【中間車化,寄せ集め…】阪急7300系に関して説明!

鉄道
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皆様、こんにちは。U5swです。

今回は阪急京都線系統で活躍する、阪急7300系に関して説明します!

阪急7300系に関して簡単に説明!

阪急7300系原型車(PhotoACより引用)↑

阪急7300系は1982〜1989年に製造された京都線系統の通勤型電車です。1980年〜1988年までに神宝線用(神戸線系統および宝塚線系統)として製造した阪急7000系の京都線系統ver.として導入がなされました。

京都線系統で初めて制御装置に界磁チョッパ制御を採用(但し、7310FのC#7310は東洋GTO-VVVFの試験車両)し、主幹制御器は阪急6300系に続きワンハンドルマスコンが採用されています。

1999年時点で、2両編成8本(7300F~7302F,7323F~7327F)、6両編成2本(7307F,7310F)、7両編成1本(7321F)、8両編成6本(7320F,7322F,7303F~7306F)があり、全部で83両が製造されました。

運行区間は阪急京都線・千里線の全区間と大阪メトロ堺筋線の全区間です(但し、千里線・堺筋線の淡路〜天下茶屋間は8両編成のみ入線可能)。基本的に普通や準急での運行がメインですが、最高時速が115km/hに対応しているため、特急の運行にも就くことが可能です。また、代走や行楽期の臨時列車において、6両編成以下の編成が嵐山線の全区間に乗り入れます(極稀に土休日のみ運行される快速特急”京とれいん雅洛”の代走にも入る)。

2007年時点での編成表(C#7851長期休車直後)

2007年時点で、7両編成だった7321Fの内、中間付随車のC#7851が脱車され、2両編成の7323Fと8両編成を組むこととなりました。C#7851に関しては、これから約17年もの間、正雀車庫で長期休車に入ることとなります。

また、1999年時点で2+6両の8両編成を組んでいた7324Fと7310F、および7327Fと7307Fは継続して8両を組むのに加え、2両編成の7325F,7326Fは8300系の6両編成と異形式併結を行い8両編成を組むこととなり、7325Fは8311Fと、7326Fは8304Fとそれぞれ8両編成を組んでいます。

残る2両編成3本の7300F~7302Fに関しては、平日朝ラッシュ時の10両編成増結用車両のみ運用に就くこととなります(但し、検査時は7323F~7327Fのいずれかが代走)。

リニューアル工事

2007年より、7300系にもリニューアル工事が施工されることとなりました。但し、時期と編成に応じて施工内容が大きく変わるため、大きく3つに分けて説明します。

第1陣(前面大規模更新)

第1陣として、7320Fが2007年11月〜2008年8月までリニューアル工事が行われ、2008年9月8日に営業運転に復帰しました。

このリニューアル工事の特徴としては、

“前面のデザインが9000系列(9000系・9300系)に準じたデザインに魔改造”

されたことです。種別灯・尾灯が9000系列のものに変更、種別・行先表示器のフルカラーLED化が行われました。車内も9000系列に準じた改造内容であり、ロングシートに仕切りが設けられた他、扉が9000系列ベースに交換、扉エンジンも静粛化され、扉上部には9000系・9300系9303F化以降に設置された2画面のLCDが採用されました。

但し、制御装置の交換は行われず、2024年7月時点でも界磁チョッパ制御のままです。

なお、この大規模工事は本系列では7320Fのみに施工されています。

第2陣(前面小規模更新、制御装置のVVVF化)

7320Fのリニューアル工事施工後は暫く動きがありませんでしたが、2014年の7303Fを皮切りに8両固定編成を中心にリニューアル工事が再開されました。

改造内容としては、ドア交換、ドアエンジンの静粛化、車内の更新は第1陣とほぼ同じ内容ですが、変更点としては、

  • 前面の大規模更新は行わず、貫通扉の窓の大型化と車番の移設、種別灯・尾灯のLED化のみ施工
  • 種別・行先表示器はフルカラーLED化されず方向幕のまま
  • 扉上部に1000系・1300系で採用された32インチハーフのLCDを採用
  • 制御装置を1300系とほぼ同様の東洋IGBT-VVVFインバータ制御に換装

このような変更となっています。流石に第1陣のような改造はコストが高くついたせいか、外観は控えめな改造となった代わりに、制御装置を交換して省エネ化を図るようになりました。

2018年までに8両固定編成の7322F,7303F~7306Fの5編成に施工されています。

第3陣(第2陣に加え、一部先頭車の中間車化を施工)

8両固定編成のリニューアルが完了し、次は2+6両の分割編成にリニューアル工事が施工されるようになりました。最初に施工されたのは7324F+7310Fであり、更新工事の内容は第2陣とほぼ同じですが、同時にC#7454とC#7310が7300系で初めて中間車改造がなされ、編成内で組替を行い”8両固定編成化”がなされました。なお、中間車化された車両の運転台は単純にフリースペース化され、乗客が立ち入りできるようになりました。

改造前後の編成構成は以下の通り。

  • 改造前
    • 7324(Mc)-7454(Tc)+7310(Mc)-7990(T)-7960(T)-7970(T)-7910(M)-7410(M`c)
  • 改造後
    • 7324(Mc)-7840(M`)-7970(T)-7954(To)-7890(To)-7960(T)-7910(M)-7410(M`c)
  • 改番と組替歴
    • 4号車の7990(T)を7840(M`)に改番、電装化の上2号車へ組替
    • 6号車の7970(T)を3号車へ組替
    • 2号車の7454(Tc)を7954(To)に改番、中間車化の上4号車へ組替
    • 3号車の7310(Mc)を7890(To)に改番、中間車化、電装解除の上5号車へ組替
    • 5号車の7960(T)を6号車へ組替

続いて、最終増備編成の7327F+7307Fがリニューアル工事を施工しましたが、こちらは7324F+7310Fのように8両固定編成化されたわけではなく、7327FのC#7457のみを中間車化し、C#7307は中間車化されず運転台を残し、中間車と先頭車が併結を行う”変態連結化”が行われるようになりました。

これは、7307Fが6両編成単体で嵐山線の運用(または京とれいん雅洛の代走)に入れるようにしていることと、リニューアル時点で京都線での10両編成運用がなくなり、2両車の増解結運用がなくなったことから、2両側の7327FのC#7457は中間車して問題ないことから、このような改造が行われたものと見ています(連結面のデッドスペースをなくし、定員数を少しでも増加させる狙い?)

なお、中間車されたと同時にC#7457はC#7957へと改番化され、Tc→To化されています。

そして、異形式併結編成の7325F+8311Fが揃ってリニューアル工事を施工しましたが、7325F側は7327F同様、連結面のC#7455を中間車化の上C#7955に改番しています。一方8311F側は7307F同様中間車改造はなされなかったため、こちらも変態連結化されました。なお、C#7325には10両編成運行時、大阪梅田側に増結車を連結させるための電気連結器が撤去されています。

リニューアルされた7325F↑

7325FのC#7455改めC#7955と、8311FのC#8311の連結面。C#7955は中間車化され、運転台が取り外されているが、C#8311は中間車化されずそのままとなっている↑

2024年7月時点では7326F+8304Fが揃って入場中であり、おそらく両車ともリニューアル工事を行なっているものでしょう。そして、7326Fに関しては7325F同様、 C#7456をC#7956に改番の上中間車化する変態連結化と、C#7326の電連を撤去するものと予想しています。

2024年、”休車寄せ集めのド変態編成”が爆誕。

去る2022年12月のダイヤ改正で、快速急行が消滅し”準特急”が誕生しましたが、その快速急行の消滅と共にもう1つ消滅したのが、“京都線朝ラッシュ時の10両運転”です。朝ラッシュの京都河原町→大阪梅田間と大阪梅田→桂間(なお増結車のみ桂で切り離し、8両側のみ京都河原町まで運行)を走る快速急行3本ずつが10両編成での運行で、従来の7300系or8300系8両編成に加えて、増結用の7300系7300F~7302Fの2両編成を大阪梅田側に増結し、ラッシュの混雑対策を行ってきましたが、この改正で廃止され、8両編成での運行となりました。

これにより、10両編成を組成するためだけに働いていた7300F~7302Fの2両編成3本が、10両運用廃止により仕事がなくなる“ニートレイン状態”となり、しばらく車庫で引きこもることとなりました。

7300系は製造から40年経った車両であり、使用用途がなくなってしまうと廃車にする可能性が高くなってしまいますが、阪急京都線には7300系よりも前に製造された3300系、5300系が未だ残っているため、そう簡単に廃車にはせず、何かしらの形で運用に復帰するものと思われます。

そんな中、大きな動きがあったのが2024年6月のこと。

なんと、この増結編成3編成に加えて、”約17年もの間正雀車庫に眠っていたC#7851″も目覚めさせ、阪急7300系史上最も“ド変態な編成”が爆誕しました。それがこちら。

7300(Mc)-7450(Tc)+7301(Mc)-7451(Tc)+7302(Mc)-7851(T)-7401(Mc)

編成中先頭車が6両、そして17年ぶりに復活した中間車1両を加えた“7両編成”が登場しました。7300系自体の7両編成自体も久々の復活となり、“古い車両を末長く大切に使う”究極の編成となったわけです。なお、7両編成のため、京都河原町or北千里〜大阪梅田間の準急または普通のみの運行であり、7両編成までしか入れない京都河原町2号線への入線も果たしています。

17年間野ざらしで塗装も剥げボロボロだったC#7851は、塗装の塗り直しと内装の張り替えにより、休車していたとは思えないほどの仕上がりになっている他、連結面の特徴としては、C#7450とC#7301に関してはスカートが外された状態かつ、運転台のワンハンドルマスコンが抜き取られた状態だったため、実質中間車された半永久連結となっています。対して、C#7451とC#7302に関してはスカートは外されているものの、運転台のワンハンドルマスコンは残存したままです。

これは私見ですが、嵐山線の6300系が検査入場で予備車が足りない時に、7300F+7301Fの4両編成で嵐山線の代走に入れるようにしているものと考えられます。

ところで、京都河原町方の先頭車は、C#7302と組んでいたC#7452…ではなく、元々7321Fの京都河原町方先頭に連結されていたC#7401が入っていますが、その理由として、

C#7452がモーターなしの先頭車(Tc)であり、そのままにすると3M4Tとなってパワー不足となるため、モーターありの先頭車(Mc)のC#7401とトレードすることにより、4M3Tとするため。

です。なお、C#7452が連結された後の7323F+7321Fは、

7323(Mc)-7453(Tc)+7321(Mc)-7801(M)-7861(T)-7871(T)-7901(M)-7452(Tc)

となっており、4M4Tの構成となっていることから、パワー不足の心配はありません。

これらの2編成は再度組替が起こる可能性アリ?カギとなる嵐山線のワンマン化

“ド変態編成”こと7300F+7301F+7302Fの7両編成と、C#7401とC#7452がトレードされた後の7323F+7321Fの8両編成ですが、これらの2編成は未だ大規模なリニューアル工事が行われておらず、制御装置も界磁チョッパ制御のままです。

今回の組替によってリニューアル工事が施工されなかった理由としては、他の7300系と8300系のリニューアル工事に充てている関係もありますが、1番は、

今後の嵐山線ワンマン運転開始に伴い、再度編成組替が行われる可能性が高いから。

と予想しています。

去る2023年11月13日、阪急電鉄のプレスリリースにおいて、新たにワンマン運転を行う路線を発表し、その1つとして嵐山線が挙げられ、2027年春頃を目標にワンマン運転を開始するとのことです。

https://www.hankyu-hanshin.co.jp/release/docs/040acf91061bbe61374f567a69bdc960b9c103f3.pdf

なお、ワンマン運転開始と共に、センサ付きホーム固定柵を整備し、ワンマン運転時でも安全に運行できるよう随時整備していく模様です。

ここで、現在の嵐山線を走る車両ですが、代走等を除き、6300系6351F~6353Fの4両編成3本が担当しています。この6300系は元々は京都線の特急用車両であり、他の車両とは大きく異なる2ドア車で、ドア配置も車両の先端側にある独特な配置となっています。そのため、他の3ドア車とドア位置が合わない関係から、使いづらい車両となっています(実際、十三駅5号線にホームドアが設置されたが、当時初代京とれいんとして走っていた6354Fがホームドアに対応できず、十三駅を通過扱いにする快速特急Aという種別を設けて運行していた。現在6354Fは引退済み)。

そのため、センサ付きホーム固定柵を3ドア車対応にすると、十三駅5号線のホームドアの時と同じようなことになりかねません。

ところで、現在残存している6351F~6353Fの3編成は、いずれも1976年に製造されたベテラン車両であり、嵐山線転用改造時にリニューアル工事が施工されたものの、ワンマン化が開始される頃には既に製造から50年を経過することとなるため、

6300系は嵐山線ワンマン化が始まる前に引退するものと思われます。

そして、6300系に代わる新たな嵐山線専用車両として、個人的に候補最筆頭の編成が、

  • 7300F+7301Fの4両編成
  • 7302F+7323Fの4両編成

この2+2の4両編成であり、残る7321Fは再び7両編成に戻るのではないかと考えています。

先述の通り、7300FのC#7450と7301FのC#7301が半永久的な連結を構成していることからいずれは嵐山線に転属すると考えられますし、7302Fは再度C#7452を戻し、代わりにC#7851とC#7401を7321Fにトレードし、7323Fを7302Fとコンビを結成するようにすれば、6300系置き換え用の2編成が揃うこととなります。但し、6300系をもう1編成置き換えるための車両はどうなるのかは気になるところです(5300系を4両化?8300系の増結編成を活用?)。

京都線系統では、7月21日に座席指定車両「PRiVACE」を組み込んだ新型特急用車両2300系がデビューし、その後の増備で現行の特急用車両9300系を一般車両へ格下げすることが明らかとなっています。この2形式の動きが、京都線系統の車両事情を大きく変えていくので、こちらと同時に今後の動向に注目しましょう!

阪急7300系の編成表を確認

最後に、阪急7300系の2007年時点での編成構成と、2024年7月時点の編成構成を以下に示しておきます。

2007年~2024年まではC#7851を除く82両が営業運転に就いていましたが、現在は再び全83両が営業運転に入っています。廃車は1両たりとも存在しません。

現在の7300系はリニューアル工事完了車が多く、原型の車両が少なくなってきましたが、ここに来て17年間放置した車両を仲間に入れ、増結車同士で7両編成を組む編成が現れるなど、まだまだ話題を提供してくれそうな7300系。今後にも期待です。

今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!

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