【末永く大切に使う…はもう間違い?】東武30000系の廃車から考える、既存車両の在り方を考える

鉄道
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皆様、こんにちは。U5swです。

今回は、東武の新型通勤型車両90000系のデビューによって発生した、東武30000系の廃車についてと、それに関連する今後の東武の既存車両の取り扱いに関して考察していきます。

2026年9月26日、新型車両90000系がデビュー!

去る2026年9月26日、東武東上線にとって待ちに待った新型車両、90000系がめでたくデビューを果たしました。

90000系の当初の導入目的としては、東武東上線が相互直通運転を行う東京メトロ有楽町線・副都心線、東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線で活躍を行う旧型車両の9000型を置き換えることでした。

しかし、その後の90000系の導入に関する新たな情報として、9000型に限らず、9050型、10000型、10030型、そして30000系も置き換えの候補として追加され、大量に増備を行い、東上線(池袋〜小川町間)の自社車両を50000系列と90000系に統一するのが最終目標となっています。

こちらに関しては、以下の記事でも紹介しています。

順当に、古い車両から置き換えが始まると思っていた矢先…

満を持してデビューした90000系、デビュー時点で既に3編成が稼働しており、併せて既存車両の置き換えも随時始まることとなります。

普通であれば、経年の長い古い車両から順に置き換えが進んでいくのだろうなと思っていたところ、X(旧・Twitter)上に思わず目を疑う情報を目の当たりにしました…

東武30000系31604F+31404F “廃車回送”

は、はい!?!?!?

90000系に置き換えられる第1陣が、置き換え対象形式で最も新しい30000系だと!?

し、しかも、廃車!?!?!?

あまりにも衝撃的な字面を見た私は、その衝撃度合いに全く信じず、どうせガセネタと思い込んでいました。

そりゃ、30000系はVVVFインバータ制御の車両だし、30000系より古くボロボロな車両がわんさかいる中で、30000系を優先的に置き換えている余裕なんてないし、運用離脱するにしても廃車ではなくて他線区に転用するための改造工事をこの段階から行うんじゃないかと、情報とは異なる予想をアレコレ立てていました。

また、31604F+31404F自体も、特に何も問題なく東上線の運用に入っていたので、なおさら廃車になる未来が見えませんでした。

しかし、待っていたのはあまりにも厳しい現実。

2026年10月8日、前日まで何事もなく運用に就いていた、31604F+31404Fが、突然森林公園検車区から寄居へ回送、翌9日に秩父鉄道経由で北館林へ回送されました。

そして、前面の灯具類等が一部撤去されていることから、“廃車が確定”してしまいました…

1998-99年に製造されてから約27年と少し、東武基準で考えれば”まだ新しい部類”に入る31604F+31404Fが、無情にも短命で終わってしまったことに、私はショックを受けていました。

東上線からの撤退は避けられなくとも、せめて機器更新を行いつつ、再び6両と4両に再分割して別の場所で次の車生を送ることだってできただろうに…

こういう理想を抱えていたのもあり、余計もったいないし残念だと感じていました…

東武30000系を犠牲にしないといけない事情を冷静に考察

暫くは受け入れられていませんでしたが、ずっとウダウダ言っても廃車は廃車なので、ここからは冷静に廃車にした理由を考察していきます。

X上のポスト等を参照の上、今回、東武が31604F+31404Fが廃車になった理由を並べていきます。

  • 走行機器の部品取り要員
  • 東武における機器更新の実績が乏しく、更新自体が面倒である
  • リニューアルするにしろ、30000系の製造元工場が既に閉鎖している&更新も手間暇かかる

走行機器の部品取り要員

廃車の主要因として挙げられているのが、”走行機器の部品取り要員”に選定されたことでしょう。

東武30000系は日立製のIGBT素子のVVVFインバータ制御を搭載しており、IGBT素子のインバータ制御装置に関しては、現在でも新型車両や機器更新車両にも新規搭載されるほど、走行機器として主流の装置であり、こう聞くとまだまだ製造できるのでは?と思うでしょう。

しかし、東武30000系の登場は今から30年前の1996年であり、その時期に製造されていた3レベルVVVFインバータ制御に関しては、現在では既に製造が終了となっており、仮に機器が故障したとしても、製造工場から同じ制御装置を調達することが困難となっています。

なお、30000系と同様のVVVFインバータ装置を採用していた、主に特急りょうもう号として活躍していた200系250型251F(1998年製造)も、2022年に早くも廃車となっています。早期廃車の理由として、200系自体が後継の500系に置き換えられるためという理由もありますが、1番は251Fに搭載されていたVVVFインバータ装置を、30000系用の部品取りとして確保するためとも言われています。

よって、登場から既に30年経った今、既存の30000系のインバータ装置は枯渇しており、復活のために同型式のインバータを使用するには、他編成から部品を供給しないといけない段階にあると見ていいでしょう。

実際、30000系に関しては、31606F+31406Fが2026年5月より故障で暫く営業運転に入ることができていません。これだけ長期離脱が進んでいるということは、自走ができないほど走行機器が機能していないものと思われます。そのため、運用離脱まで元気に走行していた31604F+31404Fの走行機器を取り外し、故障中の31606F+31406Fに供給することで運用復帰を目指すのではないかと予想しています。

東武における機器更新の実績が乏しく、更新自体が面倒である

既存の走行装置を部品取りにして他の編成に供給するのであれば、じゃあわざわざ編成自体を廃車にせず機器更新すればいいのでは?と思うのも無理はないでしょう。

しかし、東武自体はたとえ車体のリニューアル工事を施工しても、機器更新は行わずにそのままにしているケースが多いです。

そもそも、これまで東武が機器更新を施工した実績は意外にも乏しく、

  • 10080型11480F(日立GTO-VVVF→日立IGBT-VVVF、2007年頃施工、2023年廃車済み)
  • 10030型11032F(チョッパ制御→日立IGBT-VVVF、2013年度施工)
  • 10030型11639F+11443F(チョッパ制御→日立IGBT-VVVF、2014年度施工)

また、一部車両のみPMSM試験採用の意味合いで、

  • 250型251F,モハ251-5(日立IGBT-VVVF→東芝IGBT-VVVF)
  • 30000系31602F,モハ35602(日立IGBT-VVVF→東芝IGBT-VVVF)

に換装がなされています。

機器更新の理由としては故障が続いていたこと、チョッパ制御の部品を確保する等様々ありますが、全体的に機器更新がそこまで進んでいないことを踏まえると、

東武が既存車両の機器更新に消極的な姿勢

なのではないかと伺えます。

事実、東武の車体のリニューアルに関しては、31604F+31404Fが廃車回送で持っていった北館林のすぐ近くにある津覇車輌工場館林工場で施工されていますが、走行機器の更新に関しては南栗橋車両基地で施工されたため、リニューアル→機器更新の流れが非常に面倒であることも、機器更新をしたがらない理由の1つとも言えそうです。

リニューアルするにしろ、30000系の製造元工場が既に閉鎖している&更新も手間暇かかる

そして車体のリニューアルに関してですが、津覇工場でもやろうと思えば可能?なんだと思いますが、そもそも30000系の製造メーカーが、

  • アルナ工機
  • 東急車輛製造
  • 富士重工業

の3社となっていますが、その内アルナ工機と富士重工業の2社に関しては、この30000系の製造をもって鉄道車両の製造から撤退、後に東急車輛製造も撤退してしまいました。

よって、リニューアルに対する製造元からのサポートを受けることが困難となっており、しようにもできないというのが現状と思われます。

また、元々6連と4連の分割編成ということを活かして再分割してそれぞれの道で再スタートを図るというのも、一見できそうでできないのが現状でしょう。というのも、東上線への転属時に10連固定化を図り、6連と4連の連結面は、灯具類や行先表示器は取り外されており、運転席のスペースは残されてても、運転台のマスコンや速度計・計器類は取り外されている”実質中間車化”された先頭車であり、再び先頭車として活用することは、再度取り外した部品を取り付けなければならない作業を行わないといけず、非常に面倒であることが伺えます。

そして、東武自体のリニューアル工事についてですが、30000系よりも古い10000系列に関しても、現在は亀戸線・大師線・伊勢崎線系統末端部のワンマン運転用に2連の10030型がリニューアル工事を行なっていることもありますが、それ以外の10000系列(本線の浅草〜館林・南栗橋間、野田線、東上線)に関しては、リニューアル工事が全編成に施工されることはなく、製造当初からの姿を保った編成も少なくはありません。

このような現状からも、東武からすると

変にリニューアル工事を施工して延命するより、新型車両に置き換えてしまった方が良い

という方針に転換したと考えてもいいのかなと思います。

事実、10000系列自体も、近年の減便や運行区間短縮に伴い、リニューアルの有無や製造年数に関わらず廃車になっている編成もあるため、変に残しておくよりは廃車にして他編成の部品取りに充てたりするなど、状況に応じた対応を行なっています。

古い車両をリニューアルして末長く大切に使用するという考え方は、必ずしも理に適っておらず認識を改めるべきなのかもしれません。

このまま東武30000系は転用されることなく全車解体が基本線なのか? 東武全体の車両状況から今後を再予想

以上、東武30000系や東武鉄道自体の過去と現状を振り返りながら、廃車となった理由を考察していきましたが、そうなると今後東武30000系は他の9000系列や10000系列と同様、全車解体が基本線と思うでしょう。

しかし、東上線の寄居ローカル(森林公園・小川町〜寄居間)や越生線の越生ローカルには、9000系列や10000系列よりもさらに古い8000系が未だ主役として活躍しており、他線区で廃車となった8000系の部品を活用して今後も暫く活躍できそうな気もしますが、長年使用していることによる老朽化の波には抗えないため、近い将来他の車両に置き換える必要性が出てきます。

勿論、寄居ローカル・越生ローカル用に新型車両を導入する可能性は十分考えられますが、東武鉄道の今後の新型車両導入として、

  • 東上線(地下直対応)向けの90000系
    • 現在10両編成×3本がデビュー済み、残り30本近い製造が必要
  • 野田線向け80000系
    • 現在0番台(5両完全新製編成)が5両編成×5本、50番台(4両完全新製+60000系中間車1両組み込み編成)が5両編成×4本デビュー済み、残り0番台2本、50番台14本の製造が必要
  • 亀戸・大師線向け1000系
    • 2027年より2両編成×6本を製造予定

となっており、各線区向けに大量の新型車両を製造する必要があります。

これだけの新型車両が製造されても、未だに古い車両が残る線区がある中で、果たして30000系を全車解体する余裕があるのかと言われると、とても疑問に思います。

そこで、本線系統の浅草〜南栗橋・館林間の6連普通・区間準急・区間急行用への転用は厳しいので取り下げるにしても、

寄居ローカル用と越生ローカル用の8000系置き換え用に30000系4連を組み替えの上転用させる

可能性はまだあるのではないかと予想しています。

寄居ローカル用・越生ローカル用の8000系は4両編成11本が在籍しており、これらは30000系4両編成11本分で代替することは可能です。走行機器の部品取りに関しても、解体する6両編成15本のモハ3両分×15本-PMSMのモハ35602の1両=44両分と、4両編成4本のモハ2両分×4本=8両分の計52両分のモハを捻出できるため、部品の供給としてはそこまで困らないのではと思います。

編成組替に関しては、4両編成側(314XXF側)の内、実質サハ化しているサハ(元クハ)31400を、6両編成側のクハ31600と差し替える形で4両編成を組成(クハ31600→クハ31400に改番)すれば、大きな改造をすることなく4両編成として使用できるのではないかと考えています。

デジタルATCの機器もそのままにすることで、坂戸〜森林公園〜小川町間の走行も難なく行えますからね。

また、ワンマン運転を行うため、多少のワンマン運転対応工事は必要だと思いますが、側面カメラの設置等を行う必要はないため、最小限で済むのではないでしょうか?

決して100%実現とは言い切れませんが、東武の新車導入事情と既存車両の状況を考えると、この可能性もあり得ると思います。後は東武のやる気次第ですが…

まとめ: どの車両も暫く安泰とはいかない。

いかがでしたか?

今回は東武の新型通勤型車両90000系のデビューによって発生した、東武30000系の廃車についてと、それに関連する今後の東武の既存車両の取り扱いに関して考察しました。

改めて振り返っても30000系の廃車は早すぎると思いつつも、車両や東武の事情に関して様々な部分から深堀っていくと、廃車にせざるを得ない事情が見えてきました。

比較的新しい車両だから…という言葉はもう通用しない。そういう認識を持った上で常日頃からの記録が大事ですね。

今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!

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