【遂に】8両編成の東京メトロ9000系の運行開始と今後の計画が明らかに!

鉄道
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皆様、こんにちは。U5swです。

今回は、8両編成化がなされた東京メトロ9000系の運行開始日と、今後8両編成化される9000系の計画に関して説明します。そして、明らかになった情報と共に、今後の9000系がどのようになるのかを予想します。

東京メトロ9000系とは?

内容を説明する前に、まず東京メトロ9000系がどのような車両か簡単に説明します。

東京メトロ9000系は、営団時代の1990年に登場した、南北線用の車両であり、南北線の開業から運行を続けている車両です。南北線の延伸や東急目黒線との直通運転開始に合わせて増備が行われ、2009年の9122F,9123F導入時点で、6両編成23本が製造されました。

自社の東京メトロ南北線を始め、2000年9月からは東急目黒線、2001年3月からは埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線にそれぞれ乗り入れており、2023年3月からは東急新横浜線にも乗り入れを開始しています。なお、相鉄線への乗り入れには対応していません。

東京メトロ9000系の8両編成化

2022年4月より、東京メトロ南北線を含む東急目黒線系統(目黒線・都営三田線・南北線・埼玉高速線)が、相鉄線への乗り入れと目黒線系統の混雑緩和に対応するため、6両編成オンリーだった車両が続々と8両編成化がなされ、随時8両編成の車両の運行が開始されました。2023年3月の相鉄線直通運転開始までに、

  • 東急車→3000系,5080系は新造中間車2両を組み込み全て8両編成化、製造時は8両編成で暫定的に6両編成で運行していた3020系は中間車2両を組み込み全て8両編成化
  • 都営車→8両編成の6500形を13編成製造し、6両編成の6300形前期車13編成を置き換え(6300形は6両編成のまま)
  • 相鉄車→8両編成の21000系を7編成製造し、直通開始に備える(その後、2編成増備し9編成体制へ)

と、各社で8両編成化がなされました。一方で、東京メトロ9000系と埼玉高速2000系は開業前でもほぼ進展はなく、営業列車は全て6両編成のままとなっています。

しかし、前々より9000系に関しても、一部の編成に新造中間車を2両増結し、8両編成にする構想は掲げており、実際2021年に9109F用の新造中間車2両が製造されて甲種輸送が行われていました。その後は長らく進展がなかったのですが、2023年6月に、9109Fの従来車6両が新木場CRに入場し、新造中間車2両を組み込むと共に従来車を新造車に合わせる形でリニューアル改造して出場しました。

その後、9109Fは8両編成での試運転を南北線や目黒線で行い、8両編成での運行開始に向けて着々と準備が進められました。

8両編成の9000系の運行開始日、および8両編成化の対象編成が明らかに!

2023年12月13日、東京メトロは8両編成化された9109Fの報道公開が行われると同時に、以下のプレスリリースを発表しました。

https://www.tokyometro.jp/news/images_h/metroNews231213_78.pdf

まず、1点目としては、8両編成の東京メトロ9000系の運行開始日が、

2023年12月16日

に決定しました!

東京地下鉄株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役社長:山村 明義、以下「東京メトロ」)では、南北線 9000 系車両1編成で 8 両編成化を実施し、2023 年 12 月 16 日(土)より営業運行を開始します。南北線 においては、今後も順次、他編成の 8 両編成化を進めてまいります。


南北線 9000 系の 8 両編成列車運行開始! -東京メトロ

これにより、9109Fが12月16日より、南北線の車両として初めて8両編成での営業運転を行うこととなっています。なお、運行区間は従来通り南北線・埼玉高速線・目黒線・東急新横浜線(浦和美園〜赤羽岩淵〜目黒〜日吉〜新横浜間)です。

そして、今後も、混雑緩和を目的に9000系の8両編成化を進めていくこととなりましたが、私が気になったのは、“8両編成になる対象の編成”です。8両編成化される対象編成は、

9000系の09~21編成(9109F~9121F)の計13編成

と発表がなされました。これにより、9000系の

01~08編成(9101F~9108F)と22,23編成(9122F,9123F)の計10編成が、8両編成化の対象外車両

となってしまうことが明らかとなりました。

では、なぜこの10編成が8両編成化されないこととなってしまったのでしょうか?以下ではその理由を考察していきます。

9000系の各編成におけるMT比の違いが明暗を分けることに?

理由を考察する前に、MT比に関して軽く説明します。電車には車両を動かすためのモーターを積んだ車両<動力車(デハ車)>“と”そうでない車両<付随車(サハ車、クハ車)>の2つに大きく分けられ、前者がM後者がTにそれぞれ分類されます。

例として、6両編成の電車の内、動力車が4両、付随車が2両あった場合、”4M2T”と表記されます。一方、6両編成の電車の内、モーターを積んだ車両が3両、そうでない車両が3両あった場合、”3M3T”と表記されます。

目黒線系統の車両では、基本的にMT比の割合が1:1になるような編成構成を行っており、6両編成であれば”3M3T”に、8両編成であれば”4M4T”になるようにしています。

今回紹介している9000系は、3M3Tの編成もあれば、4M2Tの編成もあるため、その編成構成の違いが、8両編成になるか否かの分かれ目となったのではないかと考えています。次に、各編成におけるMT比と、8両編成化に関して詳しく見ていきます。

9101F~9108F(改造前4M2T→改造後3M3T化):8両化対象外

まずは、南北線の黎明期より運行を行っている1・2次車(1991~92年製,一部車両1996年製)の、9101F~9108Fの8編成です。この8編成は当初、以下のような編成構成でした。

1号車
クハ9100
(Tc)
2号車
デハ9200
(M)
3号車
デハ9300
(M)
4号車
デハ9600
(M)
5号車
デハ9700
(M)
6号車
クハ9800
(Tc)
9101
|
9108
9201
|
9208
9301
|
9308
9601
|
9608
9701
|
9708
9801
|
9808
改造前の9101F~9108Fの編成構成(4M2T)

しかし、製造から20~25年が経過した2016~19年にかけて、この8編成はリニューアル工事(B修繕)が実施されることとなり、車内や外装のリニューアルと同時に機器更新が行われ、編成構成が以下のように変わりました。

1号車
クハ9100
(Tc)
2号車
デハ9200
(M)
3号車
サハ9300

(T)
4号車
デハ9600
(M)
5号車
デハ9700
(M)
6号車
クハ9800
(Tc)
9101
|
9108
9201
|
9208
9301
|
9308
9601
|
9608
9701
|
9708
9801
|
9808
改造後の9101F~9108Fの編成構成(3M3T)

ご覧の通り、3号車が電装解除(電動車が付随車に変わること)されたことによって、4M2Tから3M3Tへと変わりました。この状態で新造中間車2両を組み込むとなると、新造車が2両とも付随車になった場合、3M5Tとなり、付随車の方が多くなって加減速に影響を及ぼします。また、新造車の内1両を電動車として製造する場合、電装品によるコストが高く付いてしまう他、3号車を再電装化して電動車に戻すのも手間がかかってしまうため、非効率です。

よって、9101F~9108Fの8編成は、改造によって3号車を電装解除した結果、8両化するメリットがなくなってしまったため、対象外となってしまったと言えます。

前々から、この8編成に関しては8両編成化の対象外車両として言われていたため、特に驚くことはありません。事実、製造から30年前後経った車両もいるため、引退が近いことから、8両編成にする効果は薄いとも言えます。

9109F~9115F(改造前4M2T→改造後4M4T化へ):8両化対象車

次に、南北線の延伸時に増備された3次車(1995~97年製)の、9109F~9115Fの7編成です。この7編成は以下のような編成構成です。

1号車
クハ9100
(Tc)
2号車
デハ9200
(M)
3号車
デハ9300
(M)
4号車
デハ9600
(M)
5号車
デハ9700
(M)
6号車
クハ9800
(Tc)
9109
|
9115
9209
|
9215
9309
|
9315
9609
|
9615
9709
|
9715
9809
|
9815
改造前の9109F~9115Fの編成構成(4M2T)

MT比は改造前の9101F~9108Fと同様の4M2Tです。これがリニューアル改造および新造中間車を2両分増結すると、次のようになります。

1号車
クハ9100
(Tc)
2号車
デハ9200
(M)
3号車
デハ9300
(M)
4号車(新造)
サハ9400
(T)
5号車(新造)
サハ9500
(T)
6号車
デハ9600
(M)
7号車
デハ9700
(M)
8号車
クハ9800
(Tc)
9109
|
9115
9209
|
9215
9309
|
9315
9409
|
9415
9509
|
9515
9609
|
9615
9709
|
9715
9809
|
9815
改造後の9109F~9115Fの編成構成(4M4T)

このように、新造車2両を付随車として組み込み、従来車の電装をそのままにしておくことで、4M4Tの編成構成となるため、8両編成化としては問題がありません。

事実、12月16日より運行を開始する9109Fはこの構成で運行するため、9110F~9115Fもこれに倣って8両編成化がなされることでしょう。

9116F~9121F(改造前3M3T→改造後4M4Tへ):8両化対象車

その次に、南北線全通時、および東急目黒線との相互直通運転開始時に導入された4次車(1999~2000年製)の、9116F~9121Fの6編成です。この6編成は以下のような編成構成です。

1号車
クハ9100
(Tc)
2号車
デハ9200
(M)
3号車
デハ9300
(0.5M)
4号車
デハ9600
(0.5M)
5号車
デハ9700
(M)
6号車
クハ9800
(Tc)
9116
|
9121
9216
|
9221
9316
|
9321
9616
|
9621
9716
|
9721
9816
|
9821
改造前の9116F~9121Fの編成構成(3M3T)

この9116~9121Fは電動車が4両、付随車が2両であることに関しては従来車と変更点がありませんが、3号車のデハ9300、および4号車のデハ9600が特殊な電動車となっており、片方の台車が電動台車、もう片方の台車が付随台車という、いわゆる“0.5M0.5Tの電動車”となっているため、細かく見ると、3M3Tの編成構成となっています。

これがリニューアル改造および新造中間車を2両分増結すると、次のようになるでしょう。

1号車
クハ9100
(Tc)
2号車
デハ9200
(M)
3号車
デハ9300
(M※)
4号車(新造)
サハ9400
(T)
5号車(新造)
サハ9500
(T)
6号車
デハ9600
(M※)
7号車
デハ9700
(M)
8号車
クハ9800
(Tc)
9116
|
9121
9216
|
9221
9316
|
9321
9416
|
94
21
9516
|
95
21
9616
|
9621
9716
|
9721
9816
|
9821
改造後の9116F~9121Fの編成構成(4M4T)※予想

中間新造車を2両分、付随車として組み込むことは3次車と変わりはないでしょう。但し、3号車と6号車に関しては、改造と同時に0.5Mから1Mにする工事を施行するでしょう。これによって4M4T化がなされると考えられます。

9122F,9123F(3M3T→新造中間車製造なし?):8両化対象外

今回の8両編成化の対象外車両として1番の想定外だったのが、最終増備車(5次車)の9122F,9123Fです。この2編成は列車増発用、およびB修繕工事の予備車確保を目的に2009年に製造がなされましたが、4次車の製造から9年が経過し、かつ営団地下鉄から東京メトロになってからの製造となっているため、従来車よりも仕様が大幅に変更されており、前面デザインや帯の配色、内装のデザインやLCD案内表示器など、半蔵門線08系や有楽町・副都心線10000系に準じた設計となっています。

他の9000系よりも車齢が若く(2023年時点で14年)、こちらも新造中間車2両が組み込まれるものと思われていましたが、まさかの対象外となりました。その要因としては、こちらも編成構成が大きく関わっていると考えられます。この2編成は以下のような編成構成です。

1号車
クハ9100
(Tc)
2号車
デハ9200
(M)
3号車
サハ9400
(T)
4号車
デハ9600
(M)
5号車
デハ9700
(M)
6号車
クハ9800
(Tc)
9122
9123
9222
9223
9422
9423
9622
9623
9722
9723
9822
9823
9122F,9123Fの編成構成(3M3T)

5次車に関しては製造時点で3M3Tとなっていますが、4次車とは異なり0.5Mの電動車が組み込まれているのではなく、1,2次車の改造後の編成構成と同じになっています。但し、当初から付随車として製造されていることから、3号車は9300番台ではなく、”9400番台”が付与されています。

よって、このことから、5次車用の新造中間車はデハ9300とサハ9500を新造して組み込めば簡単に8両編成化できるのでは?と疑問を抱くと思いますが、

  • 新造の電動車を製造するコストを抑えたい(極力付随車のみの製造にしたい)。
  • 中間車組み込みの際、3分割(9100-9200,9400,9600-9700-9800)しないといけない手間を省きたい。
  • 1~4次車と仕様が異なるため、5次車用に別仕様の中間車を製造する必要があり、その手間を省きたい。

上記のような事情が考えられることから、5次車を8両編成化が見送られたものと考えています。もしかすると、今後の状況次第では、一転製造されることもあるかもしれませんが…

8両編成化がなされない9000系10編成は今後どうなる?

以上のような編成構成の違いと8両編成化可能な構成であるかという視点から考察していきましたが、こうなると、8両編成化がなされない9000系10編成(01F~08F,22F,23F)の今後は一体どうなってしまうのでしょうか?

今後の計画として、南北線の全車8両編成化は、2022年6月30日に金融庁に提出された東京メトロの第18期有価証券報告書において、“2030年度までに完了する”予定であることが記載されています。

東京地下鉄(株) 有価証券報告書(※30ページ目において記載)

https://www.tokyometro.jp/corporate/ir/2022/pdf/202203_yuka.pdf

この計画は今後完了が前後する可能性もありますが、6両編成と8両編成が混在して走っている現在において、極力8両編成に統一したいという考えは持っているものと思われます。

そのため、6両編成で据え置かれる9000系10編成に関しては、南北線用の新たな新型車両19000系(仮)を8両編成で製造の上、順次置き換えていくことが有力でしょう。

となると、置き換えられる10編成は今後どういう運命を辿っていくのか?考えられることとしては、

  • 2030年半ばに開業予定の”東京メトロ豊住線(豊洲〜住吉間)”の線内ピストン列車に転用
    • ホームは有楽町線の車両に対応するため10両分と言われているが、過去には6両編成の車両のみをピストン運行する計画もあった。建設に向けて進んではいるものの、具体的な計画は不明。
  • 他鉄道会社に譲受する車両に転用
    • 西武鉄道でいう”サステナ車両”だが、その西武には既に小田急8000形の導入が決定している。西武以外の鉄道会社が今後他社譲受を行うかは不明。
  • そのまま廃車
    • 2030年時点において、1・2次車は製造から35~40年、B修繕工事から10~15年が経つ、5次車は製造から20年が経つことをどう見るか?

以上のようなことが考えられます。東京メトロの車両は、50年手前まで走らせる車両もいれば、逆に新型車両への置き換え事情から意外と短命に終わってしまう車両もいるため、どういう道を辿ってもおかしくないと言えます。

まとめ:9000系の今後の行方や如何に。

いかがでしたでしょうか?

今回は東京メトロ9000系の8両編成の車両の運行開始決定と、今後の9000系8両編成化計画に関する対象編成と、対象か否かが別れる要因の考察に関してまとめました。

いよいよ8両編成の9000系がデビューするというワクワク感と、まさかの5次車が8両編成化対象外になってしまった衝撃と色々ありましたが、今後の8両編成化に関しては、目が離せません。

今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!

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