皆様、こんにちは。U5swです。
今回は2024年3月ダイヤ改正関連から、JR西日本の嵯峨野線(山陰本線)に関するダイヤ改正内容を紹介します!
観光需要が戻っても、改正での定期列車増発はなかった嵯峨野線
2021年3月の改正では、コロナ禍における世界での移動制限、ならびに国内での移動自粛ムードがあった影響から、嵯峨野線では日中時間帯に京都〜嵯峨嵐山間を運行する普通列車を、毎時4本から毎時3本に減便し、15分間隔から20分間隔の運行に見直されました。
しかし、2023年に移動制限が緩和され、再び海外への渡航やコロナ前の状態に戻ってきたことから、観光都市である京都には、行楽期を中心に観光客が戻りつつあります。また、これまでの自粛ムードからの反動からか、観光客もこれまで以上に増えつつあるのではないでしょうか。
そんな中、嵐山を始めとする観光地を沿線に多数抱え、加えてサンガスタジアム京都といったイベント施設、京都鉄道博物館や京都水族館といったテーマパークも多数抱える嵯峨野線は、2023年3月改正時点においては、未だ普通列車が毎時3本の運行に留まっており、20分列車が来ない時間帯が普通に存在していたどころか、車両がクロスシート車オンリーであり、かつ4両編成での運行が主体だったことから、余計に混雑が激化し、大問題となっています。
JR西日本は、混雑問題を極力解消するよう、行楽期において、京都〜嵯峨嵐山間を中心に臨時の普通列車を運行したり、既存の定期列車の編成両数を4両から6両or8両へ増強したり、更には基本嵯峨嵐山駅に停車しない特急列車の一部を嵯峨嵐山駅に臨時停車させ、混雑の緩和に努めました。しかし、それでも混雑問題は全て解決しているとは言い切れません。
今回のダイヤ改正でようやく復活
嵯峨野線利用者から、ダイヤ改正で元のダイヤに戻して欲しいという声が大きかった中、去る2023年12月15日のダイヤ改正で改正内容が明らかとなりました。プレスリリースは以下の通り。
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/231215_00_press_daiyakaisei_kinto.pdf
そのプレスリリースにおいて、嵯峨野線では、
日中時間帯において、京都〜嵯峨嵐山間の普通列車を6往復増発
することが明らかになりました。
これにより、京都〜嵯峨嵐山間において、
- 快速:毎時1本(60分間隔)
- 普通:毎時3本(概ね20分間隔)
だったのが、改正後は、
- 快速:毎時1本(60分間隔)
- 普通:毎時4本(概ね15分間隔)
での運行となりました。
よって、2021年3月のダイヤ改正前以来となる、日中時間帯の普通列車が毎時4本運転が復活となりました! 更に、京都〜嵯峨嵐山間の各駅において、最大待ち時間が20分から概ね15分と短縮されました!
また、本数増発と共に編成両数も増強され、6両編成or8両編成で運転する列車が増える他、行楽期およびイベント開催(主にサッカー開催)には、臨時列車の運行を行うとのことです。
なお、ダイヤ改正前においても、臨時列車や車両増結が行われる模様です。
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/231221_00_press_saganosen_rinji.pdf
やっと元のダイヤに戻ったが… それでもなお課題山積みな嵯峨野線。
とりあえず、混雑問題を改善する上で1番容易に取り掛かれるのが、列車の増発と編成両数の増車であるため、その最初の段階は一応クリアした嵯峨野線ですが、それでも未だに、嵯峨野線の混雑問題に関しては課題が山積みな状況です。
- 運行車両の座席問題
- 京都駅の嵯峨野線ホームの立地と出入口の関係による混雑の偏り方
- 京都駅構内の単線部と関空特急はるか号との線路共有
などなど、大量輸送を行う上でのボトルネックな部分など、挙げればキリがありません。
運行車両の座席問題
車両面に関しては、221系と223系という、大量輸送に向かないクロスシートの車両で運行しているため、よく4ドアのロングシート車を入れろ!やロングシート車に改造しろ!との声がよく挙がっています。4ドア車は梅小路京都西駅の3ドアオンリーのホームドアの関係で入線はできず、ロングシート改造も改造工事や改造コストの関係から実現はほぼないでしょう。
その代わりに、従来の2+2列の転換クロスシート車より座席が1列少ない、元日根野車の223系2500番台が京都に転属し、2023年ダイヤ改正より嵯峨野線での運行を始めています。この223系2500番台は1+2列の転換クロスシートであることから、立ち席スペースが広く、収容力の増加に僅かながら貢献しています。
しかし、223系2500番台は他の221系や223系6000番台と共通の運用を組んでいる関係で、嵯峨野線の他湖西線での運用にも入る他、嵯峨野線で8両編成を組む際に、混みやすい京都側4両に223系2500番台がなく、逆に比較的空いている園部側4両に就いていることが多く、個人的にはもったいないなと感じています。
223系2500番台は、221系と223系6000番台との共通運用から外し、基本的に嵯峨野線の運用に入り、混雑しやすい京都側4両の連結に固定で入る方が望ましいと考えていますが…
京都駅の嵯峨野線ホームの立地と出入口の関係による混雑の偏り方
今に始まった話ではありませんが、嵯峨野線の京都駅ホームは京都駅全体で西寄りに位置しており、改札口から少し離れた場所にあります。また、ホームが頭端式であり、出入口が1箇所しかないため、嵯峨野線は京都方の車両に乗客が集中してしまっています。逆に、ホームの出入口から最も離れた園部方の車両は、乗客がほとんどいないという偏りが生じています。
駅の案内表示やアナウンスにおいて、極力園部方の車両を利用するよう分散乗車を促してはいますが、京都駅で他の路線を利用する方からすると、乗り遅れ等を防止するために京都方の車両に集中してしまう傾向は変わりません。
そこで、JR西日本は、2023年9月30日より、嵯峨野線の太秦駅沿線にある東映京都撮影所と協力し、京都駅32・33番のりばのホーム園部方に”忍者の人形”を設置し、主に観光客に対する注目の的として園部方に誘導し、分散乗車を促す作戦を決行しました。
しかし、これはあくまでも京都駅から乗車する方に対する分散乗車策に過ぎず、京都駅で下車される方からすると無関係であり、また、このホームの忍者に注目する乗客が全体のどれほどいるかと考えると、忍者を置いただけでは絶大な効果を得られる訳ではありません。
個人的に、京都駅を出発する列車に対する分散乗車を促す方法としては、
“駅の出入口に近い京都方の車両には、発車直前まで車内に乗客を入れず、園部方の車両に乗車するよう、半ば強制的に誘導させる”
これくらいしないと混雑の偏りは改善することができないと思われます。
また、京都駅の西寄りに新たに改札口や乗り換え連絡通路を設ける案としては、去る2023年12月27日に、JR西日本のプレスリリースにて、
“新たな橋上駅舎・自由通路の整備を行うこと”
が発表されました!
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/231227_00_kyotoshi.pdf
これは、嵯峨野線・関空特急ホーム(30~33のりば)と琵琶湖線・湖西線ホーム(2・3番のりば)とJR京都線ホーム(4・5番のりば、および6・7番のりば)を繋げて、現行の乗り換え連絡通路の混雑緩和と乗り換えの所要時間短縮を図りつつ、新たな改札口と自由通路を整備し、京都駅西口方面(下京区総合庁舎方面)の共同開発ビルに直結する出入口を新設する予定です。2031年度の完成を予定しています。
個人的に気になったのが、2023年5月7日をもって閉店したビッグカメラの出入口の再活用と、32・33番のりばから直接階段やエレベーターを設置して分散乗車を促すかというところですが、これらに関しては言及および実現がなされませんでした。
ビッグカメラとの出入口は、ビッグカメラ京都店が開業した2007年8月より併用が開始され、京都駅の30・31番のりばとビッグカメラ2階と直結しており、”隠し出入口感”のある出入口でしたが、閉店と同時にこの出入口も閉鎖されてしまいました。今回の西口新規改札設置に伴い再活用されるのかと思いましたが、微妙に自由通路と離れており、活用されるのかは微妙となっています。
また、32・33番線のホーム中程に階段やエレベーターを設けるものかと思われましたが、これも実現には至りませんでした。これは、32・33番のりばのホーム幅が狭く、階段やエレベーターの設置が厳しいものと思われます。もし、32・33番のりばに設置したいのであれば、34番おりばを廃止し、33番のりばの線路を少し34番おりば寄りに移設した上で、32・33番のりばのホームを拡幅する必要があるでしょう。
京都駅構内の単線部と関空特急はるか号との線路共有
最後に、嵯峨野線の京都〜梅小路京都西間の手前に残る単線区間です。元々、嵯峨野線(山陰本線)は全区間が単線の路線であり、2010年に嵯峨野線区間のほとんどが複線化がなされたものの、横にJR京都線(東海道本線)の複々線区間が並走しており、複線化のための用地が取得できないことから、やむなく単線のままとなってしまっています。この単線区間の存在により、嵯峨野線の列車増発が難しいというボトルネックを抱えています。
また、嵯峨野線ホームの31~33番のりばの隣にある30番のりばは、ほとんどが関西空港へ向かう関空特急はるか号のホーム(一部嵯峨野線の列車も発着)となっており、関西空港行きのはるか号は、京都駅出発後向日町駅付近まで嵯峨野線の路線を通りつつ貨物線を経由するため、関空特急はるか号のダイヤにも考慮しなければならず、こちらもボトルネックとなっています。
実際、嵯峨野線の京都駅構内を複線化するほどの用地はなく、また、東京駅の中央快速線ホームみたく、ホームを2階に移設する案も、京都駅西方にある大宮通がJRの路線をオーバーパスしていることを考えると、依然厳しいでしょう。
しかし、関空特急はるか号の京都駅ののりばに関しては、この改正で変更となり、30番のりばを嵯峨野線用として空きを設けることができる可能性が高いと言えます。その理由としては、
“京都発着の特急スーパーはくと号のほとんどが、大阪発着に短縮するから”
というのが挙げられます。
京都から大阪、三ノ宮、姫路、上郡を経由し、智頭急行線を経由して鳥取、倉吉までを結ぶ特急スーパーはくと号は、これまで全7往復が京都発着で運行されていましたが、この改正で8往復に増発する代わりに、朝の倉吉行き2本と夜の京都行き2本を除き、全てが大阪発着に短縮されることとなりました。
これにより、主にスーパーはくと号の車両が折り返し運転のために活用していた京都駅山科方の引上線1本が、ほとんどの時間帯で空くこととなり、この空いた引上線を活用して、京都発着のはるか号を0番のりば到着→山科方の引上線へ入換→折り返しはるか号を6・7番のりば始発にして運行させれば、空いた30番のりばを嵯峨野線の列車にフル活用することが可能と思われます。
これがこの改正で実現するか否かは不明ですが、関空特急はるか号の発着番線を移動させることによって、空いた線路の有効活用、および嵯峨野線ホームの余裕のある活用が実現できると思います。
まとめ: やっと元通りとなった嵯峨野線
いかがでしたでしょうか?
今回は2024年3月ダイヤ改正における、JR西日本の嵯峨野線に関する改正内容の紹介でした。
とりあえず、混雑問題を解消する1番やるべきことである、普通列車の毎時4本化に戻すダイヤが実行され、元通りとなりましたが、依然課題がたくさん残っている嵯峨野線。
列車本数以外の面では、中々解決の難しい課題ではありますが、沿線利用者および観光客、イベント客が不自由なく利用できる嵯峨野線にするためにも、惜しみなく混雑対策を講じてもらいたいところです。
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!
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