皆様、こんにちは。U5swです。
今回は東武東上線9000系車両の置き換え用の新型車両を設計することが明らかとなったため、具体的な内容と今後の展望に関して説明します!
東武鉄道が発表した設備投資計画の掲載内容で明らかに!
2024年4月30日に、東武鉄道は2024年度の鉄道事業設備投資計画をプレスリリースにより発表しました。
https://www.tobu.co.jp/cms-pdf/releases/20240430110258RiWGfPpz7u_kNh3FWu2xkA.pdf
このプレスリリースにおいて、このような文面が記載されていました。
◆ 東上線で運行する9000系車両の代替更新 東上線で運行する9000系車両については、新型車両への代替更新を計画しています。2024年度は新型車両の設計業務を実施します。
2024年度の鉄道事業設備投資計画
2024年4月30日
設備投資計画は総額403億円
~「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現を目指して~ 東武鉄道株式会社
遂に、東武9000系に代わる“新型車両の導入”が、この時点で明らかとなりました!
なお、今年度はあくまでも新型車両の“設計”を行うだけであり、すぐに新型車両が導入されるわけではありません。
置き換えられる東武9000系に関して説明!
ここで、次回導入される新型車両に置き換えられる予定である“東武9000系”に関して説明します。
東武9000系は、営団地下鉄(現・東京メトロ)有楽町線へ乗り入れるための車両として、1981年より製造が開始された形式です。1981年に先行試作車となる9000型の9101Fが登場し、1987年に増備車となる9102F~9107Fの6編成が、1991年に9000型の最終増備車9108Fの1編成がそれぞれ登場しました。
そして、1994年の有楽町新線(新線池袋〜小竹向原間、現副都心線区間)の開業に伴い、マイナーチェンジ車となる9050型の9151F,9152Fの2編成が登場し、9000系列は10両編成10本体制で増備が完了しました。
その後、2008年の東京メトロ副都心線開業に伴うホームドア対応、ワンマン対応、自動運転(ATO)対応等の大規模改造工事が、9101Fを除く9編成で施行され、大きく姿を変えました(一方で、9101Fは地下鉄直通運用から撤退し、東上線の地上専属車へ)。そして、2013年の副都心線と東急東横線の相互直通運転開始と共に、東急東横線と横浜高速鉄道みなとみらい線への乗り入れを開始しました。
地下直対応の9000系9編成は50000系50070型7編成と共に東上線や地下直運用をこなしていましたが、一方で先行試作車の9101Fは2021年に車両故障を起こし、長らく森林公園検車区で留置されていましたが、復帰叶わず2023年に廃車回送がなされました。
東武9000系列の地下直における課題と現状
2024年現在、地下直対応の9000系列10両編成9本(9102F~9108F,9151F,9152F)が東武東上線(池袋〜小川町間)、東京メトロ有楽町線・副都心線、東急東横線、みなとみらい線で活躍を続けていますが、そんな東武9000系列の課題と現状としては、
- 走行機器が古いものであること
- 車両の故障が目立つこと
この2点が挙げられます。
まず、走行機器の古さに関しては、9000型が電機子チョッパ制御、9050型が東洋GTO-VVVFインバータ制御であり、登場してからここまで1度も機器更新を行なったことがありません。東武50070型をはじめ、乗り入れ先に乗り入れる車両は全て、IGBT素子のVVVFインバータ、もしくはSiC-MOSFET素子のVVVFインバータの車両(西武6000系は機器更新済)となっており、走行機器の古さから車両性能面で劣りが見えます。また、電機子チョッパも東洋GTO-VVVFも既に替えの部品の製造が終了しており、部品が枯渇している状態となっています。
また、製造から30年以上が経過していることから、老朽化による車両故障が頻発しています。2023年に先行試作車の9101Fが車両故障により復帰することなく廃車回送がなされたのが記憶に新しいですが、2024年5月時点では、更に9000型の9106F、9050型の9151Fの2編成が車両故障を起こして以降、森林公園検車区で1度も動くことはなく休車状態となってしまっています(加えて、地上車では東武30000系の31601F+31401Fの10両編成も故障により休車中)。
(2024.6.6追記) 本日より9106Fが営業運転に復帰、また9151Fも復帰に向けて試運転を開始。
(2024.6.12追記) 昨日より9151Fが営業運転に復帰。
ただでさえ古い車両が多く、車両故障が起こっても直されることなく廃車回送が続き、車両不足に悩んでいる東上線系統において、新型車両の導入が強く望まれている中、本線系統の特急車両の製造(リバティやスペーシアX)、および野田線5両編成化による車両置き換え(新型車両80000系)が優先されていたせいで、不遇な扱いを受け続けています。東上線用の新型車両は、2013年に50070型の51076Fと51077Fの導入以降は、10年以上導入がなく現在に至ります。
ただその現状に対して流石に不味いと判断したのか、待ちに待った東上線系統の新型車両の設計に踏み切ったと言えるでしょう。
新型車両の登場によって個人的に気になること
ご覧の通り、9000系列の置き換え用として新型車両の導入がほぼ決定しましたが、この新型車両が東上線(池袋〜小川町間)の地上運用に限らず、有楽町線、副都心線、東横線、みなとみらい線への乗り入れにも対応した車両となるのはほぼ確定となるでしょう。そこで、個人的に気になることを以下に挙げておきます。
- 新型車両は相鉄線の乗り入れに対応するのか
- 新型車両が置き換える車両は必ず9000系列なのか
- 新型車両は何編成導入されるのか
新型車両は相鉄線の乗り入れに対応するのか
個人的に1番気になるのは、東武の新型車両導入で、”相鉄線”の乗り入れに対応するのかということです。2023年3月18日に相鉄・東急直通線が開業したことで、相鉄線〜東急東横・新横浜線〜東京メトロ副都心線〜東武東上線の4社を跨ぐ直通列車が新たに設定されました。
しかし、相鉄と東武を1本で結ぶ列車に関しては、相鉄車が車両使用料や車両運用の関係から東武東上線に乗り入れず(車両自体は東武乗り入れが可能な設計になっているが、東武の保安装置は搭載されていない)、メトロ車と東武車が相鉄乗り入れ対応工事を行なっていないことから、“東急車のワンオペ運用”となってしまっています。
相鉄-東武を直通する系統は朝や夕方、夜に限らず、日中時間帯も毎時1本、主に湘南台〜川越市間を結ぶ列車が運行されており、東急車しか運用に就けないことから、遅延等で代走が発生した際に、他社の車両で全区間運行できず途中駅で緊急の車両交換を実施したり、一部区間を運休したりという、車両面や運用面での不都合が発生しています。
また、東急車はこの系統以外にも、Fライナーの運用やQシート車限定運用、西武線への直通運用など、幅広い運行範囲と車両仕様による細かな制約の中で運用を回さないといけないので、常に運用がカツカツな状態で縦横無尽に駆け回らないといけません。
また、相鉄・東急直通線開業により、東武が新横浜駅への直通を猛アピールしていましたが、現状新横浜駅に乗り入れる東武車の運用は0であり、代走で東武車が新横浜駅に乗り入れたことはありません(開業前の新横浜駅乗り入れ試運転には東武車が頻繁に使用されていたが)。これは、新横浜駅に乗り入れる東横線系統の列車のほとんどが相鉄線へ直通することからやむを得ませんが、散々アピールしておいて自社の車両が乗り入れないのも、それはそれで寂しいですね…
現状、東武9000系列がベテランの車両ということもあり、相鉄線へ乗り入れるのは長期的に考えて厳しいことから、東武車の相鉄乗り入れが非現実的であることは頷けますが、新型車両の導入で東武9000系列を置き換えるのであれば、新型車両は“相鉄線への乗り入れに対応する”ことが望ましいと考えています。
もし新型車両が相鉄線乗り入れ可能となれば、引き続き活躍を続ける50070型に相鉄線直通対応工事を施行(但し、できるかは不明)し、相鉄車が東武の保安装置を取り付ければ、相鉄-東武の直通系統に充当できる車両は東急車に加えて相鉄車、東武車が担当できるようになり、東急車の負担を軽減できる他、代走に関しても途中駅での車両交換や一部区間の運休を減らすことが可能となります。
現時点では新型車両が相鉄線へ乗り入れるか否かの言及はないですし、東武車が相鉄線に乗り入れるメリットは小さいことを踏まえると、確実になるとは言えません。あくまでも100%個人的な願望込みで述べていますが、現状の東急車のワンオペ運用を見ていると、他社車両のフォローはあって然るべきだと考えています。
新型車両の全貌が明らかになるまでは、注目して見ていこうと思います。
新型車両が置き換える車両は必ず9000系列なのか
プレスリリースにおいては、”9000系を置き換える新型車両”と記載されており、9000型と9050型が運用離脱の対象であると読み取れます。
しかし、東武東上線(池袋〜小川町間)では、9000系列以外にも古くから活躍するベテランの車両が数多く在籍しており、中には9000系列(1987年〜)よりも前に製造(1985年〜)された地上専属車の10000系列が存在しています。また、9000系列は副都心線開業に伴うリニューアル工事を残存している全9編成に施行している一方、10000系列の中にはリニューアル工事を行わず、登場時の姿を保っている編成も存在しています。
従って、9000系列の車両の状態と、10000系列の車両の状態によっては、
“新型車両の導入で、9000系列を地上専用車に転用し、10000系列を運用離脱させる”
という可能性もあります。
事実、2022年には10000型の11004Fが車両故障によって廃車回送がなされているのに加え、本線系統では余剰となった10000系列の廃車がリニューアルの有無関わらず廃車が発生しており、野田線では80000系の導入と5両化によって8000系と10000系列が全て置き換えられることが明らかとなっています。可能性としては9000系列の運用離脱が高いですが、車両状態の良し悪しを考えると10000系列の運用離脱も起こり得るので、念の為気にかけておいた方がいいでしょう。
新型車両は何編成導入されるのか
最後に気になる点としては、新型車両の導入編成数です。単純に考えるなら、現行の9000型7編成と9050型2編成の計9編成分を置き換えるのがベターと考えますが、個人的には”9編成よりも多く製造する”のではないかと予想しています。その理由としては、
- もし相鉄線直通を行う場合、運用増を見越した編成増備が必要なため
- 既に故障で廃車した編成、および長期留置されている編成が多く、車両不足を解消するため
これらが考えられます。まず、相鉄線への直通が可能な場合、単純に東武車の運行範囲が広がるため、その分現行よりも東武車の運用数が増える可能性が高くなります。その分、新型車両を置き換え予定の9000系列9編成分よりも多く製造する必要があります。
但し、相鉄直通の有無に関わらず、近年東上線系統における故障による廃車が目立っており、東上線全体の運用がカツカツとなってしまったり、ダイヤ改正で朝ラッシュ帯に減便が発生したりしています。東上線は東武でも屈指のドル箱路線と言われており、池袋口を中心に多くの利用客がいる分、車両の確保はマストなので、故障での廃車に対する穴埋めで多く増備する可能性もあるでしょう。
この、どれだけの編成数を製造するのかも注目です。
まとめ: 待ちに待ち過ぎた東上線の新車導入へ
いかがでしたでしょうか?
今回は、東武東上線への新型車両導入と、それに伴う東武9000系列の置き換えに関する内容を、個人的な予想と願望も込みで説明しました!
古い車両が多く、車両故障も多い中で、中々新型車両の導入が実現しなかった東上線系統ですが、ようやく新型車両導入に向けての動きが見られました。
今年度は未だ設計段階のため、導入は暫く先となりますが、東上線とその直通先におけるシビアな車両事情の救世主となって欲しいと願っています。
今回はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました!
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