皆様、こんにちは。 U5swです。
今回は、先日導入が延期となった、中央快速線と青梅線のグリーン車に関して説明します!
今回導入されるグリーン車について
JR東日本では、首都圏の長距離を走る路線を中心に、快適な車内サービスを提供するために、普通列車および快速列車にグリーン車が連結されています。基本編成(10両編成or11両編成)に2両が連結されており、座席は自由席となっています。乗車には乗車券に加えてグリーン券を購入する必要があります。
2022年現在、グリーン車が導入されている路線と車両は以下の通り。
- E231系1000番台orE233系3000番台
- 東海道線(東京〜沼津間)
- 伊東線
- 宇都宮線(上野〜宇都宮間)
- 高崎線
- 上越線(高崎〜新前橋間)
- 両毛線(新前橋〜前橋間)
- 上野東京ライン
- 湘南新宿ライン
- 横須賀線(大船〜逗子間)
- E217系orE235系1000番台
- 横須賀線
- 総武快速線
- 外房線(千葉〜上総一ノ宮間)
- 内房線(蘇我〜君津間)
- 総武本線(千葉〜成東間)
- 成田線(佐倉〜成田〜成田空港間)
- E531系
- 常磐線(上野〜高萩間)
- 上野東京ライン
- 東海道線(東京〜品川間)
このグリーン車を中央快速線と青梅線にも導入!
このグリーン車のサービスを、新たに中央快速線と青梅線にも導入することが決定しており、現在導入に向けて車両、駅設備で改造工事が施行されています。導入区間と導入車両は以下の通り。
- 導入区間
- 中央快速線
- 中央本線(高尾〜大月間)
- 青梅線(立川〜青梅間)
- 導入車両
- E233系0番台(T編成<10両固定編成,ただしT71編成を除く>とH編成<6+4両分割編成の6両側>)
導入両数は従来同様2両であり、導入後はT編成が12両固定編成へ、H編成は8+4両分割編成となります。
中央快速線と青梅線の詳細はこちらの記事も参照願います。
グリーン車の車両は従来通り2階建ても一部異なる模様
車体構造は従来の近郊型車両同様、車端部が平屋、中間部が2階建ての構造となっています。
しかし、近郊型車両のグリーン車と異なる点として、グリーン車のドアが片開きではなく両開きであることが特徴です。
両開きである理由として、東京駅の構造が関係していると言われています。
中央快速線の東京駅は、多くの列車が発着するのにも関わらず、規模が1面2線の島式ホームを有するのみであり、全体的に折り返し時間に余裕がなく、短時間で折り返し作業を行う必要があります。
そのため、乗客の乗降をスムーズにし、短時間での折り返し運転を実現するため、ドアを両開きにして乗降口の間隔を広げる構造となる模様です。
しかし、とある事情により導入が延期へ…
JR東日本は2023年度の導入を目指していましたが、先日、グリーン車の導入が延期されることが発表されました。
JR東日本は、27日に発表した2022年度設備投資計画において、中央快速線などへのグリーン車導入を延期すると発表した。 中央快速線などへのグリーン車導入計画は、2015年2月に発表。当初は2020年度のサービス開始を予定していたが、2017年3月に延期を発表。その後2018年に、2023年度末のサービス開始を発表していた。今回の発表で、中央快速線などへのグリーン車導入は2度目の延期となる。
JR東、中央線などへのグリーン車導入時期を再延期 -TETSUDO.COM
導入が延期された理由に関しては、以下の通りとなっています。
今回の延期は、世界的な半導体不足がグリーン車の新造計画に影響を及ぼしているため。サービス開始時期については、少なくとも1年程度遅れるという。JR東日本は、具体的なサービス開始時期については、決まり次第発表するとしている。
JR東、中央線などへのグリーン車導入時期を再延期 -TETSUDO.COM
国内に限らず、世界的な情勢面が理由で導入が遅れることとなりました。こればかりは致し方ないでしょう。
実際、JR東日本においては、横須賀線・総武快速線の新型車両E235系の導入が行われており、こちらを優先しなければならないため、中央快速線、青梅線用のグリーン車導入が後回しになるのは止むを得ないと思います。
グリーン車の導入で中央快速線と青梅線はどう変わる?
延期となったグリーン車サービスですが、導入によって中央快速線と青梅線はどのように変わっていくのでしょうか? 予想も兼ねて注目していきます。
10両編成から12両編成へと輸送力が増強される!
今回のグリーン車導入は、既存編成を増結する形で導入されることが決まっているため、単純な輸送力増強となります。これにより、中央快速線と青梅線のほとんどの車両が12両編成となり、ラッシュ時間帯の混雑緩和に繋がります。
また、グリーン車の導入で座席のグレードが上がるため、快適な車内空間で移動することが可能となります。
現在、中央快速線の東京〜大月間、および青梅線の立川〜青梅間では、10両編成対応のホームがほとんどを占めているため、12両編成が停車できるようホームの延長工事が行われています。ただし、中央線の特急はすでに12両編成が運行されており、東京駅、新宿駅、立川駅、八王子駅、大月駅(一部)は工事が行われていません。
ホーム有効長の関係で番線が増減する駅が誕生
既存編成の増結、およびそれに伴うホーム延長というのは、ホームの足場を作るために用地を取得する必要が出てきており、決して簡単なことではありません。
中には、ホーム延長のために設備を縮小せざるを得ない駅がある他、その駅を救済するためにホームを増設する駅もあります。その駅を次に紹介します。
河辺駅
河辺駅は東京都青梅市にある青梅線の駅で、立川から10駅目の駅です。平日朝と夜に運行されている特急おうめ号も停車しますが、現在は1面2線の島式ホームを有するのみの駅となっています。
しかし、グリーン車導入に合わせて、ホーム延長に加えて新たにホームを1面1線分増設し、2面3線の駅に生まれ変わる予定となっており、現在工事が進められています。
新たなホーム(左)の増設工事が進められている。
2022年現在、平日5本、土休日2本が河辺駅で立川方面へ折り返す運用があり、現在は青梅方面行きのホームを使用して、立川方にある渡り線を活用して折り返し運転を行なっています。
ただし、河辺駅折り返しの列車によって、青梅方面行きのホームが塞がれるなど線路容量的な問題、また、後述する東青梅駅の工事によって、河辺駅の折り返し列車が増える見込みであることから、新たにホームを増設することで、全体的に列車の流れを良くし、ダイヤ作成のネックを軽減する効果を与える予定です。
なお、河辺〜青梅間に関しては、利用状況と後述するホーム数と線路数の増減から、全体的に減便することが言われており、河辺駅での折り返し列車が増える見込みであるとも言われています。
3駅の1日の平均利用乗車人員数は以下の通り。
- 河辺駅: 13417人(2019年度)→10302人(2020年度)
- 東青梅駅: 6493人(2019年度)→5152人(2020年度)
- 青梅駅: 6349人(2019年度)→4882人(2020年度)
ちなみに、河辺駅の東隣にある小作駅も16111人(2019年度)→11900人(2020年度)となっており、利用状況で見ると河辺駅を境に大きく変わっていることから、河辺〜青梅間の減便はそこまで影響を与えないと見て良いでしょう。
東青梅駅
先述した河辺駅の1つ西隣にある青梅線の駅です(立川駅から11駅目)。東青梅駅は青梅線の運行を行う上で重要なポイントとなっており、当駅を境に立川方が複線、奥多摩方が単線となっています。
駅の構造は1面2線の島式ホームとなっており、青梅方面行きの列車が立川方面行きの行き違い待ちを当駅で行なっている列車もあります。
しかし、グリーン車導入によって、この駅は規模を縮小せざるを得なくなります。改造後は1面1線の単式ホームとなり、複線区間は、東青梅駅の立川方すぐまでに短縮されることとなります。
なぜ規模が縮小されるのか?その理由は、
「東青梅駅の両端に踏切があり、ホーム延長の際に青梅方にあるポイントをなくさないといけなくなったため」です。
ホーム延伸後は下り列車(青梅方面行き)が東青梅駅到着直前でポイントを渡ることとなっている。
また、ホームのすぐそばに踏切があることが確認できる。
東青梅駅は踏切と踏切の間に挟まれており、かつ単線区間と複線区間が切り替わる駅でもあるため、ホームを延長する余裕が全くありません。
ホーム延伸のスペース確保のため、現在のポイントは撤去されることとなる。
ポイントのすぐ奥に踏切があり、道路や民家に挟まれているため、単式ホームにせざるを得ない。
東急大井町線の九品仏駅のように、ドアカットを行う駅もありますが、踏切を塞いだ状態で停車すること、かつ東青梅駅は行き違い待ちが発生する駅のため、長時間踏切を塞ぐこととなり、利用者に大きな迷惑がかかってしまいます。また、ドアカット装置を新たに取り付ける必要があり、設備面で余計にコストがかかってしまうのもデメリットです。
そこで、ホーム数を減らしてでも、ドアカットを防ぐためにホーム延長を行うこととなっています。
また、東青梅駅のホーム縮小をカバーするために、先述した河辺駅のホーム増設工事、そして後述の青梅駅のホーム増設工事が同時に行われています。
青梅駅
先述した東青梅駅の1つ西隣(立川駅から12駅目)にあり、青梅線の立川方面と奥多摩方面の系統分離の拠点となっている駅です。
駅の構造は1面2線の島式ホームと、駅横に4本の留置線を有しており、加えて立川方面の列車、奥多摩方面の列車が両者とも折り返し運転を行うことで、ダイヤがとてもカツカツとなっています。
そこで、留置線の1本を活用し、現在の2番線と留置線の間にホームを新設することで、両方向への折り返しに余裕を持たせ、対面接続がしやすくなります。
両方から対面接続できるような構造になる予定。
また、先述した東青梅駅構内での行き違い待ちが行えなくなることを踏まえて、青梅駅で行き違い待ちができるようにするためでもあります。
ホリデー快速は廃止? 多層立て列車とホーム有効長の問題
グリーン車導入に伴い、編成両数や駅の構造に変化が生じることをここまで述べてきましたが、一方で、この列車が廃止されるのではないかという憶測が挙がっています。
それが、「ホリデー快速おくたま号・あきがわ号」です。
土休日の朝に新宿発奥多摩・武蔵五日市行きが3本、夕方に奥多摩・武蔵五日市発東京行きが3本運行しているホリデー快速。10両編成の内6両側がおくたま号、4両側があきがわ号で併結運転を行なっており、拝島駅で分割・併合を行なっています。
しかし、グリーン車導入で12両運転が開始されるとなると、従来の運転では両数が少なくなって輸送力に差が出てくる他、ホリデー快速の運用の前後は一般の快速列車で運行されるため、グリーン車なしだと輸送サービスにどうしても差が生じてしまいます。
加えて、青梅線の青梅〜奥多摩間、五日市線のホーム有効長は6両(ホリデー快速通過駅の一部は4両のみ)となっており、グリーン車の入ったH編成は8両編成となってどちらとも入線することができません。また、どちらの区間もホーム延長の対象外となっています。
これにより、グリーン車導入と共に、ホリデー快速自体が廃止となるか、別の形で運行を分ける可能性が出てきます。
ホリデー快速の処遇で考えられることとして、
- ホリデー快速自体を廃止する。
- 東京〜青梅間で12両運転を行い、青梅駅で別列車に乗り換えるか、分割・併合を行う形で、青梅〜奥多摩間を4両で運行する(あきがわ号に関しては、拝島駅で乗り換えという形に変更)
- 東京〜拝島間で12両運転を行い、拝島駅で分割・併合を行う。おくたま号は青梅駅まで運行し、青梅駅で奥多摩発着の列車に乗り換える形にする。
- 青梅線、五日市線用の青編成の内、6両編成を2本用意し、東京〜拝島間をグリーン車なしの12両編成で運行し、拝島以西は両者とも6両で運行を続ける。ホリデー快速と運用前後の快速のみグリーン車サービスを営業しない。
これらのことが考えられます。今後どういう展開になるのか注目です。
まとめ:グリーン車導入は実現するのか?
いかがでしたでしょうか?
今回は中央快速線と青梅線に導入される「普通列車グリーン車」に関して説明しました。
世界的な情勢で導入が遅れてしまっており、果たして本当に実現するのか不確かな状況となっている今回のグリーン車。中には他の中長距離路線と比べてそこまで距離が長くない中央快速線と青梅線において、グリーン車を導入する必要があるのかと疑問に思う方も見られます。
しかし、中央快速線が首都圏でも屈指の混雑路線であり、短距離区間でもグリーン車の需要が見込める路線となっており、グリーン車導入が実現することによって、沿線の通勤通学やお出かけがより快適になり、より利用しやすくなるでしょう。
厳しい状況ではありますが、是非グリーン車導入が実現できることを願っています。
今回はここまでとなります!最後までご覧くださいましてありがとうございました!
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