皆様、こんにちは。U5swです。
今回は、東急東横線に所属する東急車の運用がカツカツすぎる事情に関して説明していきます。
東急東横線で活躍する東急車は、2022年9月現在、以下の車両が在籍しています。
以上の8両編成28本と10両編成12本が在籍しています。
なお、2023年3月のダイヤ改正までに、5167F,5168F,5169Fの3編成が新造中間車2両を組み込んで4113F,4114F,4115Fに改番して10両編成化されるので、8両編成25本と10両編成15本の体制となる予定です。
また、東急車と共通運用を組んでいる、横浜高速鉄道のY500系もY511F~Y515F,Y517Fの8両編成6本が在籍しています。
東急東横線は横浜高速みなとみらい線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武池袋線と相互直通運転を行っているため、総勢5社の車両が東横線に乗り入れています。また、2023年3月からは相鉄線とも直通運転を行うため、6社の車両が乗り入れることとなります。
そのため、東京メトロ有楽町線の列車を含めた、5社(6社)間の全体の直通運用を識別するために、数字2桁とアルファベット1文字を用いた運用番号を定めており、各列車ごとにどの会社の車両が運用に就くのかを割り振っています。詳細は以下の通り。
2023年3月からは、相鉄車も乗り入れるため、相鉄車が受け持つ運用番号も新たに設定される模様です。但し、アルファベットに関しては現段階で何が割り当てられるかは不明です(EかG説が出ている)。
ここで、東急車と横浜高速車が受け持つK運用の数と編成数を振り返ってみると、
となっています。
列車の運用は基本的に1運用あたり1編成が充当され、途中車両故障やダイヤ乱れ等のトラブルがない限り、運用の開始から終了まで1運用につき1編成が担当します。
まず気になる点として、平日8両車のK運用数が36運用なのに対し、担当する8両車は34編成しかありません。これだと、車両不足で毎日メトロ車の8両編成を代走しているのか?という疑問が出てきます。
但し、この運用の中には、
の3パターンがあり、この内2と3においては、運行時間帯が被らないため、
「2の運用後一旦車庫に入庫し、再び出庫して3の運用に入る」
という2つの運用を1編成で賄う運行を行なっています。
実際、平日8両K運用を見てみると、
また、2の5運用においては武蔵小杉(28K~31K)or渋谷止まり(32K)で回送として元住吉検車区に入庫する運用であり、3の4運用に関しては元住吉検車区から回送として送り込まれ、日吉始発(33K)、菊名始発(34K)、武蔵小杉始発(35K,36K)として運用に就きます。
以上のことから、28K~32Kの運用に就いた5編成が、元住吉検車区に入庫して一旦運用を終えた後、4編成は33K~36Kの運用のいずれかに入って再び営業運行に就いていることとなります。
よって、平日の8両K運用に必要な最低編成数は、1の27運用と2の5運用を合算した32編成で、8両車の全34編成から予備車を2編成確保することができます。
※ちなみに予備車確保を行うべき理由としては、
となるため、基本的に終日運用に就かせない編成を予備車や検査用として置き、1か2→3の運用で回していきます。
なお、土休日に関しては全32運用であり、常に予備車は確保できる状況です。また、運用に必要な最低編成数は、
であり、1(または1→4)の運用と2→3の運用を合算すると、28編成となります。
まず、2022年9月現在において運用に就いている10両車は4101F~4111Fの11編成となっており、最近5166Fから新造中間車2両(Qシート)を組み込み10両化された4112Fは営業運行に就いていないので、以下では、4112Fを除いた11編成の事情で解説します(4112Fの営業運行復帰は未定→2022.10.24 4112Fは復帰済み)。
平日の10両K運用は10運用あり、その内、
となっているため、午前に57K,58K,59Kの運用に就いた3編成の内1編成が午後に60Kとして運用に入ります。よって、最低必要編成数は9編成であり、特にトラブルがない場合は9編成で回し、2編成を予備車として置いています。
土休日の10両K運用は51K~57Kの7運用で、全て終日運用のため、最低必要編成数は7編成、予備車4編成で運用を回しています。
上記の通り、基本的に何も問題が起こらなければ、車両不足や代走といった緊急対応に悩むことなく運用を回せますが、日々順調に回せるかと言われるとそうではありません。
中には、車両故障や全般検査、車両改造など様々な要因によって運用を離脱した編成が多くなってしまい、所定の運用に入れず他の編成で代走を行った日もあります。次は今年起こった特殊な代走事例を2つ紹介します。
6月7日、本来は10両編成の東急車が入る平日の57K運用に入ったのは、「まさかの8両編成の5176F」でした。
一体なぜ代走が起こったのか?
それは、この日の5050系4000番台の運用離脱車が3編成もあり、最低必要編成数の9編成に満たなかったためです。
この日運用を離脱していた編成は4101F,4106F,4110Fの3編成。離脱理由としては、
以上、1編成が事故による破損で離脱、2編成が相鉄直通対応工事で離脱していたため、予備車どころか運用に就く編成が足らなくなったため、急遽8両編成の代走で対応しました。
なお、平日57K運用の行程は、
となっています。平日57K運用を8両車で代走できた要因は、
の4つが考えられます。
なお、翌日の6月8日にも同様の事例が発生しており、5169Fが平日57Kの代走運用に入っていました。
6月9日と10日は、平日57Kの代走が東急車10両の所定運用に戻りましたが、代わりに平日54Kの代走に西武6000系の6108Fが駆り出され、終日代走運用に就いていました。前日の8日に急遽小手指から元住吉に臨時で回送が行われ、代走を行う準備が行われていたようです。
6月11日、12日は土休日ダイヤのため代走は発生せず、6月13日に事故に巻き込まれた4101Fが復帰したことで代走運用は収束しました。
10両運用を8両編成で代走するのなら、その逆のパターンも発生する。
時は8月18日の朝、本来は8両の東急車or横浜高速車が担当する平日05K。
この日運用に就いたのは、まさかの「10両編成の4109F」でした。
平日05Kの運用は、
となっており、ここまでなら東横線内は急行運転を行うため、10両編成の4109Fが運用に入ることに問題はありませんでした。
ただ、問題はここから。
平日05Kは小手指駅に8:25に到着し、折り返しは8:29発の各停元町・中華街行きに充当されます。この場合、東横線内を急行以上の種別で運行するのなら問題はありませんが、この列車は「東横線内も各停で運行」する列車。つまり、8両編成の車両でないと東横線の各停運用には就けません。
一応小手指駅には車両基地が併設されており、小手指駅で車両交換は可能でしたが、折り返し時分が4分しかなかったのと、代わりの8両編成の車両がなかったため、引き続き4109Fで各停元町・中華街行きの運用に就かせました。
東急の10両車は、8両車しか停車できない駅でドアカットすることは不可能なので、途中駅で必ず車両交換を行う必要があります。
果たして、どこで行ったのでしょうか?
正解は、渋谷駅です。
平日05Kの渋谷駅発着は9:35着、9:40発であり、当駅で特急元町・中華街行き(平日81S、小手指始発で西武線内準急、副都心線内通勤急行で運行、渋谷9:38着、9:39発)の待避を3番線で行います(特急は4番線発着)。
一方、渋谷駅の5,6番線には、9:37に渋谷止まりの平日32Kが5番線に、9:39に各停和光市行き(東横線内通勤特急)の平日57Sが6番線にそれぞれ到着します。5番線の渋谷止まり平日32Kは折り返し回送列車となり、元住吉検車区に入庫して運用を終えます。
さて、平日05K運用はどうやって車両交換を行ったのか?
正解は、平日32K運用と役割を入れ替える形で車両交換を行いました。
先述した通り、平日32Kは渋谷駅到着後、折り返し回送列車として元住吉検車区へ回送されます。また、平日32Kは8両車運用です。
よって、平日05K運用の4109Fが渋谷到着後、回送列車として平日32K運用を引き継いで元住吉検車区に回送、入庫して運用終了する形を取り、平日32K運用が渋谷到着後、平日05Kの運用を引き継いで折り返し各停元町・中華街行きの運用に就くことで解決しました。
ちなみに、この日の平日32K運用には5119Fが担当しており、渋谷駅から平日05K運用を受け継いで運用を続けました。
ここで、朝限定で平日05Kを4109Fが代走しなければならなかった理由ですが、単純に言えば、K運用に就く8両車が改造と故障が重なり、予備車を確保することができなかったからです。
これは当日私が考察したツイートですが、この日の運用離脱編成は、5118Fと5164Fの2編成でした。
5118Fは考察当日は離脱理由が不明でしたが、車内LCD案内表示器を15インチから17インチに取り替える改造工事を施行しており、運用に就けませんでした。
また、5164Fは前日に車両故障を起こしてしまったため、修理により運用に就けませんでした。
更に、「午前5167F→午後5174Fで緊急予備車確保」というのは、予備車なしの状態で運用に就ける全編成を全て稼働させてしまうと、万が一他の8両K運用の車両にトラブルが発生し運用に就けなくなった場合、予備車がないせいで、該当の運用の列車を運休せざるを得なくなります。そのリスク回避のため、午前は5167Fが、午後は5174Fが予備車として待機していたと思われます。
よって、時間帯あたりの本数が1番多くなる朝時間帯限定で、まだ車両に余裕のあった10両K運用車両に可能な範囲で代走してもらい、途中駅で車両交換を行う形でやり繰りしようという計画を当日までに立て、実際に遂行したものと思われます。
※ちなみに、5166Fが新造中間車2両(Qシート)を組み込んで4112Fとなったことで、8両K運用の車両が1編成少なくなっていたのも、今回の代走の大きな要因となってしまっています。個人的には、各種試運転を終えた4112Fを、Qシート車を抜いた8両編成で、一時的に運用に戻るべきだと思っていますが、今後の動きは如何に…
→4112Fは10両編成のまま営業運行に復帰しています。
以上のように、東横線(みなとみらい線)の車両は、意外と編成数がカツカツな状況の中で運行していることがわかります。相鉄直通や車内の改造といったイベントが重なったこともありますが、複数の編成が車両故障や全般検査で運行不能になると、予備車がなくなってピンチになってしまいます。
また今後、8両の東急車に関しては、来たる2023年3月のダイヤ改正までに3編成(5167F~5169F)が10両編成化(4113F~4115F)されるため、K運用に就く8両車は31編成にまで減ります。
よって、現行の運用数のままだと、8両のK車の最低必要編成数を下回る(平日のみ)こととなってしまい、8両K運用数を必然的に減らさないといけません。
今度の改正で、相鉄直通列車との兼ね合いで各駅停車の本数が減る可能性が考えられますが、ラッシュ時間帯の東横線は多くの利用者で賑わうため、簡単に減便することは難しいでしょう。
では、8両K運用の減少分を何で補うのか?以下に実現が考えられることを挙げてみました。
まず、8両S運用(メトロ車)に関しては、現在平日、土休日共に12運用が設定されており、運用に就く車両は東京メトロ17000系の8両編成15本です。基本的に12編成で回し残りの3編成は終日お休みという状態になることから、東急車よりは予備車のゆとりがあります。
ここで、予備車は最低でも2編成確保できれば十分と考えると、減らされる8両K運用の1つを8両S運用に置き換え、8両S運用が13運用に増える可能性が考えられます。
次に、東横急行の10両運用を増やすことですが、現在8両編成と10両編成が混在して運行している東横急行において、現在8両編成で運行している一部列車を10両編成に置き換えることで、8両K運用の削減分を補うことができます。
ここで、現在の各会社における平日の10両運用数と2023年3月までに揃う10両車の編成数をまとめると、
この内、東急車と相鉄車は新たに相鉄東急直通運用に回される運用により、東横急行に回す余裕はないでしょう(相鉄車はそもそも日吉以南に乗り入れるか不明)
また、東武車は直通運用に加えて地上運用にも入らなければならなく、東武東上線全体において車両不足の問題が生じているため、東武車の運用が増えることは考えにくいです。
よって、メトロ車と西武車が候補に挙がります。
まず、メトロ車は38運用あり、10両車は42編成所属しているため、最大でも2運用は増やすことができます。ただし、メトロ車は有楽町線運用もあり、5直系統では1番運行範囲が広いため、予備車に余裕を持たせる上でも1運用くらいと考えます。
次に、西武車は40000系の増備で地下直車両の編成が純増しており、その分運用を増やしやすいメリットがあります。ただし、東武同様西武車も西武池袋線内の完結運用に充当されるため、その編成分も確保しなければなりません。
今後40000系の増備によって西武全体で車両の動きが起こるため、その動き次第にはなりますが、個人的に東急の10両車が足りなくなった際に西武6000系で代走できたことから、地下直の運用は現行から更に1運用増やせる余裕はあると見ています。
以上のことから8両K運用の3運用削減分は、
線が固いと見ています。
これは後の追加情報となりますが、11月24日に、2023年3月に開業予定の相鉄・東急直通線の運行概要が発表されました。
その中で、朝ラッシュ時における東横線の運行に変更があり、
「菊名始発の各停4本を、新横浜線から直通してくる急行4本に置き換えること」が発表されました。
置き換えが行われる理由としては、東横線の線路容量が限界でこれ以上増やすことができないことも考えられますが、ここまで説明してきた、K運用の8両車が減少することに関する、運用の削減が必要であることが要因と考えられます。
朝ラッシュ時間帯が1番本数が多く、朝ラッシュ時のみの運用もいくつか存在しますので、その運用を減らし、8両車減少分への対策を施す模様です。
この情報の詳細はこちらの記事で説明しています。
東急車の8両編成が減る代替手段として、5050系8両編成を新造(5179F)し、予備車を確保する案も考えられますが、個人的には微妙かなと思われます。
2022年度の東急の設備投資計画において、東横線車両の新造車両は8両と明記されていましたが、これは5166F~5169Fの4編成が10両化による新造中間車2両×4編成分の8両を指しており、今年度中の5179F製造はありません。但し、来年度以降新たに増備させる可能性はないとは言い切れません。
いかがでしたでしょうか?
今回は東横線の東急車に余裕がなさすぎる件に関して、2つの代走例を挙げて説明したのと、今後の東急車の8両編成が減ることに関して、現行の8両K運用がどうなっていくのかの予想を行いました。
とてもマニアックかつ伝える事項が多すぎるのでだいぶ長くなりましたが…
10両車の相鉄直通改造は完了し、残りは8両編成の10両化が進むこととなっているので、現行の運用に変化が出てくるのは確定です。
今後どのような変化が生まれるのか引き続き注目していきます!
今回はここまでとなります!最後までご覧くださいましてありがとうございました!
東急東横線をはじめとする5直の運用情報は、こちらのサイトを参考に記事を執筆しています。
メトロ有楽町線・副都心線・東急東横線運用情報-運用調査TOP