皆様、こんにちは。U5swです。
今回は、JR西日本の座席指定サービス、”うれしート”の導入路線が拡大されることに合わせて、うれしートとはなんぞや?という説明と、導入済みor今後導入される路線と対象の列車に関して紹介していきます。
うれしートとは?
座席指定サービス”うれしート”は、JR西日本の近郊型車両を使用し、一部区画を追加料金を支払った上で、混雑を避けてゆったり通勤・通学・お出かけができるサービスです。座席は特急型車両や新快速”Aシート”で使用されているリクライニングシートではなく、一般の転換クロスシートを用いたサービスとなりますが、主に平日ラッシュ時や土休日のご利用の多い時間帯を走る快速列車に設けることで、快適に移動できるようになっています。
うれしートが導入されたのは2023年10月23日であり、導入線区は大和路線・おおさか東線、導入列車は平日朝ラッシュ時の加茂発大阪方面行きの区間快速2本(サービス対象区間は加茂→天王寺間のみで大阪環状線内は一般車両に)、奈良発おおさか東線経由大阪行きの直通快速2本(サービス対象は全区間)です。
利用する際は予め乗車券に加えて、通常期は530円、閑散期は330円の座席指定券を、駅の”みどりの券売機”で購入しておく必要があります(車内販売はなし)。また、チケットレスサービス”e5489″を利用すれば、300円でネット予約が可能となっています。
使用車両と対象の座席は221系8両編成であり、最後尾の1号車の中扉と運転席側扉の間の座席16席であり、一般利用と区別するため、区画の境目にうれしートの暖簾を掲げています。
その後、利用が好調ということもあり、2024年3月のダイヤ改正では、平日朝ラッシュ時におけるうれしートの導入対象列車を、区間快速(加茂、奈良→天王寺、大阪方面)は3本に、直通快速(奈良→新大阪、大阪)は4本へと拡大しました。さらに、土休日にも新設し、午前の大和路快速(加茂、奈良→天王寺、大阪方面)の3本と朝および夕方の直通快速(奈良→新大阪、大阪)の4本にもサービス導入がなされました。
うれしートの導入路線を拡大! それも京阪神だけではない!?
上記の通り、大和路線とおおさか東線の快速列車に座席指定サービスを導入により、少し課金してでも快適に利用できる機会が設けられたことで、沿線から人気を得ることができました。
うれしートは一般の席とグレードが同じな分、特急列車やAシートよりは座席指定料金が抑えられているため、利用しやすいというのが好調な理由と言えるでしょう。
そんなうれしートですが、大和路線・おおさか東線での営業が好調なことを受けて、以下の線区の快速列車に導入することが明らかとなりました!その対象線区は以下の通り。
- 奈良線(奈良→京都間):快速,区間快速
- JR神戸線(網干・姫路→大阪間):快速<※明石→兵庫間ノンストップ>
- 山陽線(岩国→広島間):快速通勤ライナー,快速シティライナー
平日朝ラッシュ時の奈良線快速or区間快速京都行きとJR神戸線の快速大阪方面行き、山陽線の快速通勤ライナー広島行きと、土休日夕方の山陽線の快速シティライナー広島行きに対して、うれしートのサービスを新たに開始します!
サービス開始日時は、快速シティライナーが2024年10月5日(土)より、その他は2024年10月7日(月)よりそれぞれサービスを開始いたします。
うれしート拡大のプレスリリースはこちらから。
JR西日本のアーバンネットワークにおける主要路線だけではなく、なんと“広島地区の山陽線”にもうれしートが導入されることとなり、これは多くの方が驚いたことでしょう。
次に、各路線における対象列車と各主要駅発着時刻を以下にまとめます。
奈良線(奈良→京都間)
奈良線では、平日朝の上り(京都行き)の区間快速2本と快速1本に”うれしート”を営業運行します。具体的な列車と各駅発着時刻は以下の通り。
うれしートの設定座席は、奈良方の乗務員室側(4両編成の場合4号車、6両編成の場合6号車)が対象であり、4列の転換クロスシート1区画、計16席となっています。
JR神戸線(網干・姫路→大阪間)
JR神戸線では、平日朝の上り(大阪行き)の快速4本(但し、舞子・垂水・須磨を通過するタイプ)に”うれしート”を営業運行します。具体的な列車と各駅発着時刻は以下の通り。
うれしートの設定座席は、網干・姫路方の乗務員室側(1号車)が対象であり、5列の転換クロスシート1区画、計20席となっています。
山陽線(岩国→広島間)
山陽線では、平日朝の上り(広島行き)快速通勤ライナー1本、および土休日夕方の上り(広島行き)快速シティライナー2本に”うれしート”を営業運行します。具体的な列車と各駅発着時刻は以下の通り。
うれしートの設定座席は、岩国方の乗務員室側(1号車)が対象であり、5列の転換クロスシート1区画、計20席となっています。
※なお、快速通勤ライナーのうれしート営業区間は岩国→五日市間のみであり、五日市→広島間は一般の利用客も利用可能となります。指定席の利用者は五日市以降もそのまま着席できますが、立ち席利用が解禁されます。
うれしートがここまで拡大を続ける理由
このように、新たに3路線でうれしートの営業が行われることとなりましたが、今回のように、様々な線区で営業を拡大することとなった理由とはなんでしょうか?考えられることとしては、
- 追加で課金してでも、快適に通勤通学を行いたい需要が増えつつあるため
- 客単価を上げて、JR西日本の収益を増加させるため
- 仮にうれしートサービスが失敗して終了することとなっても、損失が少ないため
この3点が考えられます。
追加で課金してでも、快適に通勤通学を行いたい需要が増えつつあるため
うれしート導入のキッカケとなった大和路線やおおさか東線では、当初はただ普通の座席に追加料金を課して座席指定サービスを行うことに懐疑的な意見もありましたが、いざサービスを開始してみると、思ってたよりも多くの方に利用してもらえるようになりました。
導入当時、同区間に座席指定車両の列車が運行されていなかったことも相まっての利用順調とも言えますが、やはりラッシュ時間帯は“車内の混雑に耐えて通勤通学を行う”というイメージがついていることから、「ちょっと課金してでも座って快適に通勤通学を行いたい」と思う方も一定数はいたでしょう。
その需要に応えるべく、300~500円台を支払うだけで着席保証のできるうれしートは、通勤通学利用者にとっての救世主と言えるでしょう。特急列車や新快速Aシートと比較してとてもリーズナブルな価格設定でもあるため、誰でも気軽に利用しやすいのがうれしートのモットーでもあります。
これは大和路線やおおさか東線に限らず、多くの路線で追加課金して着席保証を受けるサービスを求めていることから、新たに3路線の快速列車に導入が決まったと言えるでしょう。
客単価を上げて、JR西日本の収益を増加させるため
少子高齢化に伴う人口減少や、昨今の情勢に伴う鉄道利用の低下から、鉄道会社の経営が厳しい状態になりつつある中で、ほとんどの鉄道会社では、“安くかつ大量に乗客を輸送すること”から、“1人あたりの利用料金を上げる代わりに上質なサービスを提供すること”へと舵を切りつつあります。
JR西日本でも、在来線の特急列車では比較的安めの自由席特急券を年々廃止にして、全車指定席の特急列車を増やし、B特急料金をA特急料金に値上げすること、新幹線との乗継割引を廃止すること(一部除く)が相次いでいる他、乗車券のみで乗車でき、特急列車並みのスピードで爆走する新快速では、一部列車に座席指定車両”Aシート”を連結し、指定料金を払いつつ、特急列車に準じた座席サービスを提供しています。
このように、追加料金と引き換えにワンランク上のサービスを提供することを約束として、うれしートも導入、さらに拡大を行うことで、更なる客単価の上昇で、会社全体の利益を確保する狙いがあると考えられます。
仮にうれしートサービスが失敗して終了することとなっても、損失が少ないため
先述の通り、うれしートサービスは一般車両の一部座席を指定席にして着席保証を行うサービスのため、うれしートサービスを開始するための初期費用がほとんどかかりません。一般の座席と指定の座席を区別するための”うれしートの紙の暖簾”と、乗車券の確認を行う乗務員を追加するだけで簡単にサービスを行うことが可能です。
そして、もし利用者が思ったほど伸びず、やむなくサービスを終了する場合でも、一般座席を使用していることから、単純に何か改造することもなく戻せばいいため、終了による損失が少ないのが利点です。
このように、近郊型車両を用意するだけで、うれしートサービスの新規開始や営業終了を少ない負担で実現できることが大きいです。このサービス開始・終了の容易さが、今回のサービス拡大に繋がったと言えるでしょう。
まとめ:今後もうれしートサービスを導入する線区が増えそうな予感。
いかがでしたでしょうか?
今回はJR西日本の着席保証サービス”うれしート”の導入拡大に関して説明しました!
普通の座席でも少し課金すれば快適に通勤通学、お出かけが行えるうれしート。初期投資の少なさから今後更にサービスを拡大する可能性が高いでしょう。
今後うれしートを導入しそうな路線と対象列車の候補を以下に挙げると、
- JR京都線・琵琶湖線(東海道本線):快速<草津・京都→大阪方面行き>
- JR宝塚線(福知山線):丹波路快速<三田・宝塚→大阪行き>
- 嵯峨野線(山陰本線):快速<園部・亀岡→京都行き>
- 山陽線(広島以東):快速通勤ライナー<白市・西条→広島方面行き>
- 呉線:快速通勤ライナー<広・呉→広島方面行き>
これくらい導入する可能性の高い線区と列車が走っているので、今後の動向も注目です!
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!
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