていました。

かつては東急東横線にも乗り入れていた、元東京メトロ03系。

しかし、2013年3月に、東急東横線と東京メトロ副都心線が相互直通運転を開始するにあたり、みなとみらい線、西武池袋線、東武東上線を含めた「5社直通運転」という首都圏の大規模ネットワークを構築するにあたり、日比谷線が東武アーバンパークラインとも相互直通運転を行っていることによる遅延拡大のリスク軽減、および当時の日比谷線の車両が、18m3ドア車という、東横線を走る列車の標準規格20m4ドア車とは異なる車両で運行されており(現在は日比谷線でも20m4ドア車に統一されている)、ホームドア設置の妨げになっていたことなどから、東横線と日比谷線の相互直通運転が終了しました。

このことから、東横線は、直通列車分の各駅停車をそのまま廃止すると利便性が損なわれることとなるので、渋谷発着に振り返られ、その後、副都心線の新宿三丁目〜池袋間増発に伴い、系統変更が行われ、菊名〜池袋間の運行に改められて、現在に至ります。

直通列車の名残を今日まで残してきた菊名ローカルですが、この改正で日中時間帯の運行がなくなってしまうこととなりました。

なお、副都心線側において、減便というニュースが挙げられていない

菊名ローカルが運転取りやめとなることは、同時に渋谷〜池袋間も運行する列車も削減になるのでは?という考えになるのが普通(?)ですが、東京メトロのプレスリリースでは、現時点で減便に関するニュースが挙げられていません。

このことから、副都心線では減便は行われず、代わりに、日中時間帯に毎時4本運行されている、元町・中華街〜渋谷間を走る各駅停車のうち、毎時2本を池袋まで延長運行するのではないかと思われます。通常減便や増便が行われる際は必ずプレスリリースで発表されますので、特に言及がないということはこの説が濃厚と思われます。

なお、仮にそうなった場合は、渋谷でFライナー特急(急行)と各駅停車の緩急接続が復活することとなります。現行の渋谷発着の各駅停車は、渋谷到着後の1分後にFライナーが到着、およびFライナーの渋谷発車後の1分後に各駅停車が発車するダイヤとなっているため、両方向において緩急接続が取られることは確かでしょう。

日中時間帯の上りFライナー特急の所要時間を1分短縮

Fライナー特急の運用に就く東急5050系「Shibuya Hikarie号」

東横線関連では、上り(渋谷方面)のFライナー特急の所要時間(横浜→渋谷間)が28分から27分に短縮されることとなりました。

おそらく、菊名ローカルの削減によって、各駅停車の運行間隔に変化が生じることとなり、微調整を行なった結果、特急の所要時間短縮につながったのかなと考えられます。また、元町・中華街駅での折り返し時間(日中時間帯は2分)に少しでも余裕を持たせ、遅延リスクの大きい5直系統において、影響をなるべく小さくするという狙いもあるでしょう。

菊名駅の上りホームの発着番線が再度入れ替わる可能性も?

また、所要時間短縮の要因として、菊名駅上りホームの発着番線も関係していると考えています。

菊名駅の上りホームは現在、5番線が待避線と菊名始発の列車発着用、6番線が本線という役割を担っており、2021年のダイヤ改正前までは、5番線に菊名ローカル含めた各駅停車、6番線に特急通勤特急急行の優等列車が発着していました。

2021年ダイヤ改正前は、5番線に各駅停車、6番線に優等列車が発着していた。

しかし、2021年のダイヤ改正後は、5番線に優等列車菊名ローカル、6番線に元町・中華街始発の各駅停車が発着するよう変更されました。

2021年ダイヤ改正後は、5番線に優等列車、6番線に各駅停車が発着している。

これは、菊名ローカルの折り返しが関わっており、菊名駅の引き上げ線が5番線にしかつながっておらず、また、菊名ローカルが元町・中華街始発の各駅停車発車後すぐに入線するダイヤとなっており、5番線に各駅停車を入れてしまうと、菊名ローカルがスムーズに引き上げ線から5番線に入線できないというデメリットを抱えていました。それを解消すべく、あえて本線の6番線に各駅停車を入れることで、菊名ローカルの入線をスムーズに行うことができています。

6番線を発車する元町・中華街始発の各駅停車と、5番線に入線する菊名始発の各駅停車。

ところが、優等列車を5番線に入れることは、6番線に入線することと比較すると、制限速度が厳しい中入線することとなってしまうため、所要時間短縮のネックとなってしまっています。

そこで、今回菊名ローカルの取りやめを受けて、日中時間帯のみにはなりますが、再び5番線に各駅停車、6番線に優等列車を入線させる形に戻すことによって、特急が再び菊名駅にスムーズな入線を行うことができるので、所要時間短縮の実現につながっているのでは?と考えています。

※これに関してはあくまでも予測であり、発着番線の変更は改正後に見ないとわかりませんが、所要時間短縮の要因として関わってる可能性が高いと思い、述べてみました。

西武直通のFライナーのうち、飯能発着のほとんどが小手指発着に短縮

ダイヤ改正で大幅に減便されるFライナー快速急行飯能行き。

西武池袋線に直通するFライナー(西武線内快速急行)のうち、飯能発着のほとんどが小手指発着に短縮されることとなりました。

現在、西武直通のFライナーは1時間あたり2本運行されており、1本は飯能発着、もう1本は小手指発着で運行されていますが、改正によって平日は全て、土休日は午前中の一部便を除き、飯能への乗り入れがなくなってしまいます。

短縮される理由としては、小手指〜飯能間のFライナーの需要が少ないことが挙げられます。この区間では各駅停車の他、準急、快速、急行といった種別も各駅に停車しますが、快速急行に関しては、小手指、入間市、飯能のみの停車で、ほとんどの駅を通過することとなっています。よって、停車駅が少ないことから、利用者が限定されることとなり、その分需要が少なくなっているものと思われます。

もちろん、新型感染症による利用者減少も要因として挙げられますし、西武秩父方面への利用も直通特急「ちちぶ号」によって十分賄えているのだと思われます。

よって、飯能乗り入れは飯能、秩父方面へのお出かけ需要が見込まれる土休日午前のみに限定し、それ以外の時間帯は速達性は特急誘導も兼ねて特急へ、各駅への需要は急行や準急に任せるという見直しに至ったものと考えられます。

日中時間帯の石神井公園〜有楽町線池袋間の各駅停車を毎時2本削減へ

もう1つの見直しとして、日中時間帯の石神井公園〜有楽町線池袋間の各駅停車を毎時2本削減することとなりました。2019年の改正において、

  • 有楽町線を毎時10本から毎時12本に増発
  • 新桜台が快速急行通過駅となる

となりましたが、こちらも日中の需要が少ないことを受けて、見直しの対象となり、減便となりました。

小竹向原〜練馬間の各駅停車(準急含む)は毎時8本、練馬〜石神井公園間の各駅停車(西武池袋発着含む)は毎時10本と若干過剰な本数だったので、減便は致し方ないと思います。ただし、快速急行の新桜台停車復活がないことから、新桜台の停車本数は毎時6本となってしまい、他駅よりも若干停車本数が少なくなってしまうのが懸念材料でしょうか?

また、減便を受けて、有楽町線に新木場〜池袋間の区間列車が誕生することとなりました。有楽町線全体で本数を削減するのは流石にまずいということだと思いますが、有楽町線の池袋駅に引き上げ線を有していることもあってか、池袋までの区間列車が誕生するという異例の改正となりました。

ただし、有楽町線で池袋以東〜要町以西に行かれる方は、池袋止まりによって列車間隔が大きく空いてしまうのがデメリットとなってしまいます。池袋駅での時間調整が行われると思いますが、利用者からすると不便に感じることもあるのではないでしょうか? 副都心線の列車もありますが、池袋駅はホームが離れていることもあり、乗り換えもスムーズとは行かないので、もどかしいところです。

新型感染症による影響が大部分を占めている一方、相鉄直通に向けてダイヤや運用に余裕を持たせる準備と捉えられる?

以上、5直系統の改正内容に関して説明していきました。今回は日中時間帯を中心とした列車の見直しがほとんどですが、新型感染症の影響が利用客減少、収益の低下につながってしまい、需要が少なくなったというのが、要因の大部分を占めているものと思われます。

その一方で、2022年下期に開業し、新たな相互直通運転先となる、「相鉄・東急直通線」の開業と直通運転に向けて、ダイヤや運用に余裕を持たせる準備と捉えられる部分もあるかなと考えています。

菊名ローカルの運行取りやめ→相鉄直通列車の運行でダイヤに余裕を持たせるため?

まず、菊名ローカルの運行取りやめですが、菊名ローカル自体の需要が低い理由の他に、相鉄直通列車の運行に向けてダイヤに余裕を持たせるという狙いもあるかなと考えられます。

現時点では東横線に乗り入れる相鉄直通列車は日中時間帯毎時2本乗り入れるのではないかと考えていますが、菊名ローカルを除いた東横線の日中時間帯の運行本数は上下線それぞれ毎時16本(内訳:Fライナー特急4本、急行4本、各駅停車8本)と結構過密であり、更には退避設備を有する駅が少ないため(祐天寺、自由が丘、元住吉、菊名の4駅のみ)、本数を増やすとなるとすごくダイヤがカツカツとなってしまいます。

そこで、需要の少ない列車を極力削減し、相鉄直通列車を入れてもダイヤがカツカツにならないようにするため、今回菊名ローカルの取りやめに至ったと捉えることができます(なおラッシュ時間帯は引き続き菊名ローカルも運行されると思いますが、その際のダイヤがどうなるかは不明)。

Fライナーの飯能乗り入れ削減→東急車の運用を相鉄直通分に回すため?

続いて、Fライナーの飯能乗り入れ削減ですが、こちらも主な要因は小手指〜飯能間の需要が低いことが挙げられますが、運行区間の短縮によって、使用車両の運用に余裕ができることから、東急車の予備車確保、または相鉄直通分に回すためという狙いもあるかなと考えられます。

東急車、特に10両編成の運用は、西武および東武の直通運転が主となっており、広大な範囲で運用を行っているのに加え、相鉄直通の乗り入れにも対応していくこととなるので、相鉄直通分の運用も新たに確保する必要があります。現在では10両編成の車両に相鉄直通対応工事が施工されている他、一部8両編成の車両が、相鉄直通分として中間車2両を新造した上で10両編成にする準備工事も行われていますが、それでも運用数がギリギリの中で車両のやり繰りをして行かないといけない状況が続くものと思われます。

そこで、Fライナーの飯能乗り入れを縮小することによって、運用本数に余裕を持たせ、空いた分を相鉄直通に回せる準備という要素も兼ねているのかなと考えました。

ただし、飯能乗り入れの削減はあくまでも西武側の都合であり、東急車に余裕を持たせるために関わっているかどうかは不明です。その点に関しては、改正前後の運用にどのような変化があったかが明らかになるまで待ちたいと思います。

まとめ:東横線、西武線中心にテコ入れへ

いかがでしたでしょうか?

今回は5直系統のダイヤ改正について、それまでの背景や将来的な予測も説明していきました。

依然新型感染症の影響が大きく、厳しい改正内容となったことは言うまでもありませんが、今後の情勢と共にどのように変化していくのか、引き続き追っていきたいと思います。

今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!

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