【千葉のトップも大激怒?】京葉線の24年ダイヤ改正について

鉄道
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皆様、こんにちは。U5swです。

今回は、先日発表された、2024年3月一斉ダイヤ改正の話題から、JR東日本の京葉線のダイヤ改正内容が非難の嵐になっている件に関して、その説明と個人的に思うことを述べていきます。

京葉線を簡単に説明

まず、京葉線とはなんぞや?ということに関して簡単に説明します。

京葉線は東京駅から千葉県の蘇我駅までを結ぶ本線と、市川塩浜駅と西船橋駅、および西船橋駅と南船橋駅を結ぶ2つの支線で構成されている、JR東日本の路線です。本線を軸として、西船橋駅では府中本町駅までを結ぶ武蔵野線が乗り入れており、また、蘇我駅から先は内房線・外房線(その先の東金線)にも直通する列車が設定されています。

JRの路線としては、総武線と共に東京と千葉を結ぶ二大幹線としての役割を担っており、通勤通学路線の役割を果たしている他、沿線には東京ディズニーリゾート(最寄駅:舞浜)や幕張メッセ・ZOZOマリンスタジアム(最寄駅:海浜幕張)、フクダ電子アリーナ<Jリーグ、ジェフユナイテッド千葉の本拠地>(最寄駅:蘇我)など、テーマパークやイベント会場が多いことでも有名です。

京葉線の運行形態

様々な目的でお世話になる京葉線ですが、その運行形態はどうなっているのかを説明します。京葉線では主に2つの系統に分かれており、

  • 京葉線の本線(東京〜蘇我間)を走行する列車
  • 市川塩浜駅、および南船橋駅から支線を経由し、武蔵野線へ直通する列車

の2つに分類されます。

京葉線の本線(東京〜蘇我間)を走行する列車

本線を走行する列車種別は、

  • 特急さざなみ号・わかしお号
  • 通勤快速
  • 快速
  • 各駅停車

以上の4種別が運行されています。

特急は、内房線へ直通するさざなみ号と、外房線へ直通するわかしお号が運行されており、京葉線内は東京〜蘇我間ノンストップ(一部海浜幕張に停車)運転を行なっています。

通勤快速は、平日のみ2往復が運行されており、朝に東京行き、夕方に蘇我方面行きが運行されています。京葉線内停車駅は東京、八丁堀、新木場、蘇我であり、一般列車としては異例の新木場〜蘇我間ノンストップ運転を行なっています。

快速は、朝〜夜時間帯に運行されています。京葉線内停車駅は東京、八丁堀、新木場、舞浜、新浦安、南船橋、海浜幕張〜蘇我間各駅です。日中時間帯は平日が毎時2本土休日が毎時4本運行されています。

各駅停車は終日運行しています。日中時間帯は毎時4本運行されており、その内平日毎時2本、土休日は全ての列車が東京〜海浜幕張間のみの運行です(海浜幕張〜蘇我間はこの区間を各駅に停車する快速が代替する)

通勤快速、快速、各駅停車の編成両数は全て10両編成のE233系5000番台(一部209系)で運行されています。中には、直通先の外房線と東金線で6両と4両に分割する列車も存在します。

市川塩浜駅、および南船橋駅から支線を経由し、西船橋駅、その先に武蔵野線へ直通する列車

支線を経由し、西船橋、その先の武蔵野線へ直通する列車全て各駅停車で運行されています。日中時間帯は東京〜府中本町間の列車が毎時3本、南船橋〜府中本町間の列車が毎時3本運行されており、基本的に交互に運行されています。南船橋方面への直通列車は、一部時間帯に新習志野や海浜幕張にも乗り入れを行います。

また、朝夕には、武蔵野線武蔵浦和から貨物線を経由して、大宮まで直通する”しもうさ号”が運行されており、新習志野・海浜幕張発着となっています。更には、武蔵野線へ直通せず、西船橋で折り返す列車も設定されています。

武蔵野線へ直通する列車(しもうさ号を含む)は全て8両編成の209系orE231系での運行となっています。但し、西船橋で折り返す列車には、京葉線の10両編成E233系5000番台or209系の車両が使用されます。

そんな京葉線に衝撃が走った改正内容

このような京葉線に衝撃が走ったのが去る2023年12月15日。恒例の3月ダイヤ改正プレスリリースが一気に発表する日のことでした。

改正内容の詳細

JR東日本千葉支社のプレスリリースにおいて、24年3月改正の京葉線が以下のようになることが明らかとなりました。

https://www.jreast.co.jp/press/2023/chiba/20231215_c01.pdf

上記のプレスリリースで記された衝撃の内容は、以下の通り。

日中帯(10~15 時台)を除き、東京~蘇我駅間はすべての通勤快速および快速を各駅停車に変更します。これにより、朝・夕夜間帯に外房線、内房線と直通するすべての快速も各駅停車に変更となります。

JR東日本ニュース-2024年3月ダイヤ改正について(千葉支社)

なんと、“朝夕に運行されている快速・通勤快速を全て各駅停車に置き換え、通勤快速はそのまま廃止、快速は日中時間帯のみの運行”となってしまうことに…

快速運行時間帯と快速通過駅の停車列車本数(2024.1.16にJR東日本が修正した内容へ更新済み)

快速の運行時間帯と運行本数に関しては、変更前と変更後は以下のようになります。

  • 平日
    • 下り運行時間帯(東京発)
      • 改正前→8:53~22:21
      • 改正後→10:02~15:33
    • 上り運行時間帯(蘇我発)
      • 改正前→6:42~18:20
      • 改正後→6:43~6:5110:20~15:49
    • 快速運行本数(上下計): 59本→26本(33本▲)
  • 土休日
    • 下り運行時間帯(東京発)
      • 改正前→7:10~22:20
      • 改正後→10:04~15:45
    • 上り運行時間帯(蘇我発)
      • 改正前→6:42~18:12
      • 改正後→6:43~6:5110:20~15:50
    • 快速運行本数(上下計): 89本→49本(40本▲)

また、朝夕の快速が各駅停車に変更されるにあたり、快速通過駅における列車の停車本数は、以下のように増加する見込みです。

  • 平日
    • 幕張豊砂
      • 改正前:下り129本、上り142本→計271本
      • 改正後:下り150本、上り151本計301本(+30本)
    • 新習志野
      • 改正前:下り129本、上り152本→計281本
      • 改正後:下り150本、上り161本計311本(+30本)
    • 二俣新町
      • 改正前:下り96本、上り105本→計201本
      • 改正後:下り116本、上り114本計230本(+29本)
    • 市川塩浜、葛西臨海公園、潮見、越中島
      • 改正前:下り160本、上り169本→計329本
      • 改正後:下り180本、上り178本計358本(+29本)
  • 土休日
    • 幕張豊砂
      • 改正前:下り104本、上り115本→計219本
      • 改正後:下り130本、上り126本計256本(+37本)
    • 新習志野
      • 改正前:下り104本、上り121本→計225本
      • 改正後:下り130本、上り135本計265本(+40本)
    • 二俣新町
      • 改正前:下り84本、上り95本→計179本
      • 改正後:下り110本、上り109本計219本(+40本)
    • 市川塩浜、葛西臨海公園、潮見、越中島
      • 改正前:下り139本、上り150本→計289本
      • 改正後:下り165本、上り164本計329本(+40本)

この改正によって得られる効果

朝夕の快速(一部除く)および通勤快速各駅停車にすることで、快速通過駅の列車の乗車機会を増やし、利便性の向上と待ち時間の短縮を図ります。また、快速を運行させないことによって、途中駅において各駅停車が快速を待避することなく、どの駅でも一定の時間へ辿り着ける他、混雑の平準化を図る狙いがあります。

この改正に伴うデメリットとは?

しかし、一方でこの改正による悪影響を受けたのが、快速停車駅。その中でも南船橋や海浜幕張〜蘇我間の各駅から都心方面へ通勤通学、お出かけをする方からすると、快速がなくなることに対する所要時間の増加で、より都心が遠くなってしまうことになる他、快速通過駅からの乗客も拾うこととなるため、車内の混雑度も上がって長距離通勤に負担を強いられるというデメリットもあります。

特に快速各駅停車になることで、東京〜海浜幕張、蘇我間の所要時間が6~7分増加通勤快速各駅停車になることで、東京〜蘇我間の所要時間が12~17分増加するなど、通勤時間が長くなってしまう負担を強いられます。また、蘇我を超えて内房線や外房線から利用する方からすると、最大で20分ほどの所要時間増加となる駅もあるようです(なお、外房線に直通する快速は一部外房線の駅を通過する列車もあるが、この改正で外房線通過駅も各駅に停車します)。

遠方からの快速利用者対象外の方からすると、「なんだそんなに所要時間拡大してないじゃないか」と思うかもしれませんが、対象者からすると「とても重く遠い」所要時間増加と言えるでしょう。

更に、各駅停車への統一と共に、利用状況に合わせて1時間あたりの運転本数も見直されるようです(但し、西船橋方面への列車に変更はなし)。

  • 朝時間帯(7:30~8:30頃)の葛西臨海公園〜新木場間→22本から21本へ1本減便
  • 夜間帯(20時台)の東京駅発車列車(特急を除く)→11本から10本へ1本減便

この改正に千葉のトップが激怒。 JR東日本に再考求める要求も?

上記で述べた通り、都心から京葉線を介して通勤通学・お出かけを行う千葉県民が、快速・通勤快速の廃止に大きな悪影響を受けるということを受けて、千葉県知事の熊谷俊人知事や、千葉市長の神谷俊一市長を始めとした千葉のトップが激怒し、「ダイヤ改正に対して再考してほしい」という意見をJR東日本に求めるなど、今回の改正に物申す出来事が立て続けに起こっています。

【速報】熊谷千葉県知事、京葉線問題で見直し申し入れ 快速縮小に「誠に遺憾」 JRから説明も、具体的な対策への言及なし(千葉日報オンライン) - Yahoo!ニュース
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【速報】京葉線の通勤快速廃止は「極端な変更」 千葉市長、JRダイヤ改正に懸念(千葉日報オンライン) - Yahoo!ニュース
JR千葉支社が来年3月のダイヤ改正で京葉線の快速を朝夕夜間帯は各駅停車に変更し、通勤快速を廃止すると発表したことを受けて、神谷俊一千葉市長は「極端な変更」「市として変更のメリットは見いだしにくい」

また、蘇我を超えて内房線および外房線沿線の地方自治体にも、この改正に異議を唱えている他、海浜幕張を最寄りとするイベント会場「幕張メッセ」も苦言を呈するなど、快速や通勤快速の各駅停車化に大きな影響を受けている模様です。

【京葉線ダイヤ改正】外房3市町も撤回要望 「生活形態崩壊させる」「事前に地域意見反映を」 大網白里、茂原など連名で JR支社長「考え至らなかったと反省」(千葉日報オンライン) - Yahoo!ニュース
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JR京葉線の各停化、地元経済界がダイヤ改正の撤回要望…幕張メッセも「集客に影響」(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
京葉線の通勤快速や快速を各駅停車に変えることを柱とした3月のダイヤ改正をめぐり、千葉県の経済界からも懸念の声があがっている。千葉商工会議所の佐久間英利会頭(千葉銀行会長)は4日、「撤回を強くお願い

千葉県の地方自治体やイベント施設においてこのような騒ぎとなっている要因としては、朝夕の快速・通勤快速廃止はもちろんのこと、沿線自治体に事前に通告しないままJR東日本が一方的に決定したというのも考えられます。そりゃ、何も言われないまま勝手に各駅停車化すると明らかになれば、「ちょっと待てい!」と言いたくなるのは当然でしょう。

京葉線各駅の利用状況や特徴から朝夕各停化を考察

ここからは、京葉線(本線のみ)の利用状況や特徴から、朝夕の各停化に関して考察を行っていきます。考察を行うにあたり、各駅ごとの1日あたりの乗車人員(2022年基準)、乗り換え路線、および待避設備の有無やその特徴を以下にまとめてみました。

まず、乗車人員を見てみると、大ターミナル東京を筆頭に、ディズニーリゾートの玄関口舞浜、お台場への東の玄関口新木場、浦安市の中心駅の1つ新浦安、幕張メッセや千葉マリンスタジアムの最寄駅である海浜幕張がTop5に名を連ねています。その後も準主要駅や快速停車駅がランクインし、各駅停車のみが停車する駅で1番多いのは潮見で全体の12位でした(それを下回る快速停車駅はなし)。

また、東京〜市川塩浜間、および南船橋〜新習志野・海浜幕張間に関しては、一部の時間帯を除いて、京葉線のみを走行する各駅停車に加えて、西船橋方面から武蔵野線直通の各駅停車も乗り入れて来るため、快速通過駅でも停車本数が極端に少なくならないよう工夫もなされています。

こうなると、快速通過駅と停車駅の利用状況を見る限り、朝夕の快速や通勤快速を全て各駅停車に置き換える必要もないじゃないかと思われますが、一方で、快速を走らせていることで起こっている課題としては、

  • 間に快速列車が挟まることによって、各駅停車同士の間隔が余計に開く時間帯があり、それに伴って車内の混雑度にバラつきが生まれてしまうこと
  • 葛西臨海公園や新浦安で快速の通過待ちや緩急接続が起こることにより、東京や新木場視点において、快速の混雑度が余計に高くなってしまうこと
  • 通勤快速が新木場〜蘇我間ノンストップであることから、他の各駅停車や快速と比較して利用者が少ないこと

このようなことが挙げられます。特に朝夕時間帯はどの駅からも利用者が多く、混雑度に差が生まれてしまうと、一部列車が混雑が高くなってしまって積み残しが発生し、目的の列車に乗れなかったり、一方でとてもガラガラで走らせている意味がほぼない列車も生まれてしまうこともあります。このような各列車において極力混雑具合が一定になるよう、敢えて快速を無くして各駅停車に統一しようと試み、この改正を行おうとしているものと伺えます。

遠方利用者の特急誘導? しかし特急も改正で縮小傾向へ?

JR東日本に限らず、ほとんどの鉄道会社で最近トレンドと化しているのが「特急誘導」です。有料特急列車やライナー列車といった、”乗車券に加えて追加料金が必要な列車”へ誘導することにより、快適な車内空間と速達性を提供すると共に、鉄道会社の収益性の向上に繋げていく策をこれまで様々な路線へ導入してきました。

京葉線にも東京から京葉線を経由し、蘇我から内房線へ直通する「さざなみ号」と、蘇我から外房線へ直通する「わかしお号」の2種類の列車が運行されており、一部の列車が海浜幕張に停車する以外は東京〜蘇我間ノンストップと、他の快速列車を寄せ付けないほどの停車駅の少なさで、主に蘇我以遠の遠方利用者から東京へ向かう方への通勤特急的存在とも言えます。

2023年の改正時点では、内房線特急「さざなみ号」が下り5本、上り3本(但し、土休日は全て運休)外房線特急「わかしお号」が下り12本、上り12本運行(但し、土休日は下り11本、上り11本)されています。

しかし、これらの特急列車も、2024年の改正においてそれぞれ見直しが行われます。さざなみ号とわかしお号の各見直し内容は以下の通り。

  • さざなみ号
    • 東京21:30発さざなみ9号君津行き(君津22:39着)が運転取り止め
    • さざなみ号の充当車両が、255系9両編成orE257系5両編成での運行だが、改正後はE257系5両編成のみの運行へ(255系は改正をもって定期運用から撤退)
  • わかしお号
    • 東京15:00発わかしお11号勝浦行き(勝浦16:26着)が運転取り止め
    • 東京17:00発わかしお13号<改正後:11号>勝浦行き(勝浦18:26着)が上総一ノ宮行き(上総一ノ宮着18:01着)に短縮し、上総一ノ宮〜勝浦間を繁忙期の臨時運行扱いへ
    • 東京18:00発わかしお15号<改正後:13号>上総一ノ宮行き(上総一ノ宮19:03着)が勝浦行き(勝浦19:30着)に延長
    • 東京21:00発わかしお21号<改正後:19号>安房鴨川行き(安房鴨川22:59着,勝浦〜安房鴨川間は普通列車として運行)が勝浦行き(勝浦22:32着)に短縮
    • 東京22:00発わかしお23号<改正後:21号>勝浦行き(勝浦23:26着)が上総一ノ宮行き(上総一ノ宮23:03着)に短縮、併せて土休日運休へ
    • 勝浦6:44発わかしお4号東京行き(東京8:25着)を新設(但し、土休日運休)
    • 勝浦7:26発わかしお4号<改正後:6号>東京行き(東京9:02着)が土休日運休へ土気に追加停車へ
    • 安房鴨川8:39発わかしお8号<改正後:10号>東京行き(東京10:37着)が勝浦始発(勝浦9:07発)に短縮
    • 勝浦10:36発わかしお10号東京行き(東京12:05着)が運転取り止め
    • 上総一ノ宮19:28発わかしお22号東京行き(東京20:37着)が、勝浦19:03発東京行き(東京20:39着)の臨時列車として運行へ(定期運用取り止め)
    • 勝浦20:08発わかしお24号東京行き(東京21:40着)が運転取り止め
    • わかしお号の充当車両が、255系9両編成orE257系5両編成orE257系10両編成での運行だが、改正後はE257系5両編成のみの運行へ(255系は改正をもって定期運用から撤退,E257系の10両編成での運行を取り止め)

平日朝のわかしお号増発といったプラス的な要素はありつつも、全体的に運転取り止めや末端部の運行区間変更、土休日運休化など、一部を除いてマイナス的な要素が多く見られた見直しとなります。それ以上に、特急列車の充当車両が大きく変わり、これまで長きにわたり房総特急として活躍を続けていた255系が老朽化に伴い定期運用から撤退、引き続き活躍を続けるE257系が全て5両編成での運行に減車することとなりました。

2024年ダイヤ改正で定期運用から外れる255系
5両編成のみの運行となるE257系500番台。

よって、改正後の房総特急は、減便というよりは”減車”より利用しにくくなる傾向にあると言えるでしょう。これでは、都心から蘇我以遠への通勤に利用する特急誘導としては、不十分が過ぎると思います。

また、京葉線内での特急においても、特に利用の多いであろう朝時間帯の上り(東京行き)、夕夜間帯の下り(蘇我方面行き)は全て東京〜蘇我間ノンストップであり、一部特急停車駅の海浜幕張は全て通過するため、対東京での通勤快速の代わりにはなりそうですが、それ以外は代替機能はないでしょう。

更に、お台場の玄関口であり、りんかい線や東京メトロ有楽町線との接続駅でもある新木場に関しては、遠方利用客のために特急を停車しても良いと考えていますが、停車化には至っていません。

東京〜蘇我間の速達輸送のルートに”総武快速線”はあるが…

“京葉線の快速や通勤快速が無くなることに文句を言うのなら、総武快速線に乗ればいいじゃないか!”

そういう意見も出てくると思います。

総武快速線のE235系1000番台

確かに、京葉線よりも編成両数が長く、蘇我やその先の内房線・外房線へ直通する列車も走っている総武線快速は、代替手段の1つとなり得るとは思います。

しかし、総武快速線と京葉線のルートは全くの別であり、あくまでも“東京〜蘇我と蘇我以遠”に限った話であり、八丁堀や新木場といった駅を利用している方や海浜幕張周辺の駅では代替手段とはなりません。

また、総武快速線の内房線および外房線直通列車はそこまで多くはなく、津田沼や千葉で運行を終えてしまう列車や、千葉から総武本線・成田線を経由し成田空港方面へ向かう列車も存在するため、千葉で乗り換えを強いられる可能性も非常に高いです。また、京葉線ユーザーが総武快速線に流れてしまうと、ラッシュ時を中心に総武快速線の混雑が悪化するリスクも伴います。

上記の時刻表は、平日朝の蘇我駅における千葉・東京方面行きの時刻表です。黒字の列車は全て千葉止まりの普通列車であり、青字の列車は総武快速線東京方面行きの快速列車です。

これを見ると、6時台は2本、7時台は5本、8時台は1本の快速列車が発車しており、そこまで本数が多くありません。千葉止まりの普通列車が多く走っており、千葉駅で総武快速線へ乗り換えることも可能ですが、千葉駅はホームの規模が大きく、中には対面乗り換えでなく、別のホームで乗り換える必要があるため、京葉線快速の代替手段としては物足りない気がします。

一方、こちらの時刻表は、平日17・18時台の東京駅における、総武快速線千葉方面の時刻表です。どちらの時間帯も毎時10本の快速列車が運行されていますが、その内、蘇我、そして内房線や外房線に直通する快速列車は以下の通り。

  • 17:38発 君津行き<内房線直通>
  • 17:55発 上総一ノ宮行き<外房線直通>
  • 18:35発 君津行き<内房線直通>
  • 18:56発 上総一ノ宮行き<外房線直通>

なんと、2時間でたったの4本しかなく、加えて内房線、外房線へ直通する快速列車は毎時1本ずつしかありません。その他は津田沼・千葉で折り返してしまう列車や、千葉から先総武本線・成田線へ直通し、成田空港に向かう列車もあるため、総武快速線だとどうしても限定されてしまうのです。

従って、総武快速線を代替で使えばいいという考えは、それに当てはまる利用者がかなり限られるのを見ると、無理があるように思います。

京葉線朝夕各停化に対する個人的な私見

この一連のダイヤ改正内容発表から千葉自治体の騒動にまで発展した今回の改正ですが、個人的な私見としては、

快速や通勤快速の一部本数を減らす代わりに各駅停車を増やし、快速通過駅の各駅停車同士間隔を詰めるのは良いが、快速と通勤快速を全て各駅停車に置き換えるのは流石にやり過ぎ

と考えています。確かに、間に快速が挟まることにより、快速通過駅において各駅停車が来ない時間が15分や20分もある時間帯が存在している駅もあるため、待ち時間の増加とそれに伴う混雑の激化は課題でもあるため、可能な限り解消していくことが求められます。

しかし、鉄道路線では近距離利用者もいれば中距離・長距離の利用者もいるため、近距離利用者は各駅停車で、中距離・長距離利用者は快速を利用することで”遠近分離”を図り、遠方の利用者が所要時間等で余計に不利益を被ることのないような対策をとる必要があります。

京葉線では東京や新木場といった都心のターミナル駅が最も利用者が集中する一方で、都心から徐々に離れて蘇我方面に近づくと利用者が徐々に少なくなっていく路線でもあるため、中距離や遠距離利用者からすると、途中主要駅のみ停車し、各駅停車よりも速く走る快速の存在はとても重宝しています。

但し、今回の改正で、利用者のピークが最も集中する朝夕の時間帯において、快速や通勤快速が全てなくなり、各駅停車のみの運行となってしまうと、遠方利用者が都心方面に向かうのに所要時間が余計にかかってしまい、移動の負担を強いられてしまいます。特急の存在もありますが、こちらも利用者がごく一部に限られるため、遠近分離の手段としては少し物足りない感が否めません。

こうなってしまえば、遠方からの京葉線利用者は勿論のこと、沿線の地方自治体が総出で異議を唱えるのも無理はないでしょう。

多少快速の本数が減るのは百歩譲って致し方ないとは言えど、極端に快速を全て無くすのは、遠方の利用者のことを考えていないと言われても文句は言えないと思います。

朝夕の京葉線に関する個人的な提案

今回の改正を受けて、個人的な提案として、

“京葉線の通勤快速海浜幕張に追加停車すること”

を勧めたいと考えています。

京葉線の通勤快速は新木場〜蘇我間ノンストップが特徴であり、一部の特急が停車している海浜幕張すら通過している現状にあります。そのため、通勤快速の利用可能な対象者が、

都心〜蘇我以遠の利用者

に限定されてしまうため、各駅停車快速と比較して、利用者が少なく混雑度が低いことが挙げられます。これでは運行の効率が悪く、かえって邪魔者と言われてもおかしくはありません。

そこで、この通勤快速を廃止にするのではなく、”海浜幕張に追加停車を行うこと”で、通勤快速の利用対象者を拡大すれば良いのではないでしょうか?

通勤快速が海浜幕張に停車することによって、都心と海浜幕張を行き来する利用者は勿論のこと、海浜幕張で各駅停車と緩急接続を取ることによって、通勤快速が通過する検見川浜・稲毛海岸・千葉みなとの3駅から都心へ向かう方も、海浜幕張での乗り換えで通勤快速を利用することが可能となります。

事実、海浜幕張は2面4線の駅であり、各駅停車と快速が対面で乗り換えできるようなホーム構造をしているため、スムーズな乗り換えが実現します。

逆に、都心に近い舞浜や新浦安、南船橋に停車する快速は運行せず、各駅停車に置き換えることで、快速に余計に混雑が集中することもなく、海浜幕張を境に上手く遠近分離が図れるのではないでしょうか?

なお、通勤快速の海浜幕張停車に関しては、神谷俊一千葉市長も提案を行なっています。

京葉線ダイヤ改正 神谷俊一・千葉市長が提案「通勤快速を海浜幕張駅に止めては?」(産経新聞) - Yahoo!ニュース
JR京葉線(東京―蘇我)の通勤快速などを廃止する3月16日のダイヤ改正問題で、千葉市の神谷俊一市長は5日の記者会見で「通勤快速を海浜幕張駅に止めるなど別のやり方もある」と提案し、JR側に再考を求める

P.S. 千葉自治体の要望により、急遽早朝に快速を走らせることが決定!(2024.1.17追記)

2024年1月16日、JR東日本は、千葉自治体への快速維持に対する強い要望を受け、ダイヤ改正発表後としては”異例中の異例”とも言えるダイヤ改正内容の”一部変更”を行うことが発表されました。

https://www.jreast.co.jp/press/2023/chiba/20240116_c01.pdf

その変更内容としては、

“朝時間帯に内房線および外房線から京葉線へ直通する列車1本ずつを、各駅停車から快速へ変更する”

とのことです。

具体的な快速と発着時刻に関しては以下の通り。

このように、千葉自治体から強い要望を受けたことで、JR東日本が見直しを行い、平日・土休日ともに都心へ7時台に到着する時間帯に快速を設けたことで千葉県遠方から都心への利用者に最低限の配慮を行いました。沿線の自治体の要望によってダイヤ改正内容を見直すのは、過去の事例であまりないことだと言われています。

但し、2本の東京行き快速が設定されただけであり、通勤快速の運転は取り止め、それ以外の朝夕時間帯の快速の運行は引き続きナシという状況は変わらず、沿線自治体や沿線の利用者からすると、物足りないという声は多いままです。

確かに、1度決めた改正内容を全て白紙撤回するのは無茶が過ぎますし、早朝の2本の快速東京行きに変更するので精一杯だろうという、ダイヤ作成における苦悩も理解はできますが、これだけで自治体や利用者が満足ですとは到底言えないのも、また事実ではあります。

ダイヤ改正まで残り2ヶ月に迫った中、「1回朝夕の快速を全て無くし、各駅停車だけで運行すればどのような効果が得られるのか?」という、ある意味社会実験的な取り組みで一旦やってみるのもいいと思いますが、遠距離利用者のほとんどが首を縦に振るとは考えられないので、24年秋頃のダイヤ修正を行うことも視野に入れつつ、沿線自治体としっかり話し合いを進めながらダイヤの在り方を互いにアップデートしていくことが求められるでしょう。

京葉線、および蘇我以遠の利用者のほとんどが不便なく利用できる、よりよいダイヤになることを願っています。

まとめ: 京葉線ダイヤ改正問題のこれからは如何に。

いかがでしたでしょうか?

今回は2024年3月ダイヤ改正における、JR東日本の京葉線のダイヤ改正問題をピックアップしました。

朝夕時間帯の極端な快速の各駅停車置き換えによって、利用者や鉄道ファンは勿論、千葉県知事や千葉市長も声を挙げるなど、全国的なニュースにまで発展した今回の改正内容。

普段から京葉線を利用しない私でも、この改正はやり過ぎだと思いましたが、皆様はどのような感想を抱いていらっしゃるでしょうか?

今後千葉の地方自治体の声を受けて、改正内容が変わることがあるのか、それとも、このままを貫くのか(現実的に見れば後者が濃厚だが)、進展はどのようになるのか、注目です。

今回はここまでとなります。最後までご覧いただきましてありがとうございました!

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